- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041133194
作品紹介・あらすじ
202X年のある夏の日、シコタン島(色丹島)の墓地で祈りを捧げていた ロシア人老夫婦が、丘の上から半透明のヴェールが近づいていることに気づく。不思議に思った二人が手をつないだままその壁に触れたとき、彼らの腕は「消去」した――。触れた人間の肉体のみが消去される「ウォール」と名付けられたこの巨大な壁は、1日に20km程度という遅さながら、やがて北海道に上陸、本州も射程に、徐々に西へと、人々を飲み込んでいく。本土上陸から首都圏到達まで1か月ほどしか猶予はない。真実とデマが入り混じりながら拡散され、日本はパニックに包まれていく。「ウォール」が暗示するものは、人類をな洛に突き落とす自然災害や疫病であり、経済格差によって人々を「分断」するものであり、無慈悲な「神の制裁」であり、極めて「平等な存在」である。唐突に出現したこの得体のしれない凶器に、人間は科学と人智をもって対峙しなくてはいけない。善悪を問わず本性をむき出しにする人間たちをあざ笑うかのような「WALL」。果たして結末は――。著者渾身の書き下ろし。一気読みのパニックSFミステリー。
感想・レビュー・書評
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タイトルの"WALL"という言葉を見て、誰しもが"壁"を想像すると思う。
ただ、同じ"壁"でも物理的、心理的など様々の見方がある。
この本の面白いところは、一つの事象を対象に複数の視点から物語を描いているところ。
切羽詰まった状況の中でどのように考え、行動するのかにその人の本性が出るというが、その姿がありありと思い浮かんでくる。
周木さんは他にもミステリー小説を多数執筆されているとのことで、他にも読んでみたいと思える作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人だけが消えてしまう、謎の壁の正体。
ただ、それを知りたくて、途中まで一気に駆け抜けた気がする。
人間には、まだまだ「未知」なる存在がある。
特に災害と呼ばれる現象については、今のところ、回避や消失させることは出来なくて、だからこそ、どう共存するかという視点が必要だったりする。
WALLでは、一つは壁とどう向き合っていくかということが短期的視点で話し合われていく。
それとは別に、リケジョの受難というか、研究者における権威であったり、女性の立ち位置というのもまた、共存の対象としてテーマに挙げられている。
社会をとりまく、ほんのちょっとした視点の変化が、ある種の人々にとって至難の技になるのはなぜだろう。
そう言いながらも、私は私のフィールドにおいて、殻を破りきれないことがあるとも、思っている。
現象よりも厄介で複雑なもの、かもしれない。 -
語り得ぬものについては、沈黙しなければならない
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一般人、政府側、記者という三つの視点から描かれるパニック小説
個人的にシンゴジラが好きなので楽しく読めた -
シンゴジラ観た気持ちになった
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2023/05/27読了
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パッと見はよくある【巨大超常現象】によるパニック物だがその脅威となる『WALL』の異様さとそれによって人々の「壁」が浮き彫りにされていく描写はさすがと言える
またその【壁】を乗り越え戦い手を差し伸べるのもまた人間である
エンタメパニック物としてとこぞのTV局あたりが映画化しそうな作品でもある -
初めてパニックSFを読みました。
読む前に想像していたより人間ドラマのような展開で感動した。
SFだから現実には起こらないことだけれど、そこに科学の要素を盛り込んでいて面白かった。
日本の政治やマスコミ、SNSなども
リアリティ感がある