- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043835010
感想・レビュー・書評
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バブル期の大阪を舞台に、一人の男性に留まっていられない女性の奔放な生き方を短編小説風に描く。
それぞれのエピソードで、特に人間関係が壊れたりもせずに、ゆるゆると話は進む。というか、特に事件などは怒らない。怒っているとしたら、エピソードの前に起こっている。
作者の詳しいプロフィールを知らないので、私小説なのか完全創作なのか判断つきかねるが、女性目線で性的にも金銭的にも不満の無いという背景こそ違えど、吉行淳之介や坂口安吾のような、斜に構えた厭世的な雰囲気が漂う。
また、始めから終わりまで、主題となっているのがセックス描写であり、最初の2本くらいは若干嫌になっていたのだけど、それなりにオブラートにくるんで、じゃないか、文学的にぼかして書いているので、中盤辺りからは全く気にならなくなる。
それよりも、後半の「先生」の段くらいから、作者の意見や思考を持った主人公になってゆくので、キャラクターの人間臭さが見え隠れして、言葉に重みが出てくるのは面白かった。
ついでに、せっかくバブルの大阪という、それなりに面白そうなテーマを選んだのに、1990年前後のカルチャーやら大阪の風景が全く描写されなかったのは残念でしか無い。
とはいえ、薄い本で主題がセックスで特に事件も起こらないので、もう一度読もうとか、人に薦めたいなというほどでもなく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マゼンタ100…評価はこの作品。つき合っていた男との情事。マゼンタというよりブラックとブルーの中間色みたいな気分になる。
モノグラム…刹那的な付き合いをする女。ここにも将ちゃんが出てくる。
海ほおずき…マサオに嫉妬してしまう。こういう少年時代を過ごしたかった。
ジーニアス…節操のない男女が交わるだけの不毛な関係を超えた次元で結びつく二人。先生の大阪を小馬鹿にしたユーモアは好き。
変わり結び…ジーニアスの主人公が書いた手紙。男は結局いくつになっても子供みたいな部分があるし、そこに母性をくすぐられてしまうこの様な女もいると思う。 -
恋愛体質・愛人体質の女の子の男遍歴を描いた5つの短編。
欲望に忠実などうしようもないビッチに見える一方で、彼女はどこか冷静に男と女の関係や人生を見つめていて、はっとするような述懐がところどころにあった。
この「あたし」は情に厚くて頭の回転の速い女性なんだと思う。
性的な描写には「なんかこってこてだな~」と思わせる部分もあったけど、全部読み終わると、不思議と素朴な風景描写とマッチしてこれもありだなと思える。
各編のタイトルの付け方がとても絶妙だと思う! -
読友の方の推薦本。ただし、「バブル、大阪、倫理的に潔癖すぎない、官能表現OK」の4条件をクリアしないと楽しめないとのこと。①バブル―たしかにバブリーではあるけれど、主人公には全くそうした執着はない。②大阪―これもステレオタイプのそれとは違う。③,④は、いわばセットのようなものだが、たしかにこれは全く受け付けないという人はいそうだ。私は楽々クリア。官能という点