おバカさん (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.83
  • (24)
  • (30)
  • (40)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 235
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041245026

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「沈黙」や「海と毒薬」を読んでみて、その深い問題意識や哲学に、遠藤周作ってすごいなあと思っていたけれど、「おバカさん」を読んで、さらにその思いが強くなった。
    「おバカさん」では、遠藤の哲学が、普通の人にもわかるような軽妙な語り口、親しみのわく登場人物たちを通して描かれる。しかも、新聞連載で。遠藤周作ってすごい。

    巻末の江頭淳の解説もわかりやすくてよかった。
    「本当に深い思想とは、決して難しい思想のことではない。どんな学問の足りない者の心にも、じかに浸みこんで来るような思想のことをいうのである。」
    「私は、遠藤さんが、インテリ受けのする問題小説に力こぶを入れるのもよいが、それよりもかつて獅子文六さんが開拓した知的な、文明批評を含んだ多くの読者のための小説を、もっと心がけてほしいのである。」

  • 2024.4.17 読了。
    フランスから海を渡って日本にやってきたナポレオンの子孫であるというガストンが、ペンフレンドだった隆盛の家で過ごすが唐突に家を出て哀しみや苦しみを持った人々に騙されたり利用されたりもしながらも信じるという信念を持ち行動しいろいろな事柄に巻き込まれてゆく。

    「海と毒薬」→「悲しみの歌」と読んでレビューにあった「おバカさん」に興味を持ち読んでみた。前2作は重いテーマを題材にし色々と考えさせられる小説だったが今作はユーモアも混じえながら、しかし根底には人間の思想や生き方を考えさせられる物語だった。とにかくガストンが貫こうとしていた「信じる」という行動が出逢った人々の心を少し動かし暖かくするも、生きていくために悲しい道を選ばなければならない現実が目の前にあったガストンの心が心配になってしまう。
    ガストンは今日もきっとどこかで誰かの悲しみを少し癒し続けているんだろうなと思っていたくなる作品だった。

  • 間抜けなドイツ人ガストンのドタバタコメディーかと思いきや、次第に心打たれて最後には涙が流れます。遠藤周作の隠れた名作と思っています。

  • キリスト教が 少し身近に感じた。遠藤周作さんのキリスト教テーマの本のなかでは、一番 わかりやすいし、受けいれやすい

    「沈黙」は 読んでいて ハラハラ感、もう止めて感が あるので、この本の方が安心して読める

  • ガストン来日

  • 遠藤周作の感じている主とはこういう人間なのだろう。それとも理想なだけなのか。しかし人生には理想がなければ目指すべき道は見えてこない。おバカさんを理想にする人生ほど暖かいものはないだろう。

  • わたしが、高校時代に読んだ本です。
    テストが終わった後に読み、人間の純粋な人を思う気持ちに惹かれました。
    今思うと、何の代償も求めな人間への愛、どんな悪人にも愛すべきものがあるといったレベルではなく、全てを愛するという感覚に感動したんだと思います。
    遠藤周作さんのキリスト教から発する感覚ではなく、全人類の基本的なあり方として、そのような生き方をしたいと考えたように記憶しています。
    現在世界宗教をみて、キリスト教への偏見があるかも知れませんが、世界が平和になるための感覚として、重要なことだと今思っています。

  • 読み終わった時に、なんというか
    深~い宗教的な悟りを味わったような気になった。
    心が温かくなる本。

  • 「おバカさん」が
    とっても暖かくて愛しく思える一冊。

  • 傷つけられても、痛い目にあわされても、人を信じ、愛するガストン・ボナパルト。

    愛しい。愛しすぎるよガスさん。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠藤周作の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤周作
三島由紀夫
宮部みゆき
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×