隠居すごろく (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 799
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041119006

作品紹介・あらすじ

巣鴨で六代続く糸問屋の主人を務めた徳兵衛。還暦を機に引退し、悠々自適な隠居生活を楽しもうとしていたが、孫の千代太が訪れたことで人生第二のすごろくが動き始めた……。心温まる人情時代小説!

感想・レビュー・書評

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  • 楽しくて、温かくて、涙あふれた。最後の方まで、隠居生活を「すごろく」になぞらえる意味が分からなかったけど、ラスト2ページを読んで、納得できた。賭け事でだまされたり、静かに暮らすはずが予想だにしなかった展開になったり、火事にあったり、色んな災難が襲っても、失敗したからそこで終わるわけじゃなくて、さいころを振って行き着いたマスがたまたまその災難のマスであっただけで、またさいころを振れば先に進んでいけるし、人生はさいころに連れて行かれるものなんだと考えたら、とても面白い。
    そして、私は、お登勢のような女性を尊敬する。夫に振り回されずしっかり自分を持っていて、まわりにきちんと気を配れる、我慢強く余計なことは言わないステキな女性だと感じた。
    話の中で上州の絹のこと、手習所について詳しく触れられていて、とても勉強になる一冊だった。

  • 居場所を見つけていく話だった。
    すごろくのように、少しずつ転がって、ぴたりぴたりと収まっていく。
    多少戻りはあっても、盤そのものがひっくり返されるようなことは起こらない。
    読後感の良い作品だった。
    続編があるという。この、ぴたりと収まった後、子どもたちの更なる成長が見られるのだろうか。あるいはご隠居の?それともお登勢さんの?
    とても楽しみだ。

  • 喜介に感銘を覚えました。
    賢いお人だ。わたしもそうなりたい…

    隠居生活に何をしたら、とか上手く馴染めなかったりとか、まさに仕事人間だった人だからこそで、実際に当時にこんな人はいたのだろうかと面白かったです。

    子どもの突拍子のなさに振り回される大人というのは、本人が厳格なつもりでもちょっとおかしくなってしまう。
    いつまでもこの楽しさが続いてほしい。

  • 定年退職して、4年。旅行に出かけたり、ジムや料理教室に通ったり。そんな日々を過ごしながら、かつての教員の仕事に関わる仕事も週の半分してきた。別の仕事に就く仲間もいたが、自分にはこれしかできないと思って時間を使ってきた。この本、迷いを吹っ飛ばし、自信を持ってこれから過ごしていける、覚悟をもらった。

  • おすすめにあったので、読み始めました。
    初めの方のごちゃごちゃが、最後にトントン拍子にすすんで、スッキリしました!やっぱり人付き合いは大切ですね。
    ただ、江戸時代の風習や慣習を、あまり知らないので読むのに苦労して、読了に時間がかかりました。米問屋のあたりは、3回くらい読んでもちんぷんかんぷん。解説が欲しい…。

  • 心暖まる人情時代小説、まさに!主人公のご隠居さんが、融通の利かない素直でもない奥さまに優しくもないじいさまなんだけど、変わっていく、というか本来の人のよさが表に出始めるというか、ぶつぶつ言いながら楽しみを見出だしてしまうあたりがニヤッとしてしまう。卑怯な相手に大声できる啖呵とか最高。他の登場人物もとにかくみんな魅力的で応援したくなる。

  • 経済ものであったかと途中で気付き、そこから勢いもって読み終えました。続編も読もうと思います

  • 6代続く糸問屋・嶋屋。
    仕事一筋、33年間家業に励んできた嶋屋徳兵衛は
    還暦を機に自由気ままな隠居生活へ、
    しかし性格に難のある徳兵衛。
    趣味、道楽、友人もいなく
    家族からは煙たがられ隠居生活は味気ないものに、
    そんな時に8歳の孫・千代太が訪れてきた。
    この千代太、
    犬を拾ってきたり猫を拾って来たり、
    しまいには人間の子供まで?

    次から次へと厄介事を持ち込む千代太に
    振り回される徳兵衛。
    描いてた隠居生活とは予想もしてない展開に!?
    隠居から始まる新たな人生。

    人生第二のすごろくが動き始め
    回りまわって自分の道楽も見つけることに…
    心温まる人情時代小説!


    最後のページに泣きそうになる、
    ええ話や(´;ω;`)ウゥゥ

  • 読み始めた時には想像できなかった展開続きで、とても面白かった。

  • とても面白かった。話のテンポもよくて気持ちの良い作品だった。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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