アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043410033

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんがアンネについて書かれた本を読もう、と思って先日
    子供むけに書かれたものを読んだ。でもやっぱりこちらの本も読みたくなった。

    私ももっと小さいときに素直にアンネの日記を読んでいたら、文章を書きたいと思うようになっていたんじゃないだろうか? と思えるほどの小川さんのアンネに対する思いが伝わってくる。

    アンネ・フランクハウス、アウシュヴィッツ、いづれも行ったことがないがいつか行ってみたい。ただ、アウシュヴィッツで小川さんが見て感じたようなことは、London のImperial war museum のホロコースト展で見て深くショックを受けたことを忘れることができない。

    持ち主を待ち受けているかのような、靴、靴、靴・・・・・ 髪、髪、髪・・・・
    ありとあらゆる(ユダヤ人から没収された)モノが積まれていた。

    小川さんも指摘されているように、ナチスは一種異様な合理性と正確性にもとづいてあの悪行をなしたのだった。

    毎日を生きているだけですることや考えることがいっぱいあって、それだけであっぷあっぷしてしまうのだが、時に歴史を顧みて人間の愚かさや愛しさを感じたいものだ。

  • こどものときに読んだ本の中のアンネは白黒だった。アンネの髪は黒くてつやつやしていた。

    学校でみんなで観たドイツの戦争映画も白黒だった。

    だから、アウシュビッツの展示室で、収容されたユダヤ人の髪を見たとき、それが金髪だったことに、私はとても驚いた。

    そうだよな、ヨーロッパ人だから金髪だよな。

    自分のなかで、どこか遠いお話の世界だと思っていたことが、現実となった瞬間だった。

    その場所に行くということは、そういうことだ。

    色をつけるということ。

    悲しい苦しい記憶がしみこんだ土地の空気を吸うということ。

    小川洋子がアンネを辿る旅にでたのも、子どもの頃から慣れ親しんだアンネの記憶に色をつけるためなんだろうと思う。

    それを読んで、私も自分の記憶に鮮やかな色をつける。

    アウシュビッツの茶色いれんが。
    ビルケナウの青々とした芝生。
    イスラエル人学生の遠足の列で翻る白と水色の旗。

  • (2011.07.01読了)(2007.09.18購入)

    ☆関連図書(既読)
    「アンネの日記 完全版」A.フランク著・深町眞理子訳、文春文庫、1994.04.10
    「アンネの童話」アンネ・フランク著・中川李枝子訳、文春文庫、1994.04.10
    「思い出のアンネ・フランク」ミープ・ヒース著・深町眞理子訳、文春文庫、1994.04.10

  • 読みました。
    小川洋子がいかにアンネをしたっているかがよくわかる本。
    独特の丁寧な表現で訪問したゆかりの場所を尋ねたときの感動を記述しているのは「小川洋子が旅行記を書くとこうなるんだぁ」というのを強く感じる。

    ただ、私自身はアンネの日記を読んだことがないので、入れなかった。

  • 「アンネの日記」には感傷的な少女のアンソロジーというイメージがあり、実は読んだことがない。でも最近出た≪完全版≫をぜひ読みたくなった。いまだ読んだことのない私にも、圧倒的なパワーでアンネ・フランクの記憶をイメージさせる小川洋子さんの手腕は、凄いと思う。

  • 10 代のころ「アンネの日記」がきっかけで作家を志した小川洋子さんが、アンネゆかりの地を訪ねる旅日誌。最近「アンネの日記」を再読したばかりで興味を持っていたのと、小川さんのアンネへの思い入れの強さからくる筆の勢いにひっぱられて、表紙を開いてから最後まで一気に読み上げた。小川さんが移動中の電車の中や訪問先で子どもを見かけるたびに 「この子が隠れ家に住んだり収容所に送られたりすることがありませんように」 と祈りのことばを書き付けているのは、感傷的すぎてひとりの作家の表現としては抑制が効いていないと思うが、彼女がアンネを心の友にして思春期を過ごし、いま (旅行当時) アンネの母の年齢に達したひとりの女性であると考えると、十分にリアルなことばとして受け止められる。
    小川さんは旅の中で「アンネの日記」に登場するジャクリーヌ・ファン・マールセンさん、ミープ・ヒースさんとも会っている。おふたりとも近年になってアンネの思い出を本にした。どちらも「アンネの日記」の深町さんが翻訳しているので、読んでみたいと思う。

  • (「BOOK」データベースより)
    十代のはじめ『アンネの日記』によって言葉が自分を表現することに心ゆさぶられ、作家への道を志した小川洋子が、長年の感慨をこめてアンネの足跡をたどる旅に出た。命がけで物資を運びフランク家の隠れ家生活を気丈に支えたミープさんや無二の親友ジャクリーヌさんら老齢の今も美しく、真の魅力を放つ女性たちと語り、生家→隠れ家→アウシュヴィッツへとたずねていく―。アンネの心の内側にふれ、極限におかれた人間の、葛藤、尊厳、信頼、愛の形を浮き彫りにした感動のノンフィクション。

  • 私は恥ずかしながら、アンネの日記を全て読んだ事がありません。今まで読んでこなかった自分を本当にはったおしてやりたい。
    薄氷の上を歩くかのように、慎重に選び抜かれ、抑制された言葉で、語られるアンネ。こちらも思わず息を潜めて読み耽った。
    あえて語弊を恐れずに言うのなら、これは、ナチスとは、戦争とはなんだったのかを考えこませる、説教くさい本ではなかった。
    ただただ、アンネに会いたくなる本だったと思う。

  • 一緒に旅をしている気分で読みました。
    いい旅でした。

  • あれれ?なんかわたしが持ってるのと表紙が違うぞ??

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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