ちっちゃなかみさん 新装版 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041630174

作品紹介・あらすじ

向島で三代続いた料理屋の一人娘・お京も二十歳、数々の縁談が舞い込むが心に決めた相手がいた。相手はかつぎ豆腐売りの信吉。驚く親たちだったが、なんと信吉から断わられ……豊かな江戸人情を描く計10編。

感想・レビュー・書評

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  • 偉い人におすすめの本を聞いたらこの本を教えてくれたので。
    難しいことばがたくさん登場するけれど、なぜか読みやすくてスルスル読めてしまう感じすごいなって思いました。
    少し前の時代の日本にも、色んなかたちの愛が存在するんだなあと感じられるお話たちでした。

  • 「ちっちゃなかみさん」は胸がしめつけられるような切ないお話なのですが、
    いくつかのお話はとても嫌な人間が出て来ます。

    自分の浅ましさ身勝手さにに苦悩して必死に向き合おうとしたり
    自分がどんな嫌な人間か理解出来ず、自分が陰口を言われているのを耳にして自分のどこがどう悪いのか知ってしまってさえそれを恥じて変えようとしない人の話も。

    感動出来るお話だけをまとめた作品ではないので
    読後感が微妙なのですが

    人間の醜い部分を突きつけられるようで
    若い頃良くない態度を取ってしまった事や
    外に出さなくても内心思ってしまった良くない事などが思い出され、
    そういうものが客観的に見るとこんなにも悲しいものだと思うと
    日頃から自分の言動には注意しなければならないと改めて思った次第です。

    良い本というのは
    面白い本、感動する本だけではなく
    その人の中に残って
    それを助ける本だと思っています。

    面白い本は心を弾ませてくれるし
    感動する本は気持ちを浄化してくれるような気がします。
    嫌な気分になる本でもそれを覚えておいて
    自分を律するのに役立つならそれも良い本です。

    この本は感動したり嫌な気分になったりで
    色々お得感があるのではないでしょうか。

  • 両親の包容力に感動
    現代の余裕ある高齢者も、子供たちへ目を向けよう

  • 老舗の料亭の娘、お京は、数ある縁談を断り、出入りの豆腐屋の信吉を見初める。しかし、信吉はその気持を受け入れず、頑なに拒むのであった。ある日、こっそり信吉の店を覗きに行ったところ、小さな子供たちが信吉の家の家事を行っているではないか…。

    色々あるものの、大方が縁談の上手くいく行かないといったたぐいの短編集である。おしゃれげだからと気軽に時代物のライトノベルを書いている作家と違い、文章に安定感があるので読みやすい。

    何本有ったっけな。結構細かくて、さらには時代物特有のオチがふんわりとなって引きで締める、みたいな、現代物を読み慣れた我々にとっては、インパクトを受けにくい作品があるが、いくつかはかなり衝撃的な内容であろう。

    日本昔話のような『かみなり』もそういう作品の一本で、個人的にとても好きな作品である。

    この作家の魅力の一つが、わかりやすいが無理のない言葉の選び方であろう。ブンガク然とした、時代考証的なカチカチの文でも、あのへんとかあのへんのように「剣呑な」なんて言葉を乱打するような文でもない。さらっと「このコンビは」なんて言う言葉を入れてきたりする自然さかつ、なんでもかんでも「ちゃんすであると」なんて言うわざとらしさもない。最近そんなんばっかり読んでたな。

    長編を読んでみないとなと思うが、時代物苦手なんですよね。

  • じんわりと染み込む江戸の人情もの。
    タイトルになってる1章目のちっちゃなかみさんが、さいご本当に泣けてしまって(T ^ T)
    年末、正直何度か古本屋に出そうとサヨナラリストに入れるんですが、手放す前にもぅ一回読もうとページを開くと、この1章目に泣かされて、本棚に戻ります(笑)
    信吉あん(兄)ちゃんの幸せを考えて、11歳の女の子が自分が出ていくから、婿に迎えてくれと、両手をついて頼むとか、もぅ、今では絶対にありえないことですけど!そのあとのお京の両親のカッコ良さと言ったら!
    これぞ活き!江戸の商売人の人情も感じられるのがすごく好きです。
    平岩弓枝さんの小説は、女性が健気で真摯で活きいきとしていて、読んでいてとてもスッキリするというか、ついつい味方になってしまう感じです。
    怠惰な女性もそれはそれで人間味があって、わかるというか、、。
    大事件が起きて、登場人物が個性派揃いやら美男美女やら、、みたいな派手さはないのですが、読み始めると引き込まれて、スッキリして心地良くなり、最終的には人に薦めたい大事な一冊になる小説です(⌒▽⌒)

