ゴジラVSビオランテ (角川文庫 あ 17-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041763018

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  • 1989年に公開された新ゴジラシリーズの2作目は原案を一般公募で募集した結果『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」の原案者である歯科医であり特撮作品のファンである小林晋一郎の作品が採用され、敵対怪獣ビオランテのデザインはゴジラマンガの同人作家『ゴジラ伝説』の著者、MASHこと西川 伸司、自衛隊の超兵器「スーパーXⅡ」、「92式メーサー戦車」などのメカデザインをSFメカデザイナーでありモデラーとしても著名な横山 宏が手掛けるなどゴジラ映画としてビジュアル面でも一新された意欲作。
    怪獣映画を活字化したノベライズは人間側のドラマ描写が主になる構成。本書では個人的な理由から、自らの技術でゴジラ以上の怪獣を作り出してしまう生物学者、白神博士が主人公のミステリーサスペンス仕立ての展開が面白い。
    人間が得たバイオテクノロジーという技術を、愛と同質量の狂気を持って扱えば「水爆の落とし子」であるゴジラの存在よりも恐ろしい結果を生むという現代の最先端技術による新たな脅威を描いており、怪獣が跋扈する非現実的な世界を説得力のあるリアリティーで描き出している。
    しかし、人間の業と純粋な「狂気」の描写をして、ゴジラよりも恐ろしいのは人間であることを描いてしまったゆえに、そこにはもはや「ゴジラの恐怖」はない。人間という怪物が怪獣を超えてしまった皮肉な怪獣小説。

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