待っていてくれる人 (角川文庫 さ 24-12)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853122

感想・レビュー・書評

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  • 鷺沢さんの最後に文庫で出たエッセイ。「この惑星(ほし)のうえを歩こう」の改題、文庫化。「Office meimei」三部作を読み返しているのを機に、思い立って再読。オフィスめめにも登場のわたべさんに、韓国でPCの電源ケーブルを忘れてえらい怒られた話しなど出てくるとにやりとしてしまう。お互いの確認不足で超絶不機嫌に取引先のところに向かっているところに、過剰なまでのレディーファーストを示されて、ここは日本だしそこまでしなくても、という趣旨のことを言ってほほえみあったら、解けた不機嫌。 急に御朱印船の話を持ち出した友人、ベトナム出張中の旦那さんに頼まれた靴を送ってなくて、「ワタシのクツ、なぜ400年前より届くの遅い!?」と怒られた話し。10人乗り飛行機のパイロットと空港ついてからのバスの運転手がおなじで「飛ばせてよし、走らせてよし、ですねえ!」「コッチ(バスの運転)のほうが本業なわけさー」といった話し。アヤシイ英語に寛容な英国、蔑視される米国を対比しつつ「アメリカが未だ克服できずにいるのが「言語の「壁」なのではないか」(p.124)といったところが今回は目にとまった。旅先で受けた訃報に「時差や日付変更線なんて、関係ない。もう間に合わない。間に合いなどしない。おそらくは一生、もう間に合いなどしない。おそらくは一生、もう間に合いなどしない。そう思った。」(p.96)というシーンのやりきれなさ。

  • 表紙裏
    あなたにはヨンマッサルがあります――。十数年前のある日、取材で訪れた韓国で占い師からそう宣言された鷺沢さん。「ヨンマッサル」とは「忙しく旅する人」の意。やだなぁ、それ・・・、と言いながらも、鷺沢さんは、その後もニューヨーク、ベルリン、ロンドン、プラハと、まさに世界中を旅してばかり。国、性別、人種、言語、あらゆるボーダーを超えて、この惑星を歩きまわる、笑いと涙の傑作エッセイ集。

    目次
    笑顔という魔法
    冷凍イカとJAFの夜
    カニ缶ミステリー
    妙義にて
    ブレイン&クレイン
    ロスト・バゲージ
    都会の善人
    マフラーはパステルブルー
    待っていてくれる人
    クツは船に乗って
    リナの野望
    零下十度のミニスカート
    国境を越えるために
    八〇〇ドルの同情
    パンダの威力
    飛ばせてよし、走らせてよし
    お互いツライね
    友の訃報を
    ソウルの月
    アミュレット
    歴史という名のイタズラ
    人の残した思い
    ああ!外国語
    ふつうの名前
    言語の壁
    言葉という宗教
    プラハと呼んで
    カンジ悪いオンナ参上!
    ことばは鋏
    生涯の先生
    ばんざい、ひとり暮らし
    イヌとの闘い
    「おたま死」の恐怖
    負け犬宣言
    餃子とガーデンテーブル
    大阪は遠かった
    砂浜の魔力
    ビーチにて
    ウェールズの王子
    熊の子ら
    チョゴリを着て投票に行こう
    「私」という「自分」

  • 鷺沢さん
    改めて好きだなと思った

  • 面白かった。
    この人は暗いんだと思ってた(国語紊乱にはすごく暗い顔で載っている。しかも自殺をしてしまったというくらいだから暗いんだとばっかり思ってた)

    でも結構サバサバ系、女子。

    海外に友達もたくさんいる人。
    私のころは国語の教科書にも載っていたくらいだけど、今はもう載っていないのかな。
    いい本、元気が出る。

  • もういない、自分と感性の似た方の文章を読むとひどく淋しくなる。

  • 2010年1月20日購入。

  • タイトルの話が胸にぐっときました。
    そのほかも読みやすいエッセイなのが魅力的。

  • 「笑顔は人生の潤滑油、などというのは使い古された言い方だ。けれど、差しあたって何もできないなら、笑っていないより笑っているほうがいいと思う。」

  • 笑える話もシリアスな話もあって、何度読んでも飽きない。旅先に必ず持っていきたくなる。

  • 4/25 もう、この人の最近のエッセイを私はいろいろなことに想いを馳せずには読めない。いろんな考えや情景が迫ってきて泣きそうになる。
    もちろん単純におもしろいところもたくさんあるけど。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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