インドラネット

著者 :
  • KADOKAWA
3.58
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本棚登録 : 1005
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056042

作品紹介・あらすじ

美貌とカリスマを備えた友人・空知の行方を追い、東南アジアの混沌に飛び込んだ晃。だが待ち受けていたのは、空知とその姉妹の凄絶な過去だった……。数多の賞を受賞した著者が到達した「現代の黙示録」!

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて、この小説のイメージを一言でいうと「渇いた死」。

    非正規雇用でうだつの上がらない男・八目晃は、消息を絶った高校時代の友人・空知を探しにカンボジアへ旅立つー。

    不気味なまでに感情を排した、中立的な文章(に、僕は感じた)が続き、途中から「これはどこにもたどり着かないし、救われないんだろうな」という予感を持ちながら、読み続けた。
    結末はやっぱりというか…意外というか…。

    ひとまずの場所にたどり着くけど、解釈は人それぞれ。
    深読みすると味わいが出てきます。
    そこらへんは、さすがベテラン作家という感じ。

    • hiromida2さん
      naonaonao16g さん、
      確かに…(笑)
      naonaonao16g さん、
      確かに…(笑)
      2022/01/30
    • たけさん
      naonaoさん、コンフィデンスマン観にいきましたぜ!
      「プリンセス編」も映画館行きましたが、今回の「英雄編」はさらに面白かった。
      ヒゲダン...
      naonaoさん、コンフィデンスマン観にいきましたぜ!
      「プリンセス編」も映画館行きましたが、今回の「英雄編」はさらに面白かった。
      ヒゲダンの今回の曲も素晴らしいし最高でした。
      コロナでなかなか劇場に行くのをオススメしづらい時期ですけどね…

      読書気分の波、確かにありますね。
      今は正直乗れそうにありません。
      こんなときは、ブクログで立てる読書目標、ただただウザいだけです笑
      2022/01/30
    • naonaonao16gさん
      たけさん

      おおー!英雄編、凄いんですね!
      安定の髭男なんですね!
      早くアマプラに追加されないかなぁ…笑

      そうなんですよ!波に乗れない時は...
      たけさん

      おおー!英雄編、凄いんですね!
      安定の髭男なんですね!
      早くアマプラに追加されないかなぁ…笑

      そうなんですよ!波に乗れない時はちょっときついですよね…
      わたしは映画で稼ぎます笑
      って、稼ぐ必要もないと思いますが…
      2022/01/30
  • マジか!の一冊。

    最初から最後まで面白さはハンパない。

    高校時代の親友探しのためカンボジアへ渡った主人公 晃。

    知人もいない異国の地で不安感しかない時に言葉が通じる人達と出会ったら否応なく心をオープンにしちゃうよね。

    次第に強くなっていく晃。次第に掴めていく親友、空知達の複雑な生い立ちと消息。

    晃の空知を想う心には時に胸アツ、時に涙で心うたれた。
    人を疑わなければいけないつらさに哀しみが、数々のピンチにはこちらまで恐怖に襲われた。

    そしてこの結末。マジか…!この一瞬の、ある意味サッパリ、バッサリ感がすごい。

  • 主人公の八目晃は20代半ば過ぎ、IT企業の子会社で契約社員をしているが、仕事にやる気もなく、周囲からも嫌われている。高校時代の友人であり、自宅にいつもお邪魔していた野々宮空知の父親が亡くなったという知らせを受けて通夜に行く。そこで知り合った安井から空知の姉を捜して欲しいという依頼、三輪という男から空知の妹を捜して欲しいという依頼を受ける。姉と妹を探すためには、空知を捜すべき、との二人からの依頼もあり、八目は空知捜しのために、カンボジアに出かけ、カンボジアで色々な目にあいながら、空知捜しを続ける。

    前半は、八目のやる気のなさに合わせるように物語のテンポもゆるやかで、やや退屈しながら読んだ。カンボジアで色々な苦労に遭ううちに、八目も徐々に空知捜しにのめり込むこととなり、それと共に物語のテンポもあがり、最後の方は一気に読んだ。ネタバレになるので書けないが、ラストはかなり衝撃的。

    カンボジアには、アンコールワットの遺跡を見に行ったことがある。シェムリアップに2泊した。カンボジアは不幸な歴史を持った国である。ポル・ポト率いるクメール・ルージュによる恐怖政治のあとは、内戦が続いた。ポル・ポト時代には、総人口の20%以上の人たちが命を落としたと言われ、また、内戦時代には国の至る場所に地雷が埋められ、それにより命を落とす、あるいは、深い傷を負う人が後を絶たなかった。アンコールワットの遺跡を見学した際も、地雷で足を亡くした人たちが物乞いをしている姿を数多く見かけた。
    桐野夏生が、この物語の舞台にカンボジアを選んだのは、もちろん、この国の抱えるそのような不幸な歴史を物語の背景として使うためであり、その歴史がなければ、この物語は成立していないし、この物語が醸し出す、理不尽で怖ろしい雰囲気は生まれていない。
    作家のイマジネーションがどこから生まれて、どのように物語に結ばれていくのかは分からないが、この物語は、桐野夏生がカンボジアの歴史からインスピレーションを得たのではないかと想像する。

