貸し込み(下) (角川文庫 く 22-7)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043755073
作品紹介・あらすじ
右近の証人出廷によって、銀行の危機管理の拙劣さが明るみに。偽証の横行、印鑑偏重主義など裁判制度の限界も露呈される。そこへ金融被害問題に関心を抱く国会議員が登場し、問題は一気に解決するかに思われたが…。
感想・レビュー・書評
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簡単に言えば、善良な市民を食い物にする悪の組織と化した銀行に対し、金融知識とその組織の内情を知る元行員が正義の味方となり法廷で闘うお話。
三和銀行が痴呆のある方に24億円貸し付けた事件がモデルだって。
まぁ、善良なと言っても実際は全然善良でもない訳で普通なら正義の味方もソッポを向くような輩。この人がもう少し頭が良くて自制が聞けば上下巻ではなく厚めの上巻のみで終わったのでは?
主人公は確かに金融知識があって誠実且つ聡明なキャラなんだけど、実際の世界で将来に備えそこまで証拠を残していたりする人はいないんじゃないかな?少しかっこよく描きすぎたかなって感じ。
で、悪の銀行はって言うと。
私も仕事で多くの銀行とお付き合いがあり、特に個人融資に関連する行員とはたくさんお話します。まぁ一般的な会社に勤めているサラリーマンと変わらない感覚の人が殆どなんですが、たまぁ?にこの小説に出てくる感じの人は出てきます。逆に言えばこの種の人はきっと銀行からしか出ないですね。
素で『銀行を敵にまわすと恐いですよ』と言ってきたりします。
なので、この小説の良いところは銀行の悪い面は正確に描けているってところです。 -
筆者の実体験に基づく、黒木亮作品にしてはかなりドロドロの小説。
銀行を辞めて暫くしてから過去の不正融資についての濡れ衣を着せられた主人公が被害者である原告や弁護士、マスコミ、そして国会議員と協力しながら裁判を戦っていく姿を描く。
ストーリーのエグさには舌を巻いてしまうが、実際に起きたことなのだろう。異様なノルマだけが一人歩きしたときは怖い。どこかに歪がいってしまう。今このようなことが起きていないことを祈る。
一番感心したのは、筆者の記録能力の優れている点である。人間は忘れるという前提で、そしてあらゆる想定をして、記録を徹底的にしている。それによって自分の身を守っている。この姿勢こそが筆者が銀行員として小説家として優れた仕事をし続けている源泉なのだと思う。徹底的な努力が、ランナーの時代からずっと続いている。その結実を、また一つここに見たと思った。 -
100123
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裁判でついに決着。
リアリティはあるが、あまり興味が持てなかった。 -
怖かった?
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後半はスルスルと展開していったが、弁護士による対応などもう少し丁寧に描写していると良かったかな。
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裁判に巻き込まれた主人公。
結局訴訟では敗訴するものの・・・ -
裁判が本格化し、裁判に絡んだエピソードを主軸に進んでいく。
原告の宮入に対して著者の印象が相当悪いのが伝わる。最後は現実の事件とはいろいろずれているのは小説としてまとまりよくするためなんだと思う。 -
実話に近いフィクションとは、、、しかも筆者の。