残像 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 845
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041137222

作品紹介・あらすじ

浪人生生活を送る堀部一平は、60代後半のバイト仲間である葛城を介抱するためにアパートを訪れると、晴子、夏樹、多恵という年代もばらばらな女性三人と男子小学生の冬馬が同居生活を行っているところに出くわす。夏樹の美貌に見惚れつつも、関わりを持つまいとする堀部だったが、偶然に彼女たちと出くわすうちに何度もアパートを訪れるようになる。不思議な交流が続くなか、ある日葛城のノートを覗き見た堀部は晴子、夏樹、多恵の三人がみな前科を持っていることを知る――。

感想・レビュー・書評

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  • 前科持ちのお姉ちゃん達とバイト仲間のおっちゃんに、巻き込まれる浪人生。
    作者違うけど、詐欺が前提にあったのか、「カラスの親指」などを連想してしまった。
    しかし、ええもん側も悪いもん側も、何か過去がキツ過ぎちゃうか…
    まぁ、悪い方の罪状は、どんな事あっても、許せるもんではないけど…
    事前に、これを止めるのは、議員さんのお父ちゃんやとは思うけど、ボロカス言ってるしな…あかんわ。

    話はそれぞれ並行して進んでいくんで、コイツ悪過ぎ〜!って分かっても、それがどう繋がっていくんか分かるのが後半。
    しかし、安易というか、忠告も守らんと、衝動に駆られて動いてて、今まで上手くいき過ぎてたんとちゃうの?
    あっさり、お姉ちゃん達に嵌められて…

    でも、コイツも悪いけど、コイツのお父ちゃんもな…
    そら、それなりの終わり方になるわな。

    お姉ちゃん達は、これからは、自分達の為に生きて下さい!

    しかし…惜しい!

         「特別招待券」

    使い〜や!ムリせんと!

  • 伊岡瞬『残像』角川文庫。

    角川文庫75周年記念文庫書下ろしのサスペンス・ミステリー。

    謎に包まれた3人の女性と小学生、癌に冒された初老の男性と浪人生の堀部一平の物語と、政治家の息子で裏で善からぬことを行う吉井恭一の物語が同時進行する。何処かで2つの物語が交わるのは間違いなく、どんなミステリーを見せてくれるのかと期待は膨らむ。

    しかし、期待は空振り。予想以上のことは何も起きず、微妙な結末を迎える。


    浪人生の堀部一平は、アルバイト先のホームセンターで倒れた初老のアルバイト、葛城に付き添い、自宅アパートへと送り届ける。そのアパートには晴子、夏樹、多恵の年代も様々な3人の女性と小学生の冬馬が不思議な共同生活を送っていた。一平は、何度かそのアパートを訪れるうちに冬馬から3人の女性には前科があり、葛城が元弁護士で3人の身元引受人であることを聞く。何やら訳のありそうな3人の女性と葛城。

    一方、政治家の息子の吉井恭一は若い女性たちに次々と手を出し、酷い仕打ちを行いながら、何者かにより恭一の過去を断罪する脅迫写真が送り届けることに苦悩していた。

    定価960円
    ★★★

  • 伊岡さんの新刊。
    暗い過去への復讐を描いた心をえぐる圧感サスペンスとの帯宣伝。
    伊岡さんらしいタイトル。

    浪人生の一平くんが、謎のお姉様方3人の仕掛けに巻き込まれていく物語。
    一方で、政治家の息子のどーしよもないクズ野郎の物語も同時並行で進み、後半繋がりあっていく。

    中盤まで不気味すぎて、読むスピード上がります。
    最後の最後が少し物足りないものの(伊岡さんファンとしては)、しっかりとダメ人間を描き切ってるところと描写、言葉選びが斬新。

    面白かったです!!
    伊岡さん来月も新刊出すのかな?あれ?夢かな。

    期末期初で忙しすぎて、全然読めてなく久しぶりの読書、積読本はまだまだあるので、読書の秋を楽しみましょう。読む時間と体力もないくせに、本屋さんだけは訪れていたのです。

    お仕事小説系はしばらく読めない、そんな中の残像は今の私にピッタリと現実から離れるワールドに引き込まれ読書にてストレス解消〜!


