ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法

  • KADOKAWA
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071861

作品紹介・あらすじ

最注目の科学者が作家と議論した「2021」以後の日本のビジョン。

山積する社会課題を解決し、新しい時代を構想するためには、今の日本を規定する「近代」を見つめ、機能不全の構造をアップデートする必要がある。ビジョンを描いて汗をかく実践者二人による社会を変えるヒント。

感想・レビュー・書評

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  • 政治家・猪瀬直樹を毛嫌いしていたが、この本の中身は抽象的でビジョナリーながら、経験に基づいたとても説得力のあるものだった。

    政治がビジョンを示しテクノロジーが支援するポリテックが浸透する日が来るだろうか。
    形は歪かもしれないがきっとすぐに来る。その時に私も、1枚噛む、出資するくらいの度量を備えたい。

  • メディアは2020年の東京オリンピックの話題で賑わっているが、落合氏と猪瀬氏は2021年以降の日本社会のビジョンを描く必要性を訴える。人口減少で地方の過疎化が進む一方、東京へは人口が流入し続ける。5Gにより通信速度がさらに速くなり、介護や医療の分野ではテクノロジーを応用して人手不足を補うことが可能になる。政治面におけるテクノロジーの導入(ポリテック)を進める必要性も強調する。落合氏はよく最新のテクノロジーと絡めて話をするので、読んでいて面白い。

    p169
    将来的には、多少不完全な文であっても統計手法が翻訳を完成させてくれるという時代がやってくるでしょう。書き言葉でも、言葉の意味を定義して、論理的に5W1Hを使いながらしっかりと書くので、よく書けている論文であれば、概ね機械翻訳で十分というレベルで完成するようになるでしょう。
    これが何を意味しているかというと、論理的に語れて、論理的に文章を書ければ問題がない時代がやってくるということです。機械翻訳は誤訳が多いと語る人たちがいますが、それは機械翻訳の問題というよりその人の日本語力の問題であることも多いです。元の文章の主語が抜けていたり、過度に文脈に依存する意味が曖昧な言葉が使われていたり、そもそも文章の構造が間違っていたりすることが多い。適切に日本語を操る能力がなければ、テクノロジーの恩恵を受けるこれができなくなっていることを意味しています。

  • 皆が注目する2020ではなくその先に目を向けようという話。恐ろしく教養レベルの高い2人の持論はたぶん間違ってないんだろうとはわかりつつも、具体的に共感できるコンテンツや印象に残るフレーズは無かった。

  • なぜ平成は失われた30年になったか。それはビジョンがなかったことに一因があります。
    人口減少ほか日本が直面する諸問題、技術革新による時代の変化を理解し、社会を構想しアップデートすることが未来にむけた僕たちの責務です

    テクノロジーフォビアにならないこと。ロボットフレンドリー、テクノロジーフレンドリー

    現状を嘆くだけで終わるか、あるいは解決に向けて動き出すのか。いまこそ後者の決意が必要とされているのです

    財源がない 自治体は住民税と固定資産税くらいしか独自財源がない

    都心3区 千代田区、中央区、港区は2040年まで人口が増え続ける

  • 落合氏と猪瀬氏がお互いをリスペクトしながらそれぞれの考える日本の未来と求められる思考法を語るという本です。

    落合さんの本を読むと、「日本は決して終わった国じゃない」という希望が持てるから好きです。猪瀬さんの文章は初めてですが、『ミカドの肖像』『昭和16年夏の敗戦』といった過去の作品に興味を持ちました。

    印象に残ったのは。第二章の「日本の風景」について。
    「ドラえもん」の風景が無意識に日本人を縛り付けている。【均一な教育】【年功序列とローン】【マスメディア】という高度経済成長期の遺産を象徴しているのが「ドラえもん」だといいます。

    アニメや漫画は日本が誇るカルチャーだと言われていますが、キャラクターばかりのコンテンツが日本の本当に見せたいものなのか?それが当たり前だと思っていたのでその問いに面食らいました。