  • 私は時代小説が好きな気がしてきた。
    ちょっとやるせないようなモヤモヤ感が残ったものもあるけど、「ちっちゃなよめさん」「なんでも八文」「残り櫛」「赤絵獅子」「女ぶり」・・・気に入りました!

  • 時代小説は、舞台となった時代以上に執筆された時代を映し出すのかも。
    冒頭から、真面目で生き方が不器用で、貧乏くじを引いてばかりいる女性の愚痴交じりの話がいくつか。女性ならではの視点・・・という言い方は嫌いなのだが、昭和40年代の女性の匂いがした。

    「なんでも八文」には、恵まれた地位にいるけど、人としての器量の足りない女性が出てくる。周りにそっぽを向かれて孤独を感じるとこで終わるのだが、これはどうなの?と正直思った。古今東西、恵まれた地位にいる、器量の足りない男性の方が、はるかに迷惑・・・という話はおいても、そんな彼女の人生の逆転ホームランみたいな落ちが読みたかった。しかも、自らの非を悟った彼女は、後年いい人になりました・・・みたいなのじゃなくて、三年寝太郎みたいな斜め上のどんでん返し。気が利かないからって、なんなのよ!と言ってやりたい。

    私は、後半の作品の方が、好みだな。

  • もらった本。
    江戸の人情話の短編集。文章が格調高い、で、読みやすい。
    どうする??どうなる??と読み進めると全部読んじゃう。温かい目線。人間が根っこしっかり張って、生きてる!!!
    結末、すっきり!ではなくて、うっすらと物悲しいのが多い。

  • 昔の恋愛の奥深さが感じられる。
    親子愛や、夫婦愛などとても面白い作品。

  • 時代物短編集。面白くないわけではないが、なんだかスッキリしない終わり方の物が多い。可哀想というか、救われない人がいるというか。しかも、後半に行くにしたがって重くなっていくようで、段々読書スピードが落ちてしまった。
    うまくいかない夫婦、男女の話が多いのは、この作家の特色なのか。

  • 小学生の頃。当時お母さんが読んでいて、読みやすいから読んでみたら?と勧められて読んだ本。読みやすくて、内容も面白くて、あったかい気持ちになれたのを覚えている。

  • 某塾が実施した小学生模試(5年生国語)に使われていたのをチラッと見て、その前後が気になり購入。
    実際に読んでみると、問題に使われていた部分からは想像できなかった”前後”のストーリーがあり、「なるほど〜そういうことだったのか」と。話の最後も想像とは違っていて(←いい意味で)一気にこの話が好きになった。
    普段はこういう類の小説はほとんど読まないのだが、これは読んでよかった。すっきり。時代を感じさせる軽快な言葉とストーリー展開が大好きになった。

  • 向島で三代続く料理屋・笹屋の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や親が手を出すすきもない。舞い込む縁談を断り、親の反対を押し切って選んだ相手はかつぎ豆腐売りの信吉だったが、あっさり断られてしまう…。しっかり者の女たち、それゆえに悲しくもおかしい。平岩作品の醍醐味、豊かな江戸人情を描いた珠玉と呼ぶにふさわしい10編を収録。短編では惜しい人情物。図書館で借り不明になり、オークションで購入し弁償した本(後に自宅で見つかりそれも図書館に持って行く)

