- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041804070
感想・レビュー・書評
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お遊び的な軽いノリのユーモア短編集。1991年の本なので、ネタが古い。
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20170630
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新年恒例の清水義範作品。今回は『主な登場人物』。少し変つたタイトル。もつともこの人の著書は変つた書名だらけですが。
海外の翻訳小説、就中ミステリイには、カヴァーの折り返し部分に「主な登場人物」なる一覧が付されてゐる事が多い。日本人にとつて、片仮名の名前は覚えにくいので、少し前に出てきた登場人物が再度出てくると、ああこの人誰だつけ、なんて困ることがあります。初出場面を一々探すのも大変です。
そこで、冒頭に「主な登場人物」として紹介しておくと、読者が読み進む際の便に貢献するといふ訳であります。わたくしは、この表がない小説で登場人物が多いと、自分でメモ代わりに「主な登場人物」を作成しながら読んでゐるのです。
そこで作者は、チャンドラーの有名な小説『さらば愛しき女よ』の「主な登場人物」の紹介欄から想像して、新たな物語を作らうといふ、まことに馬鹿々々しい試みをするのでした。無論、そこから紡ぎ出される粗筋は、原作とは似ても似つかぬ荒唐無稽なものであります。
アホらしい試みですが、小説のネタに困つた時にはいいヒントになるかも?
その他14の短篇が同時収録されてゐます。著者得意の、何気ない日常を切り取つたパスティーシュ作品ですが、どうも本書は押しなべて密度の薄い作品が多いやうな気がする。気の所為でせうが、この作家は版元別に完成度の高さが違ふと感じます。即ち本書を含む角川系はやや空回りしてゐるのに対して、一方で講談社系は傑作が多いとか。ま、TV通販ぢやないけど、あくまで個人の感想ですがね。
その中でも本書では「ビデオ録画入門」「只今留守にしております」「ショート・ショート 拝啓」なんかがわたくしの好みで、にやにやしながら読むのに最適であります。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-680.html -
物書きの人ならおそらく、最初の『主な登場人物』と最後の『註釈物語』で「やられた!」と打ちのめされるはず。
これ以前に他に誰かが、こういうのやってるのかな。やってなかったら、アムンゼンの、人類初の南極点到達にも等しい偉業と言いたい。 -
様々で豊かな小品たちがこころあふれる。読んでて幸せになれる。一番のお気に入りは『註釈物語』。『ユリシーズ』の膨大な註なんか霞む爽快感。
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白状します。この本はそれ程おもしろくはありません。スマヌ ただ、表題作の「主な登場人物」はちょっと興味が湧く。レイモンド・チェンドラーの有名な作品『さらば愛しき女よ』の紹介なのだが、これがたいへんに変わっていて興味津々瑠璃の色である。(この作品が入っていなかったらハッキリイッテ☆2つであったのだ) じつは作者 清水義範は『さらば愛き女よ』を紹介しているにもかかわらず、この本を全く読んではいない。 読んでいないのに、巻頭の<主な登場人物>欄だけを見てこの有名なフィリップ・マーロウのハードボイルド小説の物語を自分で予想して作ってしまっているのだ。その登場人物欄とは、<主な登場人物>フィリップ・マーロウ…私立探偵大鹿マロイ…銀行強盗の前科者。大男 (中略)レアード・ブルネット…暗黒街のボス。賭博船ニ隻を持っている ここだけを見て全体のストーリーを想像してそのあらすじをかなり細かく書いている。(なんのことか分からない人は清水義範のこの本を読むしかないでしょ♪) そして、わたしもこの本(マーロウの方ですよ)は未だ読んでいない。しかし読もうと強く決心した。
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表題作「主な登場人物」がかなりツボでした。電車の中で読むのは危険かも知れません(笑)
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ミステリー小説(未読)の最初にある“主な登場人物一覧”から、どの様な話なのかを推測する著者。笑えます!
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短編が15編収録されている今作。表題作は『さらば愛しき人よ』の冒頭にある“主な登場人物”一覧表から、この物語(作者は未読らしい)がどのような話であるかを推測するというもの。もう、その発想がバカバカしすぎて、私のストライクゾーンにビシーッとハマりました。他の収録作も座談会のパロディだったり、雑誌の人生相談を分析してみたりと、かなり独特なおもろい視点で書かれたものが多く、本当に楽しんで読めました。今作で初めて清水義範の作品に触れる事ができ、喜ばしい気持ちでいっぱい。こういう風に真面目におバカな事を書くのって、文章力がないとダメだと思うので、そういう意味でも本当にブラボーな作品。ぷぷっ!と笑いたい人におススメの1冊。