  • 私が読む、初、桐野夏生さん作品。
    主人公の晃を全く好きになれず、これは一体どういうお話なの?とわけわからず、これは「読み続けられなかった本」カテゴリ行きになるか?と思うも、決して文体が読みにくいわけではない。
    そのように悩んだ時にたまにやるのだが、早々に皆さんのレビューを、ネタバレ含めて拝見して、読み続けるかやめるか決めることにした。

    結果、決して惹きつけられたわけではないが、不思議と読み飛ばすことなく最後までしっかり読めた。
    その分、★ひとつ追加でなんとか3つ。

    三輪も結局、安井と同じく木村の仲間だったということ?
    三輪と一緒にいた野々宮母、雅恵も?
    この2人は私にはあやふやで終わった。
    一番可哀想なのは晃の母。
    息子が旅行に行ったきり行方不明だなんて、母としたらこんな不幸は無い。

    全くの個人的な感覚だが、『王とサーカス』(米澤穂信著)・『サラバ!』(西加奈子著)・1巻(香港・マカオ)しか読んでいないがその先も読みたいと思っている『深夜特急』(沢木耕太郎著)と本書は同じくくり。
    いずれも自分は絶対に訪れることはないであろう国の話であり、なんだかわけわからないなぁと思いつつも不思議ときっちりと読み切った本。

  • 平凡な顔、運動神経は鈍く、勉強も得意ではない――何の取り柄もないことに強いコンプレックスを抱いて生きてきた八目晃は、非正規雇用で給与も安く、ゲームしか夢中になれない無為な生活を送っていた。唯一の誇りは、高校の同級生で、カリスマ性を持つ野々宮空知と、美貌の姉妹と親しく付き合ったこと。だがその空知が、カンボジアで消息を絶ったという。空知の行方を追い、東南アジアの混沌の中に飛び込んだ晃。そこで待っていたのは、美貌の三きょうだいの凄絶な過去だった……

    桐野さんは好きな作家でシンパシーを感じるのだけれど、本作のダークなラストに打ちのめされた。カンボジアにポルポト政権が暗い歴史を残したのはある程度知っていたつもりだったが、ここまで悲惨だったとは。最初は、晃と同様にカンボジア甘ちゃん旅行記を読んでいる軽い気持ちだった。日本同様に次々と登場する不可解な人物達。まるで晃は張り巡らされた網にかかった蜘蛛のようだった。空知との再会を信じて疑わずに、晃と一緒に東南アジア独特のぬるい風を肌で感じながら、旅行した心持にさせてもらえたのは特筆しておきたい。

  • 【こうして、野々宮三きょうだいは、ほとんど同時期に、日本から消えていなくなった】【ものは相談ですが、あなた、まず空知君を捜しに行きませんか?】 マスクも消毒も気にしないで熱く混沌とした異国の地、町の匂いも喧騒も肌で感じるほどに本の世界へのめり込んだ。誰が本当の事を伝えているの?何を信じたらいいの?晃と、空知。二人はきっとこの先永遠に離れることは無いのだろう、読了し、ぶるりと震えた。【サイン本】

  • 著者の前作、怖くて挫折した身としては今回は最後に戦慄するも、なんとか完読した。けど、やっぱり怖かった。

    今回は八目のいい加減さが物語を重くせずなんとか救われながらも、アジアの混沌とした世界を知ることになる。

    そして、次回作を読むとき、更なる覚悟が必要である。

  • おもしろかったけど、『日没』と似ている…?
    共感したり新しい世界を知ったりというより、
    ストーリーを楽しむだけのお話なのかも。。

    主人公の晃が、なんとなく学がなさそうなのに
    語彙力があったり英語でちゃんとコミュニケーションをとってるのが、人物像にはまらなくて、最後までそこを埋めることはできなかった。

  • さすが桐野夏生って感じでグイグイ読めた。最後がいまいちだったけど、面白かった。
    カンボジアの振り込め詐欺集団が出てきて、サガミはルフィーなのかっとちょっと思ってしまった。

  • なんとなく桐野夏生さんぽくないなあと思って読むと最後は「ああ・・・」となります。
    人生上手く行かない甘ちゃん駄目男が、友人の失踪を追ってカンボジアに旅立つ事で、少しずつ逞しく成長していく物語です。
    カンボジアの観光案内的な部分と、暗部観光な部分が楽しめる本で、読んでいると結構いい処っぽいなあと思いました。治安は悪いから怖いけれど、人的には素朴で楽しそうです。
    主人公が追い求めるかつての親友空知と、その美人姉妹の出生の秘密。彼らを追う怪しい人物たち。その割に陰鬱にならず明るい雰囲気が漂っているのは、陰鬱女王の筆者としては珍しい気がします。主人公が間抜けだからかもしれませんが。
    結末で「え」となるのは桐野夏生あるあるかもしれません。今回もなかなかびっくりなラストです。

    正直な所カンボジアを書きたかったんじゃないかなと感じました。物語はカンボジアを書く為の材料だったのかもしれません。
    やはりこの方の書く文章は力があります。読みやすいけれど軽くないし、それなのにグイっと物語に引っ張り込まれるのは力が衰えていない証拠だと思います。また読んでいない桐野作品を読んで行こうと思います。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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