テーラー伊三郎

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056172

感想・レビュー・書評

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  • 2019/10/23
    いや、これは面白い。
    ワクワクする。ずっとワクワクしてた。
    それだけに真鍋女史の陰湿なやりように血の気が引いた。
    久しぶりにこんな気分が上げ下げする小説を読めたわ。
    読み終えて今大興奮やもん。寝れるかしら。
    じいちゃんばあちゃんかっこよすぎるし、お母さんも担任の先生もよかった。
    息子にアクアマリンってつけちゃうのはちょっと相容れないけども。
    彼らの今後はどうなるのかなぁ。
    悪役たちもどうなるのかなぁ。
    男女平等!世界平和!環境!みたいな反論するのが難しいようなことを声高に叫び、自分の思う正義に当てはまらない人を弾圧していくような人、今いっぱいいるけど、そういう人にどう対処したらいいのだろうね。
    自分にもそういうとこあるしね。
    嫌いな人炎上してたらニヤッとはしちゃうものね。
    これのビジュアル見たいなぁ。
    それこそ職人がアニメや映画にしてくれないかなぁ。

  • マニアック集団のマニアックな展開にワクワクしながら読みました。
    青春群像劇のようであり、商店街の老人たちとの絡みや
    母と息子との複雑な葛藤も盛り込んで、
    最高に楽しかった。

  • 地方のどこにでもありそうな、寂れた商店街。
    もう潰れたと思われていた紳士服店のショウウィンドウに突如飾られた中世を思わせる女性用コルセット。
    仕立てた紳士服店店主の伊三郎の暴走なのか、そしてコルセットに衝撃を受けた高校生海色(アクアマリン)は伊三郎と共に何をしようというのか。

    権威圧で人を跪かせる商工会役員や自分だけの正義感で他を従わせようとする女史が跋扈する閉鎖的なコミュニティ。
    でもよくよく見渡してみれば残りの人生を謳歌しようと張り切る老人たちがいて、他人から見れば理解しがたいものの自分なりの世界観をしっかり持っている少女がいて、半ば自分の人生を諦めていたものの彼らに背中を後押しされて奮起する少年がいる。
    『アクアマリン』なんて名前を息子に付けて、自分の官能漫画のアシスタントもさせて、常に能天気な母親はどうなんだろうと思っていたけれど、彼女は彼女なりに闘っていたのだろう。
    いわゆる町おこしのようなものでは全く無く、敵対する人々をやっつける勧善懲悪な話でもない。
    伊三郎始めとする老人たちや海色たち高校生、それぞれがそれぞれの得意分野、好きな分野を思い切り生かして楽しんでやり切る話なので気持ちいい。
    終盤ピンチがあって、川瀬さんなのでもしかしてこのままバッドエンドか?と心配したけれど、逆にこの弾けっぷり、良かった。
    意外に良かったキャラは海色の担任教師。『生徒によって態度を変える』という教師は事なかれ主義なようできちんと海色のことを見てくれていて、適切な助言もしてくれていて、でも綺麗事ではなくて魅力的な教師だった。

  • 田舎町のテーラーで奥さんを無くしたことにより
    何かを取り戻そうとしている一本気な男 伊三郎。

    母親の官能漫画のアシスタントのような事を
    手伝ってるうちに中世や美術についての知識を知らず知らずのうちに溜め込んでいたアクア

    この2人が出会うことによって物語が動くのですが

    福島県あたりをモデルにしてることからも
    被災地としてや田舎町の嫌なところが
    きちんと描かれてて

    新しい事を始めるときに大手を振って
    手助けしてくれる人なんかいなくて
    前例がないからということで黙殺されるのが
    関の山なわけで。

    ただアクアたちは強固に戦おうとしているわけではなく
    楽しいこと、ワクワクする事をただしたいだけだから
    邪魔しないで下さいね。いうスタンスが
    そうそう。突き進め!となる。

    交わらなければいけないのは
    交わらないと決めつけてる人なんだな。



  • 福島県の中途半端な田舎で色褪せた日々を暮らす男子高校生アクアは瓦町商店街の時代遅れな仕立て屋のショーウィンドウに飾られた古いボディに目が釘付けに!

    ◆うわぁー、もうやっばい!GGI、BBAたちがかっこよすぎる!古くからの伝統技術と確かな職人の勘と腕を継承しながら新しいことへのバイタリティ!ネットワーク!それの原点(・_・、)。エウ"ェレット・ジャポニズム、見てみたい!!

    官能漫画家の母ちゃん仕込なフランス王朝時代の裏歴史とかドレスや下着の名称、時代、階級までわかるってwwコール・バレネの変化とか面白かったな-。綺麗なもの、可愛いものは歳を重ねても女心をわくわくさせる。おばあちゃんモデルたちの凛々しさ、初々しさ、手仕事の確かさがまたカッコイイッ。スチームパンクの明日香ちゃんの素直さがホント可愛い。「年寄りは頭が固い上に完全停止してるから新しいものを受け入れない習性がある」って古い技術も最先端への興味も併せ持つマッド・エンジニアなタルタロス氏がお気に入り(笑)

  • 古ぼけた仕立て屋のショーウィンドウに飾られた〈コール・バレネ〉。場違いな女性下着の登場は、保守的な田舎町を騒然とさせていく。
    母親を筆頭に、クセのある人物ばかり。一風変わった人間たちが、その個性を活かし、のびのびと動き回る。枠にはめられることなく、自分たちのポリシーをつらぬこうとする姿が、痛快。
    楽しいエンターテイメント作品で、読後感もさわやか。
    花園あずき『麗しのドレス図鑑』のおかげで、コルセットや服飾の話題は、具体的にイメージしながら読むことができた。

  • 民俗学ミステリのデビュー作や、警察モノの法医昆虫学捜査官シリーズなど、ミステリ・サスペンスタッチの作品が多い作者さんですが、今作はご老人方と現役高校生がタッグを組んだエンタメサクセスストーリ―。ご老人方が出てくる川瀬さんの作品と言えば、「桃ノ木坂互助会」がありますが、そちらがかなりブラックな展開だったのに対し、今作は、愉快痛快で、楽しく読ませていただきました。主人公のアクアくんも含め、高校生組もなかなかにクセは強いですが、ご老人方もそれに勝ろうかという勢いのクセの強さ。よくもまぁ、ここまで揃えてきたものだと半ば呆れます(褒めてマス)。コール・バレネと呼ばれるコルセットの歴史や背景の薀蓄も興味深かったし、サクセスストーリーとしても面白く読めました。願わくば、有川浩さんの「3匹のおっさん」みたいに映像化してほしいかな。

  • くせの強い登場人物達が互いに信頼し合って、好きを追求するストーリーにとてもワクワクしました。

    作品だけじゃなくその背景にある物語もプロデュースするところ、面白かった〜

    ぜひ映画で見たい!

  • なんとカッコイイじいちゃん、ばあちゃん達なんだ!(*≧∀≦*)そんな凄い人達と革命を起こす高校生達の知識も半端ない(゜゜;)テーラー伊三郎の新作が欲しいけれど、高価で手が出ないから、せめて動画をみたいな~(^^)♪

  • 初めて読む作家さんだと思うけど、とってもおもしろかった!
    こういう少年と一本筋の通った味のあるおじいさんの交流という私好みの設定のうえに、話にも引き込まれた。映像で観たい!! テーラー伊三郎を。

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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