- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041063415
感想・レビュー・書評
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タイトルと表紙に惹かれて読んだが、いまひとつあわず、途中で断念。最初の話だけ読んだが、常識も礼儀もない失礼な親子に嫌な気分になった。この子達は将来どうなるんだろう…。
子供は親の鏡というから、気をつけようと改めて思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
普通の日々からひょっこりと顔を出す非日常。
そんな6つの小さなお話。
せとのママの誕生日、がとても好き。
古いスナックせとにはたくさんの女の子たちが勤め、クビになっていった。
ママは女の子の武器をみつけるのが上手。だけどそれを無くしてしまった女の子たち。
サプライズで企画したママの誕生日に、それを探して見つけて持ち寄った女の子たちは……。
こういう淡々とした非日常のお話って、たまらなく愛しくなっちゃう。 -
清々しいほど、一貫しており、ここまで主題を一つに絞っている作家も、珍しいのかもしれない。
ただ、何が一貫しているのかを、はっきり言葉にすることは難しい。
しかし、作者名を伏せて、初めて本書を読んだとしても、何か今村さんの作品を読んだことがある方なら、おそらく、「ああ、今村さんだな」と、すぐに分かるだろう。
それくらいの一貫性があり、『あひる』を読んで、こういう物語を待っていたんだという方なら、間違いなく本書も楽しめるでしょう。
ただ、初めて今村さんを読む方は、どう思うのか?
なんとなく見当は付きます(思い上がりは承知の上で)。
ああ、なんかあるよねぇ。こういう不穏な雰囲気。
人間には嫌な一面もあるし、でも、こういうのって、無意識の悪意みたいな感じで、誰も責められない感じが、また心憎いよね。特に子供の場合は。
みたいな印象を抱くのではないか、と。
私も、不穏な雰囲気は『あひる』で充分感じたのだが、どうも前回に読んだ『こちらあみ子』の影響か、本書を読み終え、それだけじゃない気もしてきた。
それについて、収録作を追いながら、考えてみよう。
『白いセーター』
のっけから、早くも察することのできる、この安定した不穏感。読んでいく内に、案の定の展開だと思ったが、ここでは、最初の一文と、周りの人への気遣いに救われている感もある。それから、子供の絶妙な使い方が凄い(誉め言葉です)。
『ルルちゃん』
ベトナム語の先生は、まだ可愛いもので、上には上がいたというお話。
「思わないのかってきいてるの!」
こ、怖い・・と思ってたら、更に上がおりました。
『ひょうたんの精』
ファンタジーの要素が入った、おとぎ話のような物語だが、だからこそ可能にさせた、この切なさが良い。一人でも自分の事を見ていてくれる人がいるという展開は、何か胸にくるものがあるし、後輩マネージャーのツッコミが、また切ない。
『せとのママの誕生日』
眠ったまま目覚めない、スナックのママの誕生日に集まった、三人の元従業員達の思い出話というと、聞こえはいいが、ある意味、これは悪ふざけが過ぎるとも捉えられかねない、酷さにも感じられる一方、彼女達は、本気でそう思って、やっているだけなのかもしれない。結局、人の心の中なんて、誰にも分からないし、その辺を曖昧に描写する、今村さんの文章力はやはり凄いと思うし、ファンタジーにして、グロさを和らげている所も、また心憎い。
『モグラハウスの扉』
絵本の世界なら、さぞ素晴らしく、夢のあるお話になったのだろうが、生憎、これは現実の物語だった。
子供へ夢を与えようとしただけの思いが、まさか、こういう展開になるとは・・充分ありうる話だと思うところに、また鈍い痛みを感じさせられ、辛いものがある。しかし、私の思いとは裏腹に、その当事者は、あまり悲観的でもなさそうだ。
『父と私の桜尾通り商店街』
表題作ということで、これはいい話だなあ。
しかも不穏さというよりは、ただの偏見だし、主人公「ゆうこ」の、これまでの現実を変えようとする、前向きさもいいじゃない。
ただ、最後の最後、惜しかったな!!
