- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043726011
感想・レビュー・書評
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角田光代さんのデビュー作と、全く意識せずに読みました。なのに、書かれているテーマや表現、また作品に現れている社会に対する視点・見通しが、一貫していると感じた。ほんとに良い作家さんであると思う。
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角田さんの処女作を収めた作品集。3品とも、かつて私が読んだ角田作品のどれよりも、骨太な文学でした。
人間を見つめ抜いて、そこからかすかな希望を見出す、文学の王道です。
しかし、後の作品に比べて、描写がこなれていないのは事実。
読み手を意識した書き方、すなわち大衆性の獲得が課題。
しかし、しかし。
後に熟れていく=売れていくことは、時代が証明してくれているので、角田さんは今後も楽しみです。 -
表題作他2編を収めた短編集。3作とも人事じゃないくらい寂しい話。特に家族や自分の育った家庭に思うところのある人は、身に摘まされるんじゃないかな。かく言う私がそうなので。
この本を読んでいて思い出した話がある。
人は生まれてから暫くは後ろを向いて歩いてるんだって。それがいつからか前に向き直る。生を始点、死を終点にした時間軸を思い浮かべて貰うと解りやすい。子供の頃見るともなしに見てるのは、生まれてきたこと、自分を育む家族、出生や生きる意味等『生』に纏わること。でもいつしか向き直った先にあるのは『死』。生来の家族じゃなくて自分のこれから築く家庭、家族。どう生きるかを越えてどう死ぬかを見る様になるって。この話聞いた時、前に向き直れない人間は、生き辛さを抱えて行くことになるんだろうなって思ったんだよね。
「幸福の遊戯」に出てくる3人の女性は、前に向き直れなかった人間なんだろうと思う。そして私自身同類なのかもしれない。だから寂しさが他人事じゃなかったんだろうな。
読むのに少し覚悟のいる話かもしれない。 -
モヤモヤとするお話。
でもそのモヤモヤは決して悪いわけじゃなくて
何かに引っ掛かる人の姿を
現実逃避する人の姿をうまく描いていると思う。
思い当たるところもあるから
なんだかモヤモヤするんだろうな…。
でも、角田光代さんの書く文章はやっぱりなんだか好きなんだな。 -
好きだけど印象に残らない
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KindleUnlimitedから。
この本の感想では無いけど読後の所感。
もう何年も好きな作家数名の作品しか読んでなくて、少しは色々読んでみようとKindleUnlimitedに加入したけど、うーん。
うまく言葉にできないけどしっくりくる小説ってあんまり無いのかも。自分の感覚に従って読むものを選んでいたのは間違いじゃないと分かった。
これは!っていう本が新しく見つかるといいけど、どうだろう。
2022-11 -
幸福な遊戯は、角田光代さんのデビュー作だそうですね。
知らずに手に取りました。
その他、無愁天使、銭湯の短編3作品が収録されていました。
いずれも幼少期の家庭環境から理想と現実のギャップに彷徨う女性のお話です。
決して読後感の良いものではありませんが、角田光代さんの普遍的な問いのような原石のようなものを感じるお話でした。 -
短編集だと知らずに読んでしまったので、1話目の余韻が残ったまま2話目に突入。
頭の切り替えがうまくいかずそれ以降集中力できませんでしたが1話目の余韻がとても長く続いてよかった。 -
タイトルから想像する内容よりはかなり暗い話だった。
3編で構成されており、最後の「銭湯」が個人的には読みやすかった。
2つ目の「無愁天子」は重く暗い作品だった。
心の中にある少し暗い気持ちや周りと比べて感じる劣等感などに共感した。
どのお話も少し狂気的であり、非日常感がある。