- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041607015
作品紹介・あらすじ
一人旅の女性が古書店で見つけた一冊の本。彼女がその本を手にした時、後鳥羽伝説の地を舞台にした殺人劇の幕は切って落とされた! 浮かび上がった意外な犯人とは。名探偵・浅見光彦の初登場作!
感想・レビュー・書評
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一人旅の女性が古書店で見つけた一冊の本。彼女がその本を手にした時、“後鳥羽伝説”の地を舞台にした殺人劇の幕は切って落とされた。
芸備線三次駅で若い女性の絞殺死体が発見された。尾道からまっすぐ東京に帰る予定だった被害者がなぜ三次で殺されていたのか?犯人の動機は?
事件の鍵を握る人物が次々と殺され、捜査は完全に行き詰まったに見えたが……。
上司との対立がもとで捜査から外された刑事が秘められた“過去”を掘り出した時、意外な犯人の姿が浮かび上がる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅見光彦もの。三次駅の渡線橋の上で女性の扼殺死体が発見される。犯行時刻のあとすぐに三次駅から広島駅に向けた電車が発車しており、初動捜査ミスにより電車の乗客全員を止めることはできなかった。難航を極める三次駅の殺人事件。そのさなか、野上刑事は捜査前線ではなく、「はずれ」の捜査をすることになるが、緑の本から池上という男にたどり着くが……。
実は初めての内田康夫氏の作品で、なので、浅見光彦シリーズとしても初めて読む作品です。ドラマでは浅見光彦シリーズを時々見てたりしますし、連ドラでやったときは見ていたのですが、これまで手をとったことがなく楽しみにして読みました。
内容としては、前半は警察小説の様相を呈し、中盤は光彦と野上の捜査を行い、終盤に解決編という流れ。なので、中盤のラストまで犯人が誰かを指摘するのは難しい気がしますし、何よりこの作品はそういう作品ではないようですね。ドラマのように、今回の場合は広島ですが、舞台となる地元が丁寧に描かれる作品です。解説を読むと、信濃のコロンボこと竹村警部ものもそのようなので、旅をした気分になれる物語は小説でも同様みたいです。
しかしながら、ラストはドラマ版で本作を見たことがあるのですが忘れていたおかげで、驚くことが出来ました。前述の通りだったので、途中で推理を放棄していたのでというのもありますが。でも、この作品を最後に綺麗にまとめた推理ショーはとてもおもしろく、興味深く読むことができ、惹きこまれました。 -
浅見光彦シリーズ第1作。
とはいえ今回の主役は野上刑事だと思う。中盤までは彼の地道な捜査により真相に近づいていく。中盤以降、浅見光彦が登場する事で一気に展開が進んで行き、事件を解決へと導くが、しかしそれでも野上刑事が果たした役割は大きい。
ただそれでも最後には浅見光彦が全てを持っていってしまう。これにより浅見光彦は名探偵として名を馳せる事になり、以後シリーズが続いていく事になる。 -
自宅に20年以上眠っている、すでに読み終えた本を整理しようと思い立ち、でももう一度読み返そうと手に取った内田康夫、浅見光彦シリーズ。間違いなく面白かった。忘れていたこともだいぶあって、そして今とは全く違う時代の『当たり前』が、新鮮でした。
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内田康夫先生が気になりどうせ読むなら浅見光彦シリーズの最初を読んでみようと思い読み始めると読む手が止まらない❗非常に読みやすくテンポよく殺人が起こりドキドキが止まらない❗
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【概略】
後鳥羽法皇が隠岐に流された道順を追って旅行していた正法寺美也子と浅見祐子は、その旅先の旅館で土砂崩れに遭い、正法寺美也子は記憶喪失に、浅見祐子は命を失ってしまった。8年後、失った記憶を取り戻すべく正法寺美也子は再びそのルートを辿る。その道中、自身の記憶の闇を深く刺激する一冊の本と出会う。喜ぶ正法寺美也子、だがしかし、彼女はその日の午後、広島県の国鉄三次駅公開の跨線橋で絞殺死体となって発見される。本はなくなっていた。謎の解明に挑むものの、壁に阻まれる警察に、亡き浅見祐子の兄・浅見光彦が捜査協力を申し出る。浅見光彦が紙面に登場した初の旅情シリーズ。
年月日不詳 読了
2023年01月07日 読了
【書評】
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で承久の乱からの隠岐への島流しというシーンを観て、久しぶりに読んでみようと手に取ってみた。平易で明解、リズミカルな文章、本当に読みやすい。
読み返したのはもう何度目になるかわからないけれど、今回はちゃんと作者が置いた布石(今は伏線というのかな)に気づくことができた。ある意味、加齢による記憶力低下は、何度も読んだ本を、何度も楽しませてくれるね。「あれ?ひょっとしたらこの人が犯人じゃね?」なんてことを思いながら読むことができるのだからね。
いやぁ、時代を感じさせるね。まだJRが国鉄だった時代の話だよ(本書が世に出たのは1985年1月で、国鉄民営化は1987年4月)。
敬愛する浅見光彦も、若さがあふれてる!妹がとんでもない非業な死を迎えてしまい、それにまつわる事件に関与しているとはいえ、タバコを吸ったり、発言の尖り具合など、やんちゃな空気感が出てるね。こういう浅見光彦も、人間味があって、いい。
本書では、「実は史実のルートは影武者にまわらせ、後鳥羽法皇はこちらのルートを通ったのではないか?」という伝説を下敷きにして話を広げている。その土地その土地は、そういった「かもしれない」に、色んな想いを乗っける。内田康夫さんの作品は、単なる謎解きではなく、そういった多種多様の人間が描かれているのがいいよね。
ちなみに「あれ?後鳥羽上皇じゃなかったっけ?後鳥羽法皇だったっけ?」なんて思って確認した。天皇が皇位を譲ると上皇になるよね。今の上皇陛下がそうだよね。その上皇が出家をすると法皇になる。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、最後は頭を丸めていたね。ナレーションではその時も「後鳥羽上皇」と呼ばれてたけどね。 -
記念すべき浅見光彦初登場作品。
テレビドラマなどでは山村美紗や西村京太郎と並び、映像化では定番の内田康夫だが、今まで原作を読んだことはなかった。
なるほど。
適度にお堅く、緩く、非常に読みやすい。