そこで、組合の話題を出したらダメだって・・
でも、これが今村さんらしさかとも思えたし、人生に100%の完璧さを求めなくてもいいんだよねと思わせる、エンディングもいいものだなと感じた、この爽やかさは、他の作品には無かったもので、他が合わなかったとしても、これだけは読んでみてと勧めることの出来る、名作。
以上、6つの短篇を踏まえて、不穏さもあるとは思ったが、一つ、別の話として、『こちらあみ子』に収録された、『ピクニック』という短篇について、私は、彼女らが本当に後輩の事が心配で、人情的優しさで関わっていると思っていたのだが、他の方のレビューに、あれは明らかに悪意でやってると書いてあるのを見て、面白いなと感じた事があります。
結局、それって、人それぞれが人それぞれであると、いうことなのかもしれないなと思ったときに、私は、この不穏な物語だって、どんな気持ちでしているのかということを、人である以上、100%分かるということはないのではないかと思いますし、無意識の悪意というけれど、それだって、突き詰めれば、全てのケースにそれだけが正解だと確定することが、どうして出来るのでしょう?
善意でもない、悪意でもない感情だって、人間にはあるはずなのに。
そんな、不確実で曖昧なことが世の中には、たくさんあるのだから、周囲の声など気にせず、自分の思うまま、好きなように生きていったっていいのではないか、といった、実はとても明るく前向きなメッセージも、今村さんの作品には、含まれているような気がしてきたんですよね。 -
違和感を抱えて生きるすべての人へ不器用な「私たち」の物語
せとのママの誕生日がげへぇという感覚。
描かれていない隙間に読者の持つ想像力で成り立つゾワゾワ感が居心地の悪さの元なのだろう。
その元をたどると自身の違和感や不安や恐怖にたどり着く。 -
白いセーター
彼氏の姉の子供4人も子守りするのは、キツすぎる。
ルルちゃん
図書館で出会った女性の家にいたのが、ルルちゃん。
ひょうたんの精
体の中に七福神がいて、栄養を取られたから痩せられた。
せとのママの誕生日
スナックのママに、女の子たちの懐かしい面影を飾る。
モグラハウスの扉
モグラさんと学童のみっこ先生との不穏な関わり。
父と私の桜尾通り商店街
商店街でハブられてるパン屋の物語。
どの話もおもしろかったー!!
せとのママの誕生日は、寝てるママの体に
レーズンやひじきを置いてる描写が可笑しすぎて、
今村夏子さん天才!!と思えたよー!!
モグラハウスも、モグラさんが変な人かと思えば
まさかのみっこ先生が変なパターン!?
いやー、中毒性のある本でした!! -
相変わらず不穏な今村夏子。同じ素材でも調理の仕方次第でほのぼのした心温まるお話に仕上げることも可能だろうに、なぜかどこかしら不穏。やさしげな言葉でコーティングされているけれど、紛れ込んだ悪意の異物感にぞわっとなる。
とくに表題作は、語り手の女性の幼児性がちょっと怖い。言動から序盤は小学生くらいの女の子なのかと思っていたら、じょじょに年齢がわかってきて、とんでもなかった。好きだったのはチアリーダーのなるみ先輩のお話「ひょうたんの精」。「せとのママの誕生日」も面白かった。
※収録
白いセーター/ルルちゃん/ひょうたんの精/せとのママの誕生日/モグラハウスの扉/父と私の桜尾通り商店街 -
安定のおもしろさ。ズレてるひとの描き方がほんとにお上手で、段々と引き込まれていく。日常の狂気にひやっとする。
おしゃれな装丁・ハートフルな表題とのギャップが最高です。 -
図書館本
タイトルに惹かれて手に取りました。
6篇の短編小説
タイトルからして優しいイメージを湧いてたけど、どの小説も少し冷たさを感じてしまいました。
今村さんの不思議な文章(難読)異次元な世界、冷たさを感じても次は、どんな手の混んだ内容なのか気になり始めてしまいます -
短編集。タイトルと表紙のイメージとは違う不思議な、読み終わった後気持ちが暗くなるお話ばかりだった。
個人的には好みでなかったです。 -
なんか終わりがすっきりというかスカッとしないなぁ・・・。期待してたけど、ちょっと残念かも。