虚魚

著者 :
  • KADOKAWA
3.20
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  • (7)
本棚登録 : 749
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118856

作品紹介・あらすじ

“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象。両親を事故で亡くした日から、三咲はそんなあやふやなものに頼って生きてきた。カナちゃんとふたりで本物の怪談を見つけ出し、その怪談で両親を事故死させた男を殺すことが、いまの三咲の目標だ。
ある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にした三咲は、その真偽を調べることにする。ある川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかり、ふたりはその発生源を求めて、怪異の川をたどっていく。“本物”の怪談に近づくうち、事情を抱えるふたりの関係にも変化がおとずれて――。
選考委員の絶賛を浴びた第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。

    怪談師の丹野美咲は身元不明の自殺志願者だったカナちゃんが酔っ払って倒れているのを拾って、一緒に暮らしています。

    美咲は車の事故で両親を中学生の時に亡くしその交通事故を起こした犯人を本当の怪談によって殺して復讐したいと思っています。

    美咲とカナちゃんは狗竜川に現れるという釣り上げた人が死んでしまうという魚を探そうとします。

    一方、カナちゃんもとある目的から、偶然ではなく美咲に近づいてきたことがわかります。

    カナちゃんの目的はこの世に呪いが実在しないことを証明することです。

    オカルトって本当にあるのか。あることを証明するより、ないことを証明する方が難しいとこの本にあります。私はオカルトはない方が絶対いいと思います。

    前半の四分の三は魚に関する怪談と美咲とカナちゃんの関係などですが、後半の方はとある人物の過去が絡みミステリー的な展開になります。

    私はオカルトやホラーよりミステリーの方が好みなので、後半の展開の方が断然面白く読めました。
    後半のミステリーとホラーの絡みにはかなりぞっとしました。

  • 怪談師と少女は,釣人が死ぬ魚の噂の真偽を調査。二人は怪異を辿っていくうちに,危険な事件に遭う。怪談より現実に遭遇する事件の方がリアリティがあって怖い。

  • 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の大賞受賞作に加筆修正して2021年10月角川書店刊。三咲とカナちゃんの怪談を追いかけるそれぞれの理由が明らかになって行く語り口に興味を惹かれ夢中になった。怪談師をやっている三咲と謎のカナちゃんに魅力があって面白い。本物の怪異はあるのかどうかという点が気になり、一気読みでした。


  • 第41回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞
    大賞受賞作

    両親を事故で失い、人を殺せる怪談を探す
    主人公の三咲。

    自殺願望を抱く身元不詳のカナちゃん。

    怪談探しに加わる三咲の元カレの昇と
    三咲を見守りサポートする弁護士の松浦。

    都市伝説や怪談に伝承的な要素も加わって、
    目に見えないうすら怖さがじわじわと
    這い寄ってくる感じが不気味です。

    三咲とカナちゃんが手繰り寄せた怪談は
    偶然か何者かに仕組まれた必然なのか。

    人間のさまざまな感情が折り重なって作る
    不可視な何かと、登場人物が胸に秘めた思いが
    複雑に絡まり合ったホラー感漂うミステリー。

  • 「人を殺す怪談」を探す主人公と呪いで死にたい相棒の設定に引き込まれました。
    ホラー小説というよりかはミステリー要素が強く、怪談の謎に迫っていく描写もテンポがよく、非常に読みやすかったです。ただモヤッとしたところもあったので評価は3くらいかなと思いました。

  • 怪談師の三咲は、呪いや祟りで死にたいと願うカナちゃんと知り合い一緒に暮らすようになった…2人は「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という話を聞き、そのルーツを辿る旅をする…そんな中それまでお互いに触れようとしなかった過去が怪談のルーツとともに徐々に明らかになっていく…。読みながら怖いなぁ…と思いました。怪談を作るのも怪談と捉えるのも人間であって…でもそれによって関わる人の人生が変わっていく…そんな風な落としドコロかな~とか、漠然と感じました。ラストは意外でしたが、読みやすい作品でした!

  • 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。
    怪談が苦手だけど、彼女たちの過去と未来が気になって夜中に一気に読んでしまった。
    本当に人が死ぬ怪談を探している三咲と、呪いか祟りで死にたいと思っているカナちゃん。二人の一致した利害がたどり着いた「見たら死ぬ魚」の怪談。とある川をさかのぼり追い続ける噂。
    怪談を探し続ける二人の旅、少しずつあらわになる噂。そしてたどり着いた「真実」。
    そこからの展開の見事さよ。
    子どもの頃、誰もが怖がりながらも心惹かれた「怪談」の、その源にあるもの。
    本当に怖いのは…
    最初と真ん中と最後の、「ぞわ感」の変化にしがみつきながら読む。
    ホラーのようでミステリ。トンデモ話のようで民俗学的、と思わせておいての伏線回収。
    コワ面白いったらありゃしない。

  • ホラーだと思っていたが、途中からもっと壮大な内容だった。
    主人公が怪談師ということもあって、中盤まではあちこちで聞いてきた怪談話がたくさん出てきたりして、情報量が多いな…と思っていた。
    怪談の成り立ち、そしてそれがどのように脚色され、どのように広まっていくのか。
    怪談の内容にスポットを当てがちだが、怪談自体に目を向けるのは新鮮だった。
    登場人物の関係性があらわになるのも驚きだし、最後は思いっきりホラーというのも面白い。
    怪談に取り憑かれた人達の行く末は幸か不幸か。

  • 怪談の出どころを探す。そんな中で登場人物の関係性が暴かれていく。
    ホラーの要素もミステリの要素もあり楽しめました。

  • 着地、構想が良い。テンポの良さも際立っている。良作。

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著者プロフィール

1992年生まれ。長野県上伊那郡辰野町出身。2021年『虚魚』で第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>を受賞し、デビュー。

「2023年 『きみはサイコロを振らない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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