    ホームセンターは小さい頃家族と行った思い出あるけど、最近全然行かないし、近場にないな。

    ホームセンターといえば、
    ホーマック、昔は石黒ホーマ、
    そーいえばこっちにないな〜

  • 浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添ってアパートまで送る。
    その隣りの部屋から次々と現れた年齢ばらばらの女性たちに小学生の冬馬。
    アパートのお隣りさん同士かと思っていたが、何やら奇妙な関係だと…。

    何度か葛城が胃痛で倒れるたびに、アパートへ訪れる回数も増えてきて、いっしょに食事したりするなかで、彼女たちの隠された目的が明らかになっていく。
    それに並行して動いているのは、議員の息子・吉井恭一の嗜虐的行為である。

    犯罪も悲劇も連鎖するというのが、なんとも堪えられないことである。

    うやむやになっている犯罪が、闇に葬られているのかと思うとやるせない気持ちになる。
    終わって、スッキリとはどうもならなかったのだが。
    みんなそれぞれのところへと黙って行ったのが、引き摺らない潔さということだろうか。



  • アマゾンのおすすめ本に出てきたので読んでみました。
    表紙の印象ではサイコパス的な内容かと思ったのですが、全く違いました。
    私はミステリ部分よりも、女性三人(晴子、夏樹、多恵)の生い立ちから、「家族をどうやって守っていくのか」について考えさせられました。

    私はかなりネガティブ思考なので、残酷なニュースを見聞きすると、夫に「コレどう思う?」と話し合いが始まり、うちで起きたらどうする?と徹底的に話し合いする。(我が家でも同じことが起きないとは限らないからね)
    その根底にあるのは、下記のフレーズが常に頭の中にあるからだと思います。

    ”わたしはね、ときどき思うのだけれど、わたしやきみが、私生活において重い犯罪ーとくに殺傷事件の被害者とならずに、ここまで生きて来られたのは、きわめて幸運なことだったのではないか。”(抜粋)

    現在まで命にかかわる事件に巻き込まれなかったのは”運”、それしかないと思っています。
    どこで誰と出会うか、何が起きるか。
    そして、残酷な事件の被害者になってしまうかどうか。
    どれも自分でコントロールできません。

    生きていれば大なり小なりリスクはつきものです。
    リスクを恐れて何もしないわけにはいきませんので、
    リスクに優先順位をつけて、万一恐れていることが起きた時にどういう対応をとるのか、家族で話し合っておく必要はあると思いました。

    我が家では、子どもがいじめにあった場合、夫が職質質問で警察に連れていかれた場合、等は夫と頻繁に話しています。(それだけ見聞きする頻度が高いという事ですね)
    子どものいじめに関しては、子どもも含めて話してます。とにかく「命を守ること」を最優先に対策をとろうという結論に至っています。(死んだら終わり)

    家族間で風通しを良くしておくと、結構便利です。
    息子は私に言えないことは夫に言ってたりしているようで、夫から息子の話をまた聞きしたりします。(子供も誰に話すか選んでいる節がある。笑)
    書いてて思いましたが、家族ってチームとか組織に近いような感じがします。(1名欠けただけで、チームが成り立たなくなるのが家族なのでは)

    人間が考えられることは発生する可能性がある。
    この本は最悪の事態が起きた時に家族をどう守るのか、考えるきっかけを作ってくれると思いました。

  • Amazonの紹介より
    訪れたアパートの住人は、全員“元犯罪者”だった。心を抉る衝撃サスペンス
    累計50万部突破『代償』の著者渾身。角川文庫75周年記念、文庫書き下ろし!
    浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添い、自宅アパートを訪れた。
    そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もバラバラな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。
    他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。
    一方、政治家の息子・吉井恭一は、執拗に送られてくる、過去を断罪する写真に苦悩していた。
    身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は――。
    暗い過去への復讐を描いた、心震わす衝撃のサスペンスミステリ!



