進化論の挑戦 (角川ソフィア文庫 298)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043685011

感想・レビュー・書評

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  • 1998年当時、大学の卒論作成のときに読んだ本。進化論の面白さと応用範囲の広さと奥深さを知るには最高の一冊。こんなにわかりやすくて面白い本は他にないですよ。正直、この本のおかげで人生狂いました(笑)この本の後ろについている参考文献リストも秀逸でわかりやすいコメントが一緒についています。この本をベースキャンプとして参考文献リストに飛ぶことで進化倫理学、社会生物学、進化心理学あたりの文献を読み漁りました。世の中にこんなに面白い学問のジャンルが存在するのかと知らしめてくれたぼくにとってはとても大切な本です。ものすごく思い入れがある。

  •  少し前に読んだ『新しい人間像を求めて』という論文集にこの著者も寄稿していて、その論文がすごく面白かった。で、「この人、只者じゃないなあ」と思って、旧著に手を伸ばしてみたしだい。

     この本も素晴らしい。第一級の科学啓蒙書である。進化論の歴史といまを手際よく概観したうえで、進化論をフィルターとして差別思想・フェミニズム・自然保護などを論じ、スリリングな知的冒険に読者を誘う快著。

  •  進化生物学と学問領域と社会との関わりについてのくだけたエッセイ風の概説書。学会での論争や社会への受容についても言及している。バランスもよく文献への案内も付いている。
     高校時代に読んだときは、進化論を基にここまで論じれるのかと感動した。模試の現代文で取り上げられたのを機に(本書を買い)進化生物学に興味を持った。
     扱うテーマは進化論に関連して、少し浅くかなり広い。

    【目次】
    目次 [003-006]

    汝自身を知るために――まえがき 007

    第一章 進化と進化論の歴史 013
    1 自らのルーツを求めて――進化論 014
    2 進化論の歴史 021
    3 社会のなかの進化論 031

    第二章 国家と社会の名のもとに――優生学と社会ダーウィニズム 039
    1 偽善のヴェールをかぶった弱肉強食の時代 040
    2 一九世紀後半の優生学思想 044
    3 二〇世紀前半の優生学 052
    4 優生学――過去・現在・未来 056

    第三章 社会行動の影に遺伝子あり 067
    1 登場 068
    2 論争 076
    3 受容と現状 085

    第四章 人はなぜ道徳的に振る舞うのか、また、なぜそうでなければならないのか? 097
    1 進化倫理学の背景 098
    2 進化倫理学の現状 103
    3 自然主義・再考 111

    第五章 ダーウィンとフェミニズム 121
    1フェミニズムと進化論――宿命の対決? 122
    2 家族、育児、共同体 138

    第六章 ケーニヒスベルクの三〇〇年――進化論と認識論 147
    1 カントの遺産 148
    2 ローレンツ以外の進化論的認識論 155
    3 神は心のウイルスか? 160

    第七章 人の心の歴史 173
    1 フロイト再訪 174
    2 人は社会的な動物である 187
    3 さまざまな進化心理学 199

    第八章 さらばガイア、こんにちはバイオフィリア 215
    1 人はなぜ自然を保護しなければならないのか? 216
    2 バイオフィリア――支持する証拠 226
    3 都市の生活と進化論 232

    あとがき(一九九七年七月 横浜にて) [242-244]
    文庫版あとがき(二〇〇二年十二月 佐倉 統) [245-246]
    参考文献 [247-253] ([1-7])
    図版協力 [254]

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著者プロフィール

東京大学大学院情報学環教授、理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー。もともとの専攻は霊長類学だが、現在は科学技術と社会の関係についての研究考察が専門領域。人類進化の観点から人類の科学技術を定位することが根本の関心。著書に『科学とはなにか』(講談社)など。

「2024年 『抑圧のアルゴリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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