- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041835036
作品紹介・あらすじ
血の絆で結ばれた洋子と高志。異なる性の双子が貪る、耽美な禁断のエロティシズム。過去、現在、未来へと、時代を超えて繋がっていこうとする、時代を超えて幽玄世界へと誘う現代のロマネスク文学。
感想・レビュー・書評
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『ペニスとヴァギナの話を、無計画に書けば「衝撃的な文学」と称され、ふつうくらいに書けば「艶やか
な文体」と称され、計画的に書けば「ポルノ小説」と称され、ていねいに書けば「ロマンス小説」とな
り、ぞんざいに書けば「恋愛小説」となる。』※姫野カオルコ 著【不倫(レンタル)】より
以前、姫野カオルコの【不倫(レンタル)】を読んだとき、物書きを目指す僕としては、この一節に妙に
納得し、深く共感した記憶がある。
それを踏まえた上でこの【変奏曲】は何小説か考えてみるが、非常に難しい。
艶やかな文体であり、ポルノとロマンスの間。いや、ポルノと呼ぶにはかなり距離はある。ポルノという
よりエロティカ。エロティカよりもエロティシズム。つまり、肉体的欲求はもはやたいした意味を持た
ず、精神的な欲望をどうやって処理しようかという方面に重きを置く。他に方法が思い浮かばないから男
女は抱き合うのであって、他の方法があるならばそっちで結ばれてもかまわない。
しかし結局のところそんな方法は見つからず、男と女は抱き合うしかないのである。
姫野カオルコの作品は哲学です。
【変奏曲】は洋子と高志という双子の姉弟の禁断の愛の物語である。4章にわたる物語だが、4つの章は
それぞれ違う時代であり、4つの短編という読み方もできる。双子の姉弟という設定はすべてに共通する
ものだが、それぞれの時代でふたりの置かれた環境や立場は異なる。だが、微妙にすべてがリンクしてい
るように時間軸を絶妙に操る文章はさすがである。
血の繋がった双子の姉弟だからこそ作りだせる空間。双子の間で交差する強烈なサディスティックとマゾ
ヒズム。ただの男と女の関係ではないからこそ生まれる重苦しい切なさと泣きたくなるほどの快楽と甘美
な世界。
著者はあとがきでこう語る。
「女の人ならいくつになっても夢みる完全なる《おはなし》の世界を一度、綴ってみたかった。男の人が
読んでもちっともおもしろくないやつを一度、やってみたかった」
なぜ男が読んで面白くないだろうと想像したのだろうか。おそらく、文章から滲むエロスのデティールが
男性が好む(望む)ポルノ的要素ではないからだろう。紡ぎ出されたのは、確立したエロティシズム。
その辺の安いエロビデオと一緒にしちゃいけません。これは、立派にはっきりと「文学」です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755226 -
双子の姉弟の、時代を超える近親愛。っていう内容に惹かれて購入。短いからちゃんと読み終えたんだけれど、わたしにはまったく合わなかったです。お話は幻想的かもしれないが、エロ描写がほんとに合わなくてムリだった…
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エロいのは分かった。でも時間を越える意味がワカラン。
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愛はどんな時代でも変わらず繰り返される。
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読み終わった後、ライラックの花だけ妙に印象に残った…。
中学生の自分が読むにはちょっと難しかったと思う。 -
masochistishな香り。人にはお勧めできない。こっそり読むべきだ。奇妙なメロディを繰り返す変奏曲。