- Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041673126
作品紹介・あらすじ
まっ白な気分で目を覚ますと、あのゆううつのヤローがまたにこにこしながらやってくる。
感想・レビュー・書評
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迂闊にも泣きそうになりました 僕は23歳の新社会人です。この本はタイトルに惹かれて購入しました。読んでいて非常に癒される本です。それは文字が手書きだからかもしれません。わざとなのかしりませんが、適度な汚さがとてもよいです。その下手な字が心にゆっくりと染み入るようです。ほんとに。タイプで打たれた活字にはこのように気を許せませんから。僕が迂闊にも泣きそうになったのは、46ページにある表題と同じタイトルの詩「こんなに長い幸福の不在」を読んだときです。この詩の主人公は、ずっと自分自身の不幸に耐えながら、それでも幸福がくる瞬間を信じています。その姿がいじらしい。信じているということは、いまだ幸福が到来していないということで、その悲しさが心を打ちました。とても悲しい。気に入らないところは、後半、この詩集の主人公と想定されている人物(一人ではないかもしれないが)がいくつか恋をしているところです(笑)。純粋な恋にあこがれます。しかし、「僕」を主語にした詩が続くなか、主語のない愛情の吐露が数行あります。「すき、すき、すき...」でも、相手と思われる人物に対し、その主語のない文章は、「わかってないんだなぁ」と、いいます。僕はこの主語のない文章を、「僕」を見ている女性が書いたと解釈しました。そうすると、とても幸せな気分になります。「僕」のことをすっごく好きな人がいるという気分になるからです。いつのまにか、僕は、詩集の中の「僕」と、現実の僕(今、この文章を書いている僕^^)を同一視していました。
とても、やさしくて、清らかでお勧めな本です。銀色夏生さんの文章は、すごく、みずみずしくてやさしいです。この詩集を情景にたとえると、雨がやんだばかりの草原で、葉っぱの上から滑り落ちる無数のしずくだと思います。
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長く長く不在の幸福。
こんなに不在が続くのならば、来た時には永遠に近くにあってほしいと思うのにまたいなくなってしまう。
憂鬱さに押しつぶされそうになって、悲観的で望みもない状況で人に救いを求めて落ち込む繰り返し。
それでもどうにか生きていく。
寂しいのに少し優しさを感じることができた。 -
手書きで思ったままに書きなぐられた言葉たち。憂鬱で暗い気分のまま書いたというものなので、その気持ちに呑まれそうになるけどそのまま浸ってもいたくなる不思議なきもち。銀色さんの言葉は飾っていなくて心地よい。
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好きですね〜。こんなにも長かったんだから、しばらくは傍にいてよね。また出てってもいいからさ。
「あんいなウソのなぐさめ」はやっぱり求めず待ってるね -
久々に詩を読んだ。そんなに憂鬱に引き込まれなかった。
つまり、時々は幸福だということ。 -
作品解説(カバーより):ゆううつで暗い気分の時をえらんで書いていたら、こんな本になりました。悲観的で望みをなくしたような、この本を手にとるとその本みずからがぶるぶるとふるえ、イヤがりながらぱっと遠くへ飛んでいってしまうような、そんなスネた本を作りたかったのですが、できてみるといがいと人見知りながらもかわいげのあるものになってしまった。
解説からもわかるように、タイトル程の暗い内容ではなく、むしろ心穏やかな気分になれる詩集です。寂しい時や、落ち込んだときにどうぞ。 -
読むたびに胸がジンジン。
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あんなにも敬遠していた銀色夏生さんが今はこんなに好きだというのは、やっぱり私が大人になったからなんだろうけど、若い頃の私はセンチメンタル、というものが苦手だったんだろうな、と思う。
この本のタイトルを、ずっと「こんなにも長い~」だと思っていたので、なんだか違和感があるのだけれど、中身は憂鬱にして開き直り感がよかった。
そしてなんとなく共感できちゃうあたり。
世の中にぽっつり独りぼっちな気持ち。 -
詩集。タイトルだけで買う価値あり。銀色夏生さんが本当に詩人としてポピュラリズムもあった時代の作品のひとつ。
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高校生の時に怖くて不安で友達の前で大泣きした次の日、そっと手渡された本。なんというかど真ん中な本のタイトルを見て、もう、また泣きそうになったんだった、たしか。ゆううつな気分の時をねらって書いたという、銀色さんの根性が凄いと、今は思うけど。自分より憂鬱でどうしようもなくなってる人が隣に居たら、きっと泣きやんでしまうかなー。そういう役をしてくれる本。