紙屋ふじさき記念館 結のアルバム (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041131794

感想・レビュー・書評

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  • コロナで日常が大きく変わってしまった時代。この時期の学生さんや新入社員さん大変だったと思う。コミニュケーションのとり方に悩んだ時期ですね。
    百花さんも就職が内定し、記念館が川越になりそうで、この小説も川越の仲間入り?
    これからの展開が楽しみ。

  • コロナにより記念館閉店イベントがすべて中止になる失意から、コロナ禍の日々。百花の就職活動、和紙への思い、卒論、そして記念館再建へと走り出した藤崎さん、と。◆藤崎産業の就職試験に悪戦苦闘する百花へ、館長が希少な手漉き和紙見本帳を貸し出すことで、最終試験での迷いが晴れ、「和紙のうつくしさを広めるために生きていきたい」と真摯に和紙への思いを語り内定を得られた百花。◆「人はなるようにしかならないし、できることしかできない。そんな気がするんだよね。みんな、自分にできることをするしかないんだと思う。こうしなくちゃいけない、とか、こっちの方が優れてる、とかじゃなくて」(p.176 百花)◆まっすぐな気持ちをあたたかい理解が包んですこしでもよい世界に、と感じられる物語。次巻は新記念館を舞台に、社会人になった百花の活躍が見られるのだろうか。それがたのしみ。

  • 思わず百花の気持ちに入り込む感じ。
    いよいよ卒業、そして藤崎産業入社。
    コロナのことが日に日に遠くなる中で、そうだった!とあの頃の日常が思い出されてきた。
    和紙への興味は尽きないが、私個人は水引に心惹かれて、梅結びに挑戦するようになった。飯田から水引も取り寄せた。
    私の楽しみが一つ増えたことに感謝したい。

  • 『菓子屋横丁月光荘』シリーズが完結し、そちらを読み終わった。
    その間、こちらのシリーズも買って手元にあったけれど、いったん封印。
    話が混線しそうな気がしたから。

    作中にもコロナ禍が起こる。
    当時の自分などは、職も住むところの心配もなく、暢気なものだったと思っていたが、本書の記述を読んで、なかなかつらくなってきた。
    あの頃感じていた不安を、おそらく自分は抑圧していたのだと思いいたった。
    そう思うと、若い世代ほど影響が長く続いていくのでは、といまさらながら心配になる。
    一時は、つらくてこの本を読むのをやめようかとも思った。

    やめなかったのは、ほしお作品で、たぶん悪い結末はないと思われたから。
    百花もめでたく藤崎産業の内定を得るし。
    笹山ゼミの4年生全員が卒論を出せたし。
    小冊子研究会の学校祭企画もだが、百花が夫婦箱を作るところは、わくわくした。

    前巻の『春霞の小箱』を読んだとき、次で終わりかなあ、と感じたが、もう一冊出たようだ(ちなみに、それは昨日ゲットした)。
    次巻では、ふじさき記念館の復活が描かれるようだ。
    川越の呉服商の建物をリノベーションするらしい。
    そして、すべての作品は川越に通ず、ということか。
    主人公は百花というより、記念館の方だったのかも?

  • コロナ禍の始まりは、こんな風だったなぁと思い出しながら読んだ。
    それまでの当たり前が当たり前でなくなった日々。
    不要不急の外出は禁止。それでも勉強や仕事はしなくてはならない。
    世の中が停滞と変化を同時に求められたもどかしい時期。
    学生さんは、特に気の毒だった。
    百花はまさに学生さんで、その中で卒論や就活をしなくてはならなかったのは大変だったろう。
    急速に変化した世の中で、「和紙」への意識が今後どんな風に変わっていくのか、変わらないのか、楽しみにしたい。

  • シリーズもだいぶ長くなってきて、主人公の成長
    や先の未来が描かれるはずなのに、ここにきてコロナ禍。。でもしっかり向き合って描いてるほしおさんに拍手。緊急事態宣言、数年前のことなのに今でもあのときの状況が鮮明に思い出されるのは、やっぱり誰にとっても衝撃が大きかったのではないかなぁと思う。
    でも主人公が本質は変わらないながらも、成長していく姿がこれからも楽しみです。話の中で、やる気っていうのは出そうと思っても出るものではない、まずは始めてみることでやる気が出てくる、という言葉があり印象的でした。
    この先の続くお話が明るいものであるように、引き続き応援したいと思います。次の新しい記念館のお話が待ち遠しいです。

  • シリーズ6作目で百花もいよいよ大学卒業か。
    でも、その卒業も例のコロナウィルスの影響で、例年の様にはいかない。それは就活も同じ。
    物語の設定はちょうどコロナが流行り始めた2020年頃だと思われ、つい3年程前なのに「あーあんな感じだったな」と感慨深く思ってしまう。
    現役の学生が直面するオンライン授業や、卒論などリアルに描かれていて、当時の目に見えない不安な気持ちを思い出す。

    シリーズは百花の卒業か、記念館の閉館で終わると思いきや、新天地川越で再スタートするという。という事は三日月堂ももちろん登場してくるのだろう。楽しみ。

  • 6作目で現時点(2023年8月)での最新作。第1作のころに比べて、前向きになったね、百花。コロナ禍での就活、大変だね。様子がうまく描けてると思う。ただ、やはりコロナ禍では行動に制約が多く、その分は今までより物足りない。ただ、それが現実だったよね

  • 「手漉き和紙見本帳」
    面接直前に届いたもの。
    未来を見据えて受け答えをする様子を見てしまうと圧倒されそうだが、関わってきた内容と今後について話せるのは誰にもない強みだろ。

    「わたしたちの日常」
    少しずつ変わっていく。
    戻ることが出来ないからこそ模索して進む日々ではあるが、簡単に適応出来るわけがないからこそ平穏な暮らしを忘れられないのだろう。

    「結のアルバム」
    再び記念館を開くため。
    ペーパーレスの時代になってきてはいるけれど、安易に会うことが出来なくなった今だからこそ手紙や写真の価値が戻ってきたのかもな。

  • そうきたか!早く続き読みたいです。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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