イコン 下 (角川文庫 フ 6-20)

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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537205

感想・レビュー・書評

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  • (上巻から続く)下巻からいよいよ主役の元CIA工作員のジェイスン・モンクが始動する。彼には工作員時代に痛恨の記憶がある。自ら発掘し、ロシアで運営していた"資産"たちを守れなかったことだ。それはあの「エイムズ事件」に深く関連している。諜報の世界に関心があるなら知らぬ者のない現実の事件である。これを期にスパイゲームから足を洗い、カリブ海で静かに暮らすモンク。そこにロシアでの工作の依頼が舞い込む。彼は断固として拒否するが、ある男の名を聞いた瞬間に気が変わるのである。

    ありとあらゆる要素が絡み合い、とにかく夢中になることは請け合える。ロシアの新たなる"イコン"は一体なんなのか?それが明かされた時には、なるほど保守主義者のフォーサイスらしいと思わされたものだ。小説の最後にナイジェル卿が仕組んだ工作の全容が開陳されるが、それがあまりに痛快で笑ってしまうほど。いや参ったの一言だ。

    本作は分かりやすい勧善懲悪ものともいえ、ラストのバトルといい、映画向きの作品という印象を持ったが、実際にパトリック・スウェイジ主演でTVムービーになっているとのこと。未視聴だが、密度の濃い作品だけに二時間あまりでまとめ切るのは難しそうだ。

  • 本書の最後にこのゲームの仕掛けが開陳される。

    (このシナリオそのまま実現していくが、途中のどんでん返しやハラハラが実はシナリオにて織り込み済というストーリーとプロットに、「一本とられたぁ」感が惹起される)

    シナリオの読みどおりというムリはあるが、傑作であることに違いはない。

    スパイゲームというなじみのない世界を、みごとな心理戦からリアルに表現した筆致と篠原氏の訳に拍手

  • 1999年インフレに陥ったロシアを舞台に、独裁政治をもくろむ政治家コマロフの大統領就任を阻止するために、元CIAや元SISスパイ集団が立ち向かう話。
    KGBやCIAやSISなどが繰り広げるスパイ合戦の様子がとてもくわしく書かれているが、前半は登場人物やかけひきがとびかいがまんの部分であるが、後半主人公の元CIAモンクが動き出してからは一気に進む。
    ザ、スパイ小説である。

  • 敵国のスパイを引き入れるというのは、いろんなことを調べ上げてこのタイミングで。という落しどころでするのもすごいと思いましたが、その身の安全も確保しないといけないので読んでいる間緊張しっぱなしでした。この本で他にもフォーサイスの本が読みたいな、と思いました。

  •  モンクはスパイ・ゲームを止めた。心の傷を負って。しかし、彼は再び使命を負う。コマロフを、失脚させるとの使命を。
     情報が持つ恐ろしさ。情報によって人間が追い詰められるという「事実」がこの小説の中に書かれています。

  • 上巻ではやはりフォーサイス特有の虚しさを感じる終わりかた・・・
    下巻ではどうゆう風に展開するかと一気に読んでしまう。グリシンの追い込み方も迫力があったが・・・あまりにも、モンク側の行動がグリシン側の行動を全てを読み切っていたようで物足りなさも・・・しかし、混沌としたロシアの現状が感じられた。

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2022年 『ジャッカルの日 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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