教室が、ひとりになるまで

著者 :
  • KADOKAWA
3.54
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本棚登録 : 786
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041077665

作品紹介・あらすじ

北楓高校で起こった生徒の連続自殺。ショックから不登校になった幼馴染みの自宅を訪れた垣内は、彼女から「三人とも自殺なんかじゃない。みんな殺された」と告げられ、真相究明に挑むが……。新世代・青春ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  •  過ぎ去りし我が青春の日々か。「青春ミステリー」が最近のお気に入り。
     主人公が通う高校で三人の生徒が続けて自殺。幼馴染の女子生徒に自殺ではなく、あれは殺人だと告げられる。そして主人公には異能の力が与えられる。他にも三人の力を持つ生徒がいる。犯人も力を持つ者なのか?、それは誰?、そして目的は?

     初読みの作家ですが、非常に面白かった。ミステリーで異能の力とか魔法の類は禁じ手とも言われるが、今作ではそれが上手く使われている。犯人の異能の力(いろいろ制約がある)とは何か。どうやってその力から身を守るのか。

     謎解きよりも、主人公たちの心の葛藤とか闇、あるいは暴走を描いている。最後はダークサイドに堕ちなくて良かった。

  • 自分を殺してまで調律なんかされたくたくない。
    コミュニティに煩わしく感じるが、寂しがり屋の一人好きな方にオススメです。

    特殊能力を代々受け継がれる高校が舞台。
    その能力を受け継ぐ者は受取人と言われる。
    校内で起きた連続自殺を、後に特殊能力のもった者の犯行とわかる。その能力を無効にさせる為、主人公の垣内らのファンタジーミステリである。
    発端はスクールカーストである。タピオカ屋ののり子さんの話しがまさにその通りにの経緯だ。
    集団行動に馴染めない人、一人行動が好きな人には学校は、違う動物が檻に入れられた空間である。とても共感できる。

    読後、教室が、ひとりなるまで、この題名の後に続く言葉をひとりごちた。


  • 安全ピン
    アコースティックギター
    人を好きになる
    ネクタイの色
    カースト

    なかなかに若くて切ない

    図書館から借りた本

  • 6人の嘘つきな大学生から知った作家だけど、これが本格ミステリと日本推理作家のW候補になった小説。
    立て続けに3人も自殺する生徒が出る学校には、特殊能力を持つ4人の生徒がいた。主人公垣内もふいにその能力者になったが、発動条件と能力についてバレると失効する。残り3人は誰か、どうやって自殺に見せて殺されたのか、どうやって解き明かしていくのか、その動機、その学校で何が起きているのか。
    トリッキーな内容だったけど、その年代の表に出さない本心、生きづらさに当時読んでたら深く刺さってたかもなと思えた。物語はそこで終わりだが、色んな意味でその後も続くんだよな。
    365冊目読了。

  • 『初期浅倉作品の集大成』

    始まりから衝撃。短期間で同級生が3人も自殺したところから物語は始まる。クラスメイトは悲しみに打ちひしがれるが、4人目の"予告"があったことで事態は急変。事件か、事故か…。主人公が謎解明に奔走する青春学園ミステリーだ。

    この作品の肝となるのが"受取人"の存在。受取人とは秘密裏にこの高校で代々受け継がれる超能力者のこと。なぜ秘密裏かというと、能力の効果と発動条件がバレると受取人の資格を失ってしまうからだ。なお受取人は校内に4人いるという。ファンタジー色が強いと思われるかもしれないが、リアルとうまく融合させて物語を組み立ててある。決して万能ではないこの超能力を駆使して謎を追うことになるのだ。

    実は超能力を用いたミステリーは、浅倉先生のデビュー作である「ノワール・レヴナント」でも描かれている。そして超能力の発動条件や失効条件といった緻密な設定、またその設定の制約を逆手に取った伏線回収は「フラッガーの方程式」のようであり、初期の浅倉作品の集大成とも言える。その後の「六人の嘘つきな大学生」や「俺ではない炎上」の人気ぶりは言うまでもない。

    "教室がひとりになる"の意味がわかった時には、ゾッとすると同時に妙な納得感も覚えた。調律はやりすぎであるが、歪んだ正義感が一線を越えたときに現実でも凄惨な事件が起こるのであろう。疾走感のある青春学園ミステリーが好きな方にはぜひおすすめしたい。

  • 特殊能力×ミステリーって信用ならんって思ってたけどこれは面白かった。分かり合えないもの同士だとしても、分かりたい、仲良くしたいと思うのは悪ではないと思う。彼が最後に人殺しにならなくてよかった。

  • イヤミスが大好きな自分は・・・ラストの「もちろん」、震えてて欲しかった笑

  • 超能力を絡めた学園ミステリー。
    学校という組織の中での息苦しさ、スクールカーストの上と下。気持ちはわからなくもないけど、解決法が間違っている。最後はほっこりといいたいところだが、4人の生徒は帰ってこない。


    ♪自分ひとりで生きられるほど 力もないし 勇気もないし 人に合わせて生きてゆくほど 素直じゃないし器用じゃないし ♫ 「みちくさ」 新沢としひこ

  • 北楓高校2年のA組とB組の2クラスから続々と自殺者が出て‥という設定で始まる。高校生の心理をつかんだ作品と感じるも、共感はできませんでした。でも、読み終えたあとの充足感は清々しいほどでした。

  • 伏線の回収と最後のオチが綺麗で、読後に爽快感がありました!

    内容に関して言えば、本格ミステリーを読みたい人にとっては物足りなく感じると思いますが、青春小説を読みたい人にとっては刺さるのかなと思います!

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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