    伊岡さんの作品といえば、必ず一人は、胸糞悪いゲスな人が登場し、読者の心をムカムカさせてくれます。その表現が上手いのですが、今回も健在で、良い意味で嫌な気持ちにさせてくれました。

    内容の構成としては、一平視点の物語と恭一視点の物語が交互に展開していきます。一見関係なさそうな2つの物語なのですが、どのように交わっていくのか楽しみでした。
    恭一視点では、脅迫めいた写真が届くので、一平視点でのあの家族が絶対関わっているよねと思いつつ、どこで繋がるんだろうと興味津々でした。
    そして、繋がった瞬間、そう繋がるんだという驚きと共に「罪」の執念に圧倒されました。一平にしてみれば、気の毒な部分が多くあったのですが、一平がどのように関わっていくのか。なぜ一平が関わらなければいけないのか。ちゃんとした理由もあって、ミステリーとして楽しめました。

    一平視点で見ると、前半では奇妙な「家族」ながらも、仲睦ましい雰囲気で、恭一が「悪」ならば、一平は「良」と思うくらい、犯罪の匂いはないように感じました。
    前科持ちでも、まっすぐ前へ向こうと頑張っていると思っていました。ところが・・。

    たしかに恭一は「悪」な部分があり、ゲスな人の印象でしたが、それなりの理由も描かれていて、伊岡作品ではあまりそういった背景は書いていない印象だったので、驚きでした。

    どちらにしろ、犯罪は犯罪であり、それによって翻弄される被害者もいます。
    加害者と被害者、それぞれの苦悩が描かれていて、「罪」に対する贖罪や執念を感じ、色々と考えさせられました。


  • 勤務中に体調不良になった年配の同僚を
    自宅に送り届ける役目を命じられた主人公が、
    思わぬ出来事に巻き込まれていく物語。

    主人公や年配男性、その他キーマンと思える
    複数人の視点から時と場所が異なる話が語られ、
    それがどんなふうに繋がっていくのか想像が
    掻き立てられる。

    予想を立てたストーリーから大きく逸れない
    結末ではあったけれど、犯罪・政治・権力など
    裏社会の闇のどす黒さを悪として語ることで
    正義や恩義、優しさといった善が、より眩しい
    光として対比されて感じられた物語でした。

  • なんか今作はいつもの伊岡瞬作品とは違うような軽いノリだな、と思っていると、そんなに違わない描写が続いて、精神的にダメージを食らう。結局根幹には重苦しいものがあるのは変わりない。主に2つのストーリーが交互に進み、徐々に交わっていく様は先が気になり次々読んでしまうし、ドロドロしたいやーなものを残すかと思いきや、特にそんなものもなく良かった。少し太田愛作品に近しいものを感じた。

  • 伊岡 瞬さん、初読みです。
    他の作品も高評価なので気になって購入しているけど、積読状態...
    今作で、やっと読みたいタイミングが訪れた!

    読む前は、お堅いイメージを持っていたけれど、読み始めてみて、とても読みやすいなと感じた。

    でも展開を引っ張りすぎて、中弛みしてしまい、正直、どういう結果に落ち着くんだろうという興味が薄れながら読んだ。
    特に、主人公 一平の恋愛要素は必要だったのかな?これが間延びさせてた感じ。

    テーマが少年に対する性加害なだけにもう少し重みのある展開を期待して読んだので、ちょっと残念だった。

  • 何か?起きるのでは? っと、不穏感がずーっと漂う中 3/4を過ぎた辺りで 今作の本題(メイン )が起きようとするが……
    これまた 何か?が起きてる…が、どぅなってるんだ? っという新な不穏感が増してゆく。

    この【不穏感】(怖いモノ見たさ)こそ 伊岡作品の醍醐味なのだとつくづく思わせられた♪

    イヤミスと称される伊岡作品だけど 最後ゎちゃんと救いがあるし、少し歪んでるかも知れないけど正義もある。

    今作のメインキャラクターはとても魅力的だし、彼女達の前日譚-後日譚を知りたくなる。

    その物語を知る《特別招待券》を得る事が出来たのだと思う。
    伊岡瞬先生の今後の活躍が楽しみでしかたなぃ!

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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