- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043595075
作品紹介・あらすじ
望みどおりの結末なんて、現実ではめったにないと思いませんか? もちろん物語だって……偉才のミステリ作家が仕掛けるブラックユーモアと企みに満ちた奇想天外のアンチ・ハッピーエンドストーリー!
感想・レビュー・書評
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表題名の通り、アンチハッピーエンドな11作品の短編集。
初読、歌野晶午。
私が小説読書デビューした際、ミステリ作家を調査していた時に出逢い、入手するもずっと本棚に鎮座し続けていた本作品。約600日の時を経て、ようやく通読に至った。
サスペンスあり、ミステリあり、ホラーあり、コメディあり。
総じて皮肉に満ちた物語たちに痛快さを感じた私は悪趣味だろうか。
どの作品もエグみほどのインパクトはない。どちらかと言えば薄味だ。だからこそリアリティがあって嫌な後味を残している。よって、バッドエンド…よりもアンチハッピーエンドの方がしっくりくる。シュールなのだ。
しかも、短編の中にショートショートも塗されていて、緩急をつけているところが小賢しいじゃないか。兎角、読者の想像力に委ねる物語の終い方が良い。こういうアプローチは好きだ。中でも個人的に『殺人休暇』『玉川上水』『尊厳、死』は絶品。
人間の数奇で自堕落に陰惨な側面を垣間見たい方、「うわっ」もしくは「ええっ」と呟きたい方にお勧めしたい一冊である。 -
文章一つ一つに意味があり、丁寧に読みたい本。短編集ながら、人間の本質的な部分に迫った内容になっており、考えながら読むので中身がありすぎる。時代が少し古いので「保母」と言う言葉やジェンダーに関する感覚が今では違和感を感じるが、虐待など今も繰り返される問題と向き合い、知らない間に読者の心理が弄ばれ引きずり込まれる。読書というより、自分が当事者として実際に経験したような読後感。各短編の不気味な終わりかたがゾクリとして、それがまた良い。好き。
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おみごとです!
表題でおおかたの想像はつくのですが、その期待を裏切らないアンハッピーエンドの11連発。
あ…と軽いものから、おお!…と周到なものや、嗚呼…とやるせないものまでいろんなイヤミスが盛りだくさん。
短編集なので、通勤通学にいかがでしょう!と言いたいところですが、1日のスタートにこの世界観に浸ればどんよりすること請け合い。
「おはよう!」と声をかけてくれた友人や同僚に引き攣った笑顔を見せることになるやもしれません。
11話もあるのに、読後に各目次を振り返るとどれもストーリーをしっかり思い出せるインパクトある短編集になっていると思います。
個人的には
「サクラチル」
「消された15番」
「尊厳、死」
が面白かったです。
人の心はその人にしか分からない。そこにどんな深い闇が潜んでいるのかは、実は本人にだって分からないから怖いのです。
今年の4冊目 -
黒い…
ハッピーエンドがお望みの方は、
本書には手を出さないでください。
最初の「おねえちゃん」から
この時点で相談されても
自分が美保子だったらと思うと
絶望感しかない。
両眼の前を覆った手のひらの
指の隙間から覗き見する感じですかね。
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アンハッピーエンドな短編集
「おねえちゃん」
骨髄移植のために生まれたと勘違いした女子高生が両親と姉を殺す
「サクラチル」
東大受験に失敗しまくる息子ともう潮時だと感じる母
「天国の兄に一筆啓上」
3頁からなる兄にあてた犯罪告白手紙
「消された15番」
背番号15の高校球児を劇愛する母がTV中継を中断させた誘拐殺人犯に逆切れする
「死面」
開かずの間に保管されていた仮面を被って肝試しで殺される
「防疫」
幼稚園のお受験調教を体験していた彼女が子供を産まない理由
「玉川上死」
死体のふりして玉川を流れていた男子高生の同級生がその模様を撮影中に殺される
「殺人休暇」
OLがストーカー男を殺す
「永遠の契り」
憧れの女子を自宅に誘った男子の青春
「In the lap of the mother」
パチンコ好きの母が子供を殺す
「尊厳、死」
仕事も自殺も面倒なホームレスがホームレス狩りにあいボランティア女性を殺す
「おねえちゃん」は映画「私の中のあなた」の発展系で面白かった。 -
いや、そうはならんやろ。
ミステリと言うにはオチが強引すぎる… -
良くも悪くも歌野氏らしい作品。後味が悪い短編集。ハッピーエンドだらけの小説にお腹いっぱいの方にはお勧め作品です。
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物語をどこで終わらせるかで、それがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかが決まると思う。
この本は、一番悪いタイミングで終わらせた話の集まりだ。
個人的には「死面」が好きだ。ホラーのような不気味さがあり、ミステリーの要素もあり、最後までゾクっとさせるものがある。死面のビジュアルが色鮮やかに脳裏に浮かぶのも恐ろしい。
どうしてもこういう本、特に短編集は、最後ばかりが気になってしまって、途中を読み急ぐ傾向がわたしにはあるようだ。あっという間に読んでしまってこれという感想はないが、いくつかの話は本当に面白かった。
「絶望ノート」入手しております^ ^
かなり分厚いので既にヤられてますが、奏悟さん推しということは内容も濃密ですな。...
「絶望ノート」入手しております^ ^
かなり分厚いので既にヤられてますが、奏悟さん推しということは内容も濃密ですな。なんせ「絶望」ですもんね。楽しみです。
「世界の終わり、あるいは始まり」入手します!
おススメありがとうございます!
確かに読み始めるまでは、躊躇する分厚さかもですね。
なんせ「絶望」・・・私の性癖は黒新堂でバレてますね笑
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確かに読み始めるまでは、躊躇する分厚さかもですね。
なんせ「絶望」・・・私の性癖は黒新堂でバレてますね笑
ラストで「グフッ」と喉から変な音が出たのはこの本が初めてです( ゚∀゚)ノ
レビュー楽しみに待っております!