僕の神さま

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1247
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041097786

感想・レビュー・書評

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  • 小学校が舞台で小学生が主要登場人物の日常生活ミステリーって意外と見当たらないんで、これはエエとこ目をつけたなぁ、しかしなんか文体が若干暗め。いきいきしてないなぁ、作者の個性やとしたら、小学生ミステリーは不向きかもな…。
    ってプロローグの話を読んで思った。

    やられた、してやられた。

    ちょっと背負うには重すぎる小学生の日常問題をメインテーマに添えてきた。パチンカスの父親を持つ女子小学生川上さんを救おうとする主人公(ワトソン役)と神様と呼ばれる水谷君(ホームズ役)の活躍は、定石通りのミステリーなのだが、その余韻の重さ。

    騎馬戦問題を解決しても、呪いの図書館本問題を解決しても、その背後に常に川上さんの行く末が影を落とす。小学生にそれを背負わすか!と思わずにはいられないし、読後の余韻はモヤモヤする。

    それでもあえてこのテーマを選んだ芹沢さんの気持ち。ここに目を背けたらアカンくらい、子供たちの日常は想像以上に暗いのかも知れないなぁ。

    俺も誰もよー助けられないし、人の人生などよー背負わんが、せめて自分の家族くらいは笑顔で過ごせる家庭を築いておきたい。あったかい飯が食えて快適に睡眠が取れる家を守る努力くらいはしておこう。神様ではないが親ではあるんだから。

  • 水谷くん、しっかりしすぎ。

  • 小学生ってところが絶妙。間違えてもそれをまっすぐ受け止めてる。水谷くんはこのまま大人になってほしい気もするし、そうなったら恐ろしい気もする。

  • 小学生の「僕」と「神さま」と呼ばれる水谷くんを取り巻く日常の謎。
    川上さんの話にはなんともいえない気持ちになった。
    謎を解き明かすということは、明らかにされた真相がどんなものでも受け止める覚悟をするということでもある。
    最後1ページの描写にその違いが表れていて切ない。

  • 僕たちは何かトラブルが起きると、同級生の水谷くんに相談する。
    例えば友だちから意地悪されたら、運動会で出たくない競技があったら、弟が迷子になっても……。
    学校中のみんなから頼りにされる名探偵。
    彼が導き出す答えに決して間違いはない。
    だって水谷くんは「神さま」だから。
    夏休み直前、僕と水谷君は同じクラスの川上さんからある相談を受ける、その内容は意外なものだった……。
    (アマゾンより引用)

    川上さんは救われたんだろうか?
    水谷くんは、大人になったら、正論だけどきっついこと言うような人になりそうな感じがする…

  • 日常の謎って、どうしても「どっちでもいいんじゃない?」と思ってしまって苦手だったんだけど、この本はとても面白かった。

    特に春の作り方、はすべての文字に意味があるってくらい緻密に作り込まれていて、密度がすごかった。桜漬けをだめにしてしまった孫に対する最後のおじいさんの対応にうるっとしてしまった。
    そこが大事だったんだよね…。

    そのあとの話の水谷くんの覚悟に関する話も、神様の孤独と強さに尊敬と幸せになってほしいという気持ちでいっぱいになった。

  • *僕たちは何か問題が起きると、同級生の水谷くんに相談する。みんなから頼りにされる名探偵。彼が出す答えに決して間違いはない。だって水谷くんは「神さま」だから。夏休み直前、僕と水谷くんは同じクラスの川上さんからある相談を受ける、それは…。少女のため、2人が取った行動とは―小学生の日常に起きた、残酷で切ない連作ミステリー。

    ’あなたは後悔するかもしれない。第一話で読むのをやめればよかった、と‘ 
    と言うほど、ブラックでもイヤミスでもありません。
    主人公たちが小学生なだけに、子供らしからぬと言う意味はありそうですが。
    ほほぉ・・・とは思ったものの、子供目線で読めなくなって久しい我が身では、あまり入り込めなかったのが正直なところ。さらっと読了。

  • 神さまは本当は神さまではない

  • 僕の友だちは、困ったことがあってもなんでも解決してくれるから「神さま」ってあだ名がついていて。小学生が名推理でトラブルを解決するあたりは、なるほどとうなずいてしまいます。でも小学生にはちょっと酷な環境で、かわいそうかも。

  • 小学生の主人公の視点で話が進むため、語り口がとても穏やかで、とても読みやすいです。
    どの話も一貫して主人公の「ぼく」の視点で描かれた物語ですが、1話目で感じた主人公の印象と、最終話まで読み終わった後に感じる主人公の印象が、大きく変化していて、作者の巧みな人物描写、物語の構成力には舌を巻きます。
    ミステリーとしても秀逸で、派手な事件は起こりませんが、日常の中にある謎をコツコツと、しかし鮮やかに解いていく過程は読み応えがあり、おすすめです。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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