  • 読みやすい短編集でした。
    時代物が好きになりそうな一冊。
    ただ自宅での読書をおススメします。
    一話目から涙腺にきます。
    うっかり出かけのお共にしましたら電車内でハンカチ片手に…
    そして仕舞ってもまた出さなくてはならなくなるのですよ。
    気になってしまうので読み出したら止まらないし困りました。
    結婚とか家族とか深く考えさせられる一冊です。



  • 平岩短編集。
    育てのおじの幸せを思い、弟と二人で生きていくことを決める表題作をはじめ、いろんな要素で攻めている。
    現代よりも江戸の方が「人間の出来」が明らかになっちゃうんだなぁ、みたいな。

  • ★あらすじ★
    向島で三代続く料理屋・笹谷の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や親が手を出すすきもない。舞い込む縁談を断り、親の反対を押し切って選んだ相手はかつぎ豆腐売りの信吉だったが、あっさり断られてしまう…。

  • 江戸の市井の人々を
    優しいまなざしで描いた人情たっぷりの短編集。
    いつの時代も庶民は必死に生きていたんだなぁ

  • 一話目のちっちゃなかみさんで早速ホロリ。
    短編小説は基本的に読むのが楽なので好きですが、感情移入が難しいこととかもあってなかなか・・・
    でもこれはおススメしたい一冊です。

  • 御宿かわせみをはじめ様々な小説を書いている著者の初期の頃の短編集。

    直木賞受賞作の「鏨師」は読んでいませんが、選考委員だった吉川英治氏が「鏨師」の作者は平岩弓枝(ひらいわ きゅうし)という男性だったと思っていたという解説の話にはびっくり。

    確かに初期作品には御宿かわせみとは違った感じの話があります。
    そのなかの「猩々乱」が印象的でした。

  • 時代小説でも読みやすい短編集。

    こどもの手を 「紅葉」 という表現が大好きです。


    時代関係なく、ひとのあったかさに触れるのはジーンときます。


    ~木が大きく枝葉をひろげて下の者をかばおうとすると、
    下の者はお日さまに当れなくて伸びようとしても伸びられない。
    程よく育ったら一人一人、根分けして一本立ちになっていく。
    お前は少々根分けするのが遅かったんだ。~
    (邪魔っけ)

    ~世の中に星の数ほど親子ってものがいる。
    だが、真実、親子と呼べるようなものは、どれほどいるものか。
    子が親を慕い、親が子の支えになって生きて行く親子なら、
    血が続いていようといまいと、俺はそれが本物の親子だと思っている。~
    (親なし子なし)


    なんとなく男性作家さんを読むことが多く、感情の起伏にそこまでつき合わされないので安定して読めますが
    この方は、女性なのに男性的なカンジで好きです。

    ただやはりこの彼女も女性なので、 結婚・出産 など人生の転機のたびに仕事(言葉)に影響が現れる気がします。

    小説の世界だけではなく、今まで接触した女性は特に一緒に仕事をしたときなど、その人生の転機が後に大きく影響しているのを感じました。

    女性作家さんの読み方の楽しみに気づけたようなかんじです

  • 昭和36年から46年の作品です。
    もう40年前後前の作品ですが、時代小説だと何年経って読んでも色あせない感じです。

    殆どの作品の最後はハッピーエンドで終っています。
    その後を読みたくなる作品ばかりです。
    何作かはちょっとすねた??感じの終り方。
    あとがきに平岩弓枝さんを男性と思ったとありましたが、確かに男性が書いたような感じもしました。

    タイトルの「ちっちゃなかみさん」は妖精の(??)ちっちゃなおじさんを思い出してしまいました(笑)
    内容は妖精ではありません(笑)

  • 人情物の短編集。
    日本の時代物は海外から見れば、とても良質なファンタジーなのではなかろうか。
    面白かった。

  • わたしはやはりこの本のタイトルになっている、
    ちっちゃなかみさんが好きです。
    終わり方も素敵でした。

    25歳になれば嫁き遅れの時代…。
    うぅ〜ん、時代の流れを感じます。

  • 平岩さんによる家族の温かさやつながりを書いた短編集。

    いろいろな家族の形はあるものの、人と人とのつながりは素晴らしいとしみじみ思える
    本です。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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