疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043707034

感想・レビュー・書評

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  • 目次:Ⅰ 心耳を澄ます、Ⅱ 働くことに疲れたら、Ⅲ 身体の感覚を蘇らせる、Ⅳ 「らしく」生きる、Ⅴ 家族を愛するとは

  • 2017.08読了。面白かった。私が普段から考えていた事をしっかりと纏めてくれた感じ。現代日本人が脆弱で承認欲求が強く我儘なのは、核家族というシステムがそもそも人を育てる壌土として不完全であり、簡単に一人ないしは二人の偏った考えの支配を許してしまう故に、その偏りに気づかず、子供は汚染されて育ち、また偏ってしまうが故に、人生に苦労する。他人の介入を許さないが故に、客観性を持てない。そして客観的な視点を持てないからこそ、肥大化する「理想の自分」と、現実の(理想と比べた時の)「無能な自分」との間で苦しむ事になるのだ。客観的に見る事が出来れば自分の有能な部分を見つけ、そこを伸ばす事で自己実現ができるのに、そこに目を向ける事がなかなか出来ない。また、本当の自分などという物は元から存在せず、個性なんて物も存在せず、環境による物が大きいというのもその通りだと思う。そして、どんなに個性を隠そうとした所で、育った環境はそれぞれ違うし、育つ内に経験も違う物になる、つまり自ずと個性は形成されて行くので、あえて変な方向に行く必要はないと思う。ただ、経験を積む為に国外に出て多様性を学ぶ事はとても良い事だと思うので、若者にはどんどん海外に興味を持って国外に出て欲しい。比較する事でしか客観性は持てないし、自己も認識する事は出来ないのだ。国外を知って初めて日本という国を客観的に認識する事が出来るようになると思う。
    アメリカが、西部開拓時代の男女比の偏りから、女性を得られなかった男性を慰める物語(女性と女性を得た男性が悪役であり、得られなかった男性同士が善で友情を結ぶ)を生み出し、それがハリウッドによって全土に広まった、嫌女性大国であるとの説、
    「らしさ」のロールモデルを演じる事で欲望と思考に多様性を生み、棲み分けを行い、平和を生みだして来たという説、は面白かった。
    また、身体的な能力、危険察知能力が落ちているとの指摘は、背筋が伸びる思いだった。背後の気配に気をつけたい。
    DVを許容する考えである、「純粋な思いがあれば暴力を振るってもいい」という説は全力で否定すべきであり、「相手に対する愛や思いやりがあれば暴力はふるえないはずだ」を全面的に後押しすべきである、という考えは最もだと思ったし、
    資本主義の大量生産大量消費が人間を、そして地球をダメにし、戦争に向かわせるのは最もだと思う。100分de平和論でやっていた、資本主義の「より速く、より遠く、より沢山」と正反対のイデオロギー「ゆっくり、近く、少なく」生きる事こそ平和を守り、幸せに、豊かに暮らせるヒントだと思う。ガンジーの「良い物はカタツムリのように進む」や「地元の製品を愛し、買って、お互いご近所で支え合う」を大切にしたい。

  • 2017/07/25

  • 最近、内田氏の本は対談形式が多いけど、これは少し前に書かれた本。やっぱり内田氏の文章、好きだな。

  • さすがに今読むと「ん?それはないんじゃないか?」ってところが多いなー。特に資本主義に関する所あたりは詭弁といってもいい。
    ま、それにしてもほんと、七色の論理。さっと読むと「おおその通り!」とうなずかざるを得ない説得力はある。

    しかし文庫版のあとがきはひどいぞ。
    「今読み返すとだめなことを多く言っている」という自己総括があるんだが、いやそうであれば加筆修正してその旨を付記するなり、そもそも文庫版を出さないなりをするのが誠実な態度では?あとがきでさらっと言及して「それでもいいのだ」と開き直ることじゃないだろうよ。

  • 本書は二〇〇三年五月、角川書店より刊行された単行本を文庫化したものです。

  • 内田樹のエッセイ。タイトルと内容はそこまで関連していない。

    ・「らしく」ふるまう事は必要。
    ・そのために「型」がある。
    ・礼儀はディフェンスである。日本人はそれが弱い。
    ・日本人は他者志向(恥の文化)である。
    ・群をともにしたがる。
    ・自分の直感にも耳を傾けるべき。
    ・どんな制度にも賞味期限がある。
    ・核家族は不完全。
    ・核家族におじさん、おばさんを1人加えると良い。

  • 利己的な人間が増えた?
    らしく生きるとはどういうこと?
    個性とはいったい?
    家族の愛情至上主義は限界?

    周りとの考え方のずれ、違和感を感じたら
    読んでみると、答えが見つかるかも。

  • 色々な考え方があるな~と感じさせる本。

    様々なテーマについて「 世間では常識と思われていることもちょっと違うかもよ」ということを述べてます。

    いわゆる雑記で、型にはまるのも、型がないのも疲れるし、色んな考え方があっていいんじゃないの?って感じを受けました。

    いくつか納得できたテーマは、
    ・グローバルスタンダードはアメリカンスタンダードで世界標準ではない。
    ・嫌な人に耐えることは、社会人なら当然というのは違うのではないか。
    ・地位を得たり、金を稼ぐためだけの仕事は虚しい、感謝や工夫や面白さや人との連携がある仕事は楽しい。
    ・個性とは、周りを知った上での人との違い。

    若干気になるのが、こういう人はこうである!とレッテル貼ること。
    こういう女性が多くなってきたとか、昔の人はとかこうだったとか、特にデータや根拠がなく、主観だけというのが厳しい。

    その主観が納得できるときは凄く面白いんですが、
    それは違うんじゃないの?と思うテーマは馬鹿らしくなります。

    期待していなかったぶん面白く読めましたが、裏付けがない主張が苦手な人は避けたほうがいいかも。

    他人との意見の違いを許容できる人にオススメです。

  • 読んでから時間がたったせいもあるが、何が書いてあったか全く覚えていない。つまりは、私にとってはその程度の本だったということなのだろう。

    以上

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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