- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043794010
感想・レビュー・書評
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初読の作家。検索してもほとんど本が見当たらないので、寡作の作家の模様。
海の近くのいなか街で暮らす桐子は、中学の時に母親を乳がんで亡くし、八百屋の父と弟に対して母親代わりで生活する。とはいえ、多感な中学3年から高校2年までであり、友達はどんどん初体験を済ませ、退学処分を受け…。
日記らしく、時にはライトノベルのように、書き文にも自分の感情を隠さず描くタイプの小説である。裕福でない家柄とは別に、家の外ではミッションの女学校に通ったり、亡き母の病室の友であり、高校の同級生でもあった加代子の裕福な生活と、よくある貧乏に対する恨みつらみという部分が中盤以降出てこないので、かなり読みやすい。
女子高生が、友達にムカついたり弟と言い争ったりするだけだが、読みすすめるほどに友情の変化あり、落ち込んだりと、みずみずしい表現が魅力的に感じてくる。勢いに任せて書かれているようで、かなり的確な表現と適切な無駄が非常に心地よい。
難を言えば、もう少し普通の街の普通の職業の家庭のほうが、感情移入がしやすいところがあったと思う。NHKの朝ドラもだが、貧乏であるというだけのことに感情移入できる世代は、そろそろ引退なのである。
2002年ということになっているが携帯電話も出てこず、それよりずっと前に書かれたのか、昔を回顧して書かれたのか定かではないが、ある程度の歳で書かれたのであれば、高校生になりきれているように見え、なかなかすごい作家なのだなあと感じた1冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
十代の世界は狭い。しかし、世界なんてものは、そもそもがある程度は狭い方がいいのかもしれない。狭く深く。そのほうが、惑わされずに疑うことが出来る。「広い世界を知れ」なんて、それがさもいいことのように喧伝されるけれど、その結果、処理しきれなくなって、ぜんぶ世界に丸投げにしてしまう人には、正直なところ、辟易する。抱えきれない荷物に潰されて、さあどうだ、重いんだぞ、と息巻く大人の滑稽さを、「だったらその荷物、降ろしたらどうです?」と言ってしまえる。それが疑問というものだし、案外、核心だったりするのだ。
ポップな文体の青春小説だなあ、と思って読んでいると、いつの間にか、そんなふうなことを考えさせられている。意識が文章の外側に行く、と言うのを基本的には好まない私だが、そこが気にならなかったと言うのが面白い。おかげで、文章量以上に内容があるような気にさせられた。解説に、「トム・ソーヤの冒険」や「ハックルベリー・フィンの冒険」を思い出す、とあった。なるほど。青春小説かくあるべし、という作品である。 -
17歳の少女の一人称で綴られている話。
本当に普通の17歳なのだが、
彼女を取り巻くありふれた日常が瑞々しく描かれている。
学校生活、青果店を営む家族との生活、
友達の自殺、ボーイフレンドとのロストバージン、
それらをサラリと時間の流れに乗せている。
乳癌で母を失い、その母にまつわる話のくだりは、
胸がキュンとなり切なかったけれど、
全体的にユーモアあふれる文章で、
ほのぼのとした気分になれた。 -
あー私もこういう風に感じたことあるなぁ、て思えるところだらけでした。
女子高生の秘密の日記を読ませてもらってる感じ。
他の春侑さんの作品とはちょっと感じ違うけど、これもいいなぁ。 -
県内1のお嬢様学校に通うごくごく普通の一般家庭の桐子サンの日記。家のこと彼氏のこと、妙な日本語を使う学校のシスターのこと、同級生のこと。色々てんこもりでいつの時代も女子高生は忙しいのだ。