この銀盤を君と跳ぶ

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041142868

感想・レビュー・書評

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  • 佳麗な装幀に対して、氷上で最も熱い物語が描かれた作品でした。

    氷上の獅子と妖精を支える側の2人から語られる、競技の世界のトップで戦う2人の葛藤や信念が垣間見える描写が好きで、熱くなりました。
    この世界でも、怒りが強い原動力になりますが、それを希望にも昇華させるためには、全幅の信頼を寄せるパートナーとの出会いが必要であることも再認識させられます。

    世界で1番有名な犬が言っていたように、"You play with the cards you’re dealt "ですが、そのカードの真の価値を理解することも大事です。そして、それは自分1人では気付けないことも多々あると、そのきっかけになる人との出会いの大切さも感じる、佳麗な物語でした。

  • 性格が対照的な2人の女子フィギュア選手が家族を愛するが故に味わう挫折を乗り越え、オリンピックの頂点を目指し最後の1枠を信頼する指導者と共に目指すストーリー。
    選手本人では無くいつも傍にいる指導者目線で描かれ、最終決戦のフリーの演技はテレビ中継を観ているかのように手に汗握りました。スポーツが舞台の作品ですが、内容は2人の選手が指導者と心を通わせ、家族との絆を大切にし、成長していく姿が繊細に描かれています。
    物語が進みページが少なくなるにつれて、もうすぐ終わることが残念でもっと読んでいたい、2人の物語をもっと見ていたい、そう感じさせてくれるとても良い作品でした。

  • オリンピック出場権をかけて戦う二人の天才スケーター。
    それぞれのバックグラウンドが複雑で、二人とも応援したくなる。
    しかもすごいレベルの戦い。うち一人は4回転アクセルも飛べる。
    こんな二人が日本に現れたらな。
    夢のあるお話でワクワクしました。

  • 話が行ったり来たりするの、めんどいと
    思っていたけれど、
    どんどん引き込まれてしまった。
    ここまですごいダークヒロイン、初めてだわ。

    最後は結局どうなるのかハラハラし過ぎて、
    久々に徹夜しましたー。

  • 卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義者の京本瑠璃。
    圧倒的身体能力でジャンプの限界を超越する雛森ひばり。
    2人の天才スケーターがそれぞれのパートナーと共にオリンピックの切符を競う…

    瑠璃は子供の頃から完璧主義者故の癇癪持ちで、それを支えるだけの財力が家にはあった。だが、父親が事件をおこし一家離散し、全てを失った。現役選手を引退し、振付師となった江藤朋香に弟子入りして上を目指す。

    ひばりはスケート一家に育つけど、才能はあるのに飽きっぽくてずっと同じ事をするのを拒む。そんなひばりのコーチは幼馴染の滝川泉美。泉美もまたスケーターだったけど、怪我で現役を断念。

    それぞれのコーチが扱いづらい天才達を高みに導き、ラストのオリンピック選考会は手に汗握る展開でドキドキでした。
    是非新潟オリンピック編読みたいです! 

  • 装画の美しさに惹かれて手に取り、物語にどっぷりハマって一気読み。二人のスケーターのキャラが面白すぎるし、二人に巻き起こる出来事もまた面白すぎる。そして、二人のコーチという、天才ではない、いわば「こちら側」の人物の視点で書かれていることがこの本を一層面白いものにしているように感じた。作中の選手とコーチとが素晴らしいチームだったように、この本の文章も、装画も、そしておそらくは編集も含めてきっと最高のチームに違いない。

  • フィギュアスケートの天才二人が、家族問題などに振り回されて、その実力を発揮できぬままでいてたが、心を入れ替えて、素晴らしいコーチに出会い、全日本選手権→オリンピック代表を目指す話。
    瞳さんは、まさに浅田真央そのもので、男子の話の箇所も実際の話がベースになっている。
    不屈の闘志を漲らせ、絶え間なく努力する人と完全なる天才肌。天才同士の話はなかなか共感できないが、二人を繋ぐ凡人コーチのおかげで、あたたかな話になっていた。

  • 最後はなかなかハラハラしただけに、
    惜しい作品だなと思います。

    瑠璃はロシアのリプニツカヤ、幼少期からプライドの塊の様な人物は彼女しか思いつかない。
    雛森はサッカーの中島翔哉のよう、演技も自由、態度も自由、やりたい事も自由な感じが
    瞳は浅田真央、男子ならパトリックチャンの様なイメージで読んでいました。

    まず、残念だと思うところは、演技部分が端折られている事が多いのが残念でした。事実だけが伝えられ、点数だけを見ても、読み手としてはどんな演技をしているかイメージが湧きづらかったです。
    すごいジャンプを飛んでいるのはわかりますが、それが一体どんなものなのか、もっとワクワクしたかったです。

    ピアノを題材とした作品でありますが、蜜蜂と遠雷を思い出す。厳しいことをいえば、この作品を読めば、蜜蜂と遠雷がどれだけ傑作なのか際立つなぁとも思いました。

    とはいえ、フィギュアスケートの世界がどれだけヒリヒリして残酷で酷な世界なのかはとても伝わりました。

    薄氷を踏むとはまさにこのこと、いつ割れてもおかしくない薄氷に躊躇いもなく全体重をかけてジャンプして着地するような世界、割れるか割れないかはもはや運もある世界でしょう。

    ジャンプがどれだけ身体に負担なのか、フィギュアスケートという世界がどれだけ残酷で非情な世界なのかはとても伝わりました。

    それだけにどれだけの努力が必要で、思春期の年齢でここまでアスリートに徹する事ができるのは、尊敬せざるを得ないです。

    早熟すぎる世界だからこそ残酷
    才能はどうしても仕方ない、努力しても敵わない壁がある。
    スポーツの世界では、そういったことは仕方ないのだと改めて痛感させられました。

    スケート連盟がスピードスケートのOBが中心になっているのは少し意外でした。
    というスポーツや芸術にお金を出さない国が悪いと常に思います。

    面白い部分もありましたが、やはりもっと演技が観たかったと思うのが素直な感想です。
    ラストの決戦ではまだ観れることができてよかったですが、
    色んな事故があまりに多すぎて、そこに重点がいきすぎてしまいました。

    もし、続編のオリンピック編があるなら、余計な事故や事件なく、もっと演技のシーンを増やして欲しいと個人的には思います。

  • 青春アスリート物。フィギアスケートの魅力とスケート連盟への批判に納得。
    また採点方法の解説もあり分かりやすくてためになりました。
    京本瑠璃と雛森ひばり。2人の天才少女の挫折と成長、そして彼女たちを支えるコーチ振付師の絆を熱く描いていて、19才で挑むオリンピック選考を兼ねた日本選手権の戦いは圧巻で大興奮。2029年にこんな選手が現れてほしいです。

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著者プロフィール

2009年に第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞し『蒼空時雨』(メディアワークス文庫)でデビュー。「花鳥風月」シリーズ、「ノーブルチルドレン」シリーズなど、メディアワークス文庫にて人気シリーズを多数刊行するほか「命の後で咲いた花」などの単行本も刊行。講談社タイガでも「君と時計と」シリーズ(全4巻)を刊行。恋愛青春小説の書き手として10代20代女性読者から多くの支持を集めている。

「2021年 『セレストブルーの誓約 市条高校サッカー部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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