- Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043405022
作品紹介・あらすじ
山奥の最新脳科学総合研究所「ブレインテック」。脳科学者の孝岡は、同研究所所長の北川の指名を受け、この地に赴任する。到着早々に目撃した若い女性の身体から放たれた白い光。が、不思議な体験はそれだけではなかった。孝岡は、エイリアンらしきものに拉致され、生体実験を施されてしまう。しかし、それらの超常現象も、この地で行われている数々の研究も、すべては人類を更なる進化へと導く壮大な計画の一環でしかなかった。人類の根元を司る「脳」に最先端の科学理論で迫り、オカルト現象をはじめ様々な謎を解き明かす究極のサイエンス・フィクション、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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一人の脳科学者が、赴任した研究所で不思議な体験をし、苦悩しながらも静に立ち向かっていく。
著者の持つ生命科学の知識をバックグラウンドに書かれた文章は、話にリアリティーを持たせています。
大学で理学系の専攻をした人にとっては、楽に読めると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パラサイ・トイヴの作者による長編。
発行は随分昔のようですが、今でも十分読める内容でした。
サイエンスホラーというか、ミステリというか、今回のテーマが「脳科学」ということもあって、医学やその他の理系用語が散見され、ちょいと小難しいなぁと感じる点がいくつかありました。
それでも、読み進めるうちにぐいぐいひきこまれ、気が付けば上巻をアッという間に読破し、下巻へ。
脳について、精神について、人について…。
いろいろ考えさせられることもあって、面白かったです。 -
山奥の最新脳科学総合研究所「ブレインテック」。脳科学者の考岡は、同研究所所長の北川の指名を受け、この地に赴任する。到着早々に目撃した若い女性の身体から放たれた白い光。が、不思議な体験はそれだけではなかった。考岡は、エイリアンらしきものに拉致され、生体実験を施されてしまう。しかし、それらの超常現象も、すべては人類を更なる進化へと導く壮大な計画の一環でしかなかった。人類の根源を司る「脳」に最先端の科学理論で迫り、オカルト現象を解き明かす究極のサイエンス・フィクション、待望の文庫化!
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地球がひとつの脳になったらどんな思考をするのかという発想は好奇心を刺激します
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1405 SF界の名手と言える著者作品。他作品と比べても圧倒的に小難しい感じです。。。でもサイエンスアレルギー反応も出ないし先が気になる!
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いくら著者が元研究者とは言え、このカタカナ専門用語の乱舞にはいささか驚いた。まあブレイン・サイエンスは嫌いじゃないので何とか上巻は乗り切った。テーマ自体は脳に絡めた「神」の正体なので面白い。たた舞台設定が遥か未来ではなく現在のため、この広げた大風呂敷を下巻でどう畳むのか。デビュー作「ミトコンドリア・イブ」でも快調な出だしにも関わらず、最後はモンスターパニックに落ちてしまっただけにかなり気になる。
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上巻読了。
「ループ」が好きだったので、似たテーマのを選んで読んでみた。
面白そうなんだけれど、さすがに430ページ読んでもストーリーがほとんど進まず脳やらUFOやらの説明だと、ちょっと読み続ける気失せるなあ・・・。
ちらっとレビュー見たら下巻の結末もつまらなそうなので、上巻の終わりで終わろうかなあ。。 -
瀬名秀明による第19回日本SF大賞受賞作。
デビュー作『パラサイト・イヴ』でホラー界とSF界とその周辺に大きな反響を巻き起こし、そのリアクションの大きさに戸惑いを隠しきれなかった瀬名英明。そんな彼が日本のエンターテイメント小説界に問うた第二作が本書である。
辺鄙な山奥の村、船笠村になぜか設置されている最新の脳科学研究所「ブレインテック」。アメリカのシリコンヴァレーをもじって「ブレインヴァレー」と呼ばれるこの地区に、脳科学者の孝岡護弘は赴任する。
何か違和感を感じさせるこの施設で、孝岡は異常な体験をする。理論では説明のつかない現象を体験するにつれ、現実と幻の区別すら曖昧になっていく。一体、これは何だ?これは壮大な陰謀なのか?誰が、何を企んでいるのか?
やがて明らかになる驚愕の計画「オメガ・プロジェクト」。それは人類の未来を左右する究極のプロジェクトだった。
脳科学・分子生物学・霊長類学・人口生命といった最新科学の知見を総動員しつつ、UFO・エイリアンアブダクション・臨死体験そして神といったオカルト要素も取り込んで科学と文学が融合したエンターテイメントを作り上げた労作である。
瀬名氏はマイクル・クライトンの『ジュラシック・パーク』のように、科学の面白さを伝える小説を目指したらしい。瀬名氏を嚆矢として、我が国の娯楽小説界に理系作家ブームが巻き起こったことを考えると、彼ならびにその作品の残した功績は非常に大きい。
ともあれ、本書はなにぶん難解である。内容が観念的すぎるという意味の難解ではなく、頻出する科学用語が専門外の人間には理解できないのである。
そんなこともあって、出版当時は途中でギブアップしてしまう読者も多かったという。もちろん瀬名氏はこれを狙ってやっている。つまり逆に言えば、専門の人間にも満足できるような娯楽小説を完成させたのだ。
僕なんかには、主人公・孝岡による神経伝達物質の受容体(レセプター)に関する研究についての記述など、どこまでがハッタリでどこまでが事実なのかさっぱりわからなかった。(瀬名氏は「しっかりした科学的考証を基盤に、大きなウソをつく物語」が欲しかったと語っているが、その企ては成功であろう)
その後、三作目、四作目と作品を発表するにつれ、瀬名氏の極端に専門科学寄りな作風は徐々に真ん中のほうへ修正されていっている感じがする。
しかしこの頃の瀬名氏は執筆活動に異様なまでの情熱を秘めているように思え、それが生々しく行間に刻み込まれているようだ。瀬名氏は本書によって今度はSF界に対して確実に衝撃を与えた。そしてその影響は文学と科学という二つの世界に波及していった。
一人の作家の覚醒が日本のSF界はじめ文学界に強烈なインパクトをもたらしたのだ。
神と対峙するSF小説という意味では、山本弘の『神は沈黙せず』(2003年)と共通するが、物語の方向性はまったく違う。違うにもかかわらず、本書に収録されている口絵「キリストの変容」(ラファエロ)が、『神は沈黙せず』角川文庫版の表紙にも使われている、というリンクが楽しい。
この小説を機に、小説に興味をもつ科学者や科学に興味を持つ文学者が増るといい。そうすれば、人間の持つ知識はきっともっと豊かなものになるに違いない。そんな意味でも記念碑的な作品。 -
2作目もオカルト色が濃い
パラサイト・イブに続く瀬名氏渾身の作品。
ハードSFっぽい専門用語の嵐に加えて人物もよく描かれている。しかし、前作同様にどうしても乗り切れない仮説が邪魔して感情移入できないのが難点。
なぜ写真が2種類あるかというと最初文庫版で読み始め、下巻にさしかかった瞬間に下巻を紛失したためハードカバー上下巻セットをあわてて購入したということ。
金かけた割にはイマイチだったなぁ。