僕の神さま

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041097786

感想・レビュー・書評

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  • コナンくんばりに冴えた水谷くんの推理が爽やか。芦沢さんの作品にしてはかなりライトな反面、雲行きの怪しい展開もきっちり仕込まれている用意周到さ。春夏秋冬、それぞれの季節に起こるクラス内の問題。神さまと崇められる水谷くんの名推理の裏に隠された思いに、考えさせられた。

    自分が下す決断が人の人生に及ぼす影響。一歩間違えれば、相手にも、自分にも、その人生が地獄に転じてしまう。冷静沈着な口ぶりとは裏腹に、どれだけの覚悟を持って「神さま」の役割を担って居たかと思うと、心が突かれた。

  • 小学生の僕の視点で、友達の水谷君と日常を描いていく連作短編集。水谷君はみんなから「神さま」と呼ばれていて、みんなの困りごとを解決に導いていく。最初は温かみのあるお話しからどんどんビターな感じに進んでいく。他人の人生に関わることの怖さをまだ小学生にはわからなくてとても重いい。

  • この作品も、YouTubeチャンネル「ほんタメ」で知りました(たくみさんがおすすめする学園ミステリの一つだったはず)。

    芦沢央さんは、印象的な(そして恐ろしいものを予感させる)タイトルの作品が書店でよく目につき、気になっていました。
    いつかは読んでみたいと思ってはいたものの、怖いものがさほど得意では無い私はちょっぴり敬遠しがちだったのですが、この作品は、小学生たちが主人公ということで、芦沢作品の入門編に丁度良いかも、と思って手に取ってみました。

    みんなの困りごとを淡々と推理して解決に導いてしまう「神さま」のような水谷くんと、ワトソン役の「僕」。
    子供にとっては、なかなかヘビーでビターな事件の数々(いや、大人であってもか)。

    ラストは少し呆然としてしまいました。
    この作品を、入門編として選んで良かったのかどうか・・・
    (芦沢さんの作品を読むには、相当な胆力が必要かもしれません)
    ただ、少し苦しく、寂しい気持ちになりながらも、面白さに、すい、すい、と読み進めてしまいました。

    彼らは一体どんな風に成長していくのだろうな・・・

  • 芦沢央さんは、ほんとに痛いところをついてくるなぁ…、
    小学生の男の子二人の可愛い話と思いきや、最後にずっしり重くのしかかる。

  • 僕たちは何かトラブルが起きると、同級生の水谷くんに相談する。例えば、大切な桜茶の瓶を割ってしまったら、友だちから意地悪されたら、運動会で出たくない競技があったら、「呪いの本」に呪われたら、弟が迷子になっても……。

    他人のために何故ここまで出来るの?川上さんに言った言葉が刺さる。
    小学5年生にして影ある水谷くんのすべてが知りたくなる。
    他の誰も気づかないようなヒントを見つけだし、まるでその場にいたかのように真実を言い当て、1番いい解決方法を考えてくれる水谷くん。

    「水谷くん、どうするの?」「水谷くん、どこに行くの?」
    水谷くんの隣にはいつも僕がいた。あの夏、川上さんの相談を受けた時もそうだった。

    「父親のパチンコ通いをやめさせたいの」
    川上さんを助けたい!でも、僕は知ってしまう、子どもの力だけでは、どうにもならないこともあるということを。僕は正しかった、正しかったんだ。

    だけど、なぜだろう、僕の胸の中にはいつまでも川上さんが残っている…心が黒い雲で覆われたままだ。

    エピローグ「春休みの答え合わせ」で知る、水谷くんの後悔、川上さんの真実、そして、僕の本当の気持ち。

    無力さに胸が痛み、もっと自分が大人だったらと、それぞれが自分を責めたのだろうな。

    川上さんは救われたのかな?どうしたらよかったのだろう、何が正しかったのだろう、いつまでも答えの出ない切ない読書でした。

    それでも、水谷くんはきっと前を向く。誰かを助けるために。探偵とはそういうものなのだ。その時僕は…。

  • 初めての作家さんかな?

     連作ミステリー型。かわいいお話から、酷いお話まで様々なストーリーが楽しめる。ただ、主人公が小学生だけに、ライト感が前面に。物足りないというと失礼だろうか? 一時間程度で一気読みできるから良い作品なのかもしれないけれどね。

  • 芦沢央はやはり人の闇や秘密を描くのが巧みだ。小学生たちの言葉にならないものを言語化するのに探偵役の鋭い推理で切り込んでいく。本作を、爽快、とは言えないけれどズバリと切り込んでいく推理は見事の一言だし、春夏秋冬と季節を一巡するストーリーも良い。面白い連作短編集だ。

  • 読みやすい
    けど、なんかこう、入り込めない。ダーク方向に持っていかなくても良かったのでは?
    第一話は50ページほどで終わるが、しっかり謎解き要素がありストーリーも面白いのですごく好き。
    第二話は、多分この単行本の芯の話だと思うのだけど、入り込めませんでした。

  • 水谷君が冷静過ぎて小学生とは思えない。
    いまいちスッキリしなかったけど、僕が水谷君に依存しなくても生きていけるといいなと思う。
    水谷くんは「たすけて」の謎を解き、誰かの助けになるべく奮闘するんだなと思った。

  • 「春の作り方」「夏の「自由」研究」「作戦会議は秋の秘密」
    「冬に真実は伝えない」「春休みの答え合わせ」
    5話収録。

    小学5年生の僕のクラスにはみんなから神さまと呼ばれる水谷くんがいる。
    物事を論理的に考え、名推理で問題を解決して行くさまは小5とは思えないクールさだ。

    1話でほのぼのとしていると急転直下。

    2話以降どんどん形相が変わり、水谷くんに対して不気味ささえ覚え、彼を形成した家庭環境も気になり出す。

    知識がどれだけ豊富にあろうが経験に勝る物はない。

    少年の取った行動に危うさと脆さを感じ、正義と紙一重の残酷さに慄く。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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