    この本を読んだのが2023年。いちおうオリンピックも終わり、日本は不祥事というとんでもないモノを世界に発信しちゃったわけですが。。。



  • *ポリテック
    政治がテクノロジーで変わる、テクノロジーが政治で変わる、政治とテクノロジーそれぞれが変わる

    ◎次の時代を考えるに大切なこと
    ①歴史や統計データを知ること
    ある時代でチャレンジして失敗しても、この時代なら成功するかもと仮説を考えながら歴史を学ぶ
    ②論理的な日本語を身に付けること
    ③時代に適合した文理を問わない教養を身につけること

  • 次の時代を考えるために重要な3つの力。それらを認識したうえで、自分のコンテキストに当てはめて思いをはせる。

  • やはりここ数年の中で1番大きな変化は5Gがインパクト大きいのだろうなという気がしている。具体的にどう変わるのかはまだ実感出来ないが、いよいよ自動運転が当たり前に導入された時にオレの仕事(配送)はなくなってしまうのだろう。でもあまり悲観的にならず、必ず他にチャンスはあるはずだから今から取り組むべきだ。その1つが落合氏の言うメカニカルアーツかも知れない。今からでも遅くないやれるだけやってみよう。今自分は大阪住みだが、いつか東京に出て地方と行き来する2拠点生活か、頻繁に地方を訪れる生活を実践してみたい。「観光客」としてその土地その土地を訪れてインプットすることを通して新たなアウトプットを生む可能性に賭けてみたい。その時にはやはりモチベーションが大切になってくる。高いモチベーションが生産性も判断力もあげるだろう。とはいえオリンピック以後の日本は景気が悪くなるとか、もう暗黒時代が到来するかのように語られることが多いが、いたずらに落ち込んでても仕方がない。両著者のように希望を持ちたい。これだけのインフラが整った国は他にそうないのだから、そして何処よりも早くこの危機を経験する事は乗り越えられた時、日本にとって大きなチャンスとなり得るかも知れない。だって何が成功で何が失敗なのかなんてその成否はないのだから。

  • 印象に残っている話。
    自分が勤めている業界でも前例踏襲主義が蔓延っているということが感じられ、それらを意識的に変革していかなければ、先細りしていくように感じられる。

    最近ではチャットGPTのようなイノベーションが出てきているので、そういう新しいものにいち早く適応していきたい。

  • 落合陽一さんと元東京都知事の猪瀬直樹さんの対談本。お二人の見識の深さや広さを、熱量を持った議論から理解できる本。

    落合陽一さんは学生に、手を動かせ、ものを作れ。批評家になるな。ポジションを取った後に批評しろ。と言っています。手も動かさず者を乱さず、批判と愚痴を垂れ流す。そんな人は山ほどいますが、手を動かしながら語る人は少数派です。

    猪瀬さんは戦後の日本をさして、ディズニーランドの中で生きているようなものだと常に語ってきた。それは命神神神の日本は日清日露戦争と言う国名を乗り越えて国を作ってきた。安倍晋三首相が解散の粒に掲げた国難、とは比べ物にならない位の国難を実際に突破してきたのが、明治期の日本であったといえます。ところが戦後の日本は防衛外交などおよそ製造に関わる全ての政策をアメリカに任せてしまった。アメリカ任せにする過程であるはずの国難は消失し、結果として個人の葛藤も消失していきます。日本人は外の世界で起きていることを忘れ、ただディズニーランドの打ち合わせで暮らせば良い。アメリカ初の画一性を受け入れその中で自分たちの楽しい日常を謳歌しようと言う方向に突き進む落としている。

    長野オリンピック閉会式に生歌故郷を取り入れた演出がありました。3番の歌詞には、志を果たしていつのひか帰らんと言う言葉があります。この志と言うキーワードは改めて強調すると明治の立身出世はエゴイズムではなかった、と言うことです。

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著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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