夜の淵をひと廻り (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 124
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041075371

作品紹介・あらすじ

国内ミステリー1位作品!(bookaholic認定2016年度)
異色のコミュニティ・ヒーロー「シド巡査」誕生!

「警察官だって怖いものは怖いんだよクソったれ」
すべてはみずから体験した記録だ。“シド巡査の事件簿”と銘打ってもらってもかまわない。
これはある交番警官の偽らざる所感記録である。だがそれだけじゃなく……。 
世界が逆転する麻薬的な味わいのサイコ・サスペンス・ミステリ。
「この世界が住みやすくなるように戦う人たちのことを“ヒーロー”と呼ぶんです」

職務質問と巡回連絡が三度の飯より大好きで、管轄内で知らないことがあるのが許せない、良く言えば「街の生き字引」、率直に言えば「全住民へのストーカー」。
西東京のいくつかの主要都市に挟まれたエアポケットのような地「山王子」のある交番で住民を見守るシド巡査のもとには、奇妙な事件が呼び寄せられる。
魔のバトンが渡されたかのように連鎖する通り魔事件、過剰すぎる世帯数が入居したロッジ、十数年にわたって未解決のご当地シリアルキラー。
普通の人々が暮らすこの街の片隅には、怪物の巣食う奈落がひそかに口を開けている。  
長年にわたる報復の連鎖、悪意のスパイラルを追い続けた果てに、シド巡査がたどりつくのは――。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずクセの強い作家だ。作品自体は面白いのに勧める人を選ぶ必要がある。
    「畦と銃」が面白かったので期待して読んだが、読みやすさは本書の方が上。
    連作短編集で、一話一話も比較的綺麗にオチている。
    ただ、老紳士や主人公シドなどの寓話的な世界の中に、やけに現実的な犯罪が多く組み込まれていることで、なんともいえない気持ち悪さが残るのが、やや残念ではある。
    個人的なベストは「新生」。

  • クセ強めだけど、私は かなーり好き。シド巡査にもう会えなくなるのかと思うと、読み終わるのがさみしかった。

  • 「夜の淵をひと廻り」真藤順丈

    うっわ〜〜‼︎ びっくりでした。
    お・も・し・ろ・い〜〜と呟きながら一気読み。本のグループの方からの紹介で手に取った作品です。シンドウジュンジョウさんと読むのですね。もちろん初読み作家さんでした。

    『驚愕のサイコ・ミステリ』って、ネットにはありました。サイコといえばサイコでもあるけど、私自身は、かなりユーモアのある作品だと思いました。もちろん、かなり酷い事件もあり、ブラックではあるのですが。なんといっても語り口が面白い‼︎

    9つの連作短編なのですが、そのうち、4つは書き下ろしです。
    1作目の『蟻塚』も書き下ろしなのですが、ワタクシは、もうこの1作目で、ガシッと掴まれてしまいました。
    「やだ、なにこれ⁉︎ 面白い‼︎」
    というわけで、凄い勢いで読んでしまいました。

    ランナーズ・ハイならぬ、パトロール・ハイとなっているシド巡査は、自分自身のことを非常に優秀だと言ってはばからず、そして、言うだけのことはやるのである。
    まあ唯一思うのは、この街だけで、こんなに恐ろしい事件が起きる⁉︎ ってとこだけど、これは設定からしてもう、良しとするしかないし、それを上回る面白さがあるのでOKなのです。

    謎解きも面白いし『新生』では、たくさんのキャラクターが出てきて、ちょっと映画的だった。いずれにせよ、繋がってはいるけど、9編とも、それぞれの面白さがあります。

    ある意味、へんてこりんで、かなり不思議な世界観なので、お好みは分かれるかもしてませんが、私は大好きです(^o^)これ、続編があればいいのになあ〜〜‼︎

  • ホラーミステリーになるのかな?
    特異な事件が他発する街の警察官が街を取り巻く謎と相対するお話。連作短編集とも、章立てとも読める。

    残虐で残酷なシーンもあるがそこは大して気にはならず
    そこを中和する目的なのか主人公の言動がコメディタッチで綴られていて、シリアスでも良かったのではないかというのが個人的な感想。

    読んでるうちにデヴィッド・リンチの「ツインピークス」を思い出し、もう一度観てみたくなった。

  • むく浮腫んだ顔をもた擡げて 怒張する 血煙の立ちのぼる修羅場と化して 教唆や幇助といった人間がこさえた陳腐な概念で私を縛ることは出来ないよ 余暇には殺人を嗜んでいたというのだから規格外の危険人物だ 急激に襲ってきて日常を蹂躙する災禍 ある種の人間にとって知識欲を満たすのは最高の快楽ですから。実際に自分でやってみなくては得られない快楽の虜になって、ラモンは日本に来る度に犯行を重ねてきた。 驚倒きょうとう 説諭せつゆ 「猿から人間になっても、船乗りが新しい大陸を発見して、科学者が色んなものを発明して、宇宙飛行士が月にまで行っちゃった。好奇心を絶やさずに自分の外の暗闇に向かっていけるのは、人間の最も偉大な習性なんだ」 少年の契りのような激甚な衝動に襲われているのか こっかい告解 垂訓 警邏けいら 説諭や非難を向けるつもりはなかった 逸さずに

  • シドさんをもうちょっと深掘りして欲しかったなぁと読み終わっての感想。スターテイルが悲しいのだけど綺麗なお話で好きです。

  • 短編で読みやすく、どの話も面白い。どんでん返し系の展開が好きなので、そうした話も入っていたのが嬉しい。目を背けたくなる暴力的描写もしばしばあったが、そこはさっと読み飛ばした。
    独特の文体、主人公・シド巡査の独特の話し方から、最初シド巡査をちょっと頭がアレな感じのヤバい人だと思っていた。実際ヤバい人ではあるのだが、人情味のある優秀な警官だった。他の登場人物のキャラも立っていてgood。

  • 後半だる

  • 記録

  • 短編と中編が入り乱れた連作集。ミステリーではあるが、何やら超自然現象的なシーンや人物がいて、何だか「ツイン・ピークス」を観てしっくりこなかった感想を思い出した。
    内容は悪くないが、文体に違和感があり、情景がすんなり頭に入ってこない。
    最近、こういう本が増えているが、こっちが歳とってついて行けてないだけなんかな?

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著者プロフィール

1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。2018年に刊行した『宝島』で第9回山田風太郎賞、第160回直木三十五賞、第5回沖縄書店大賞を受賞。著書にはほかに『畦と銃』『墓頭』『しるしなきもの』『黄昏旅団』『夜の淵をひと廻り』『われらの世紀』などがある。


「2021年 『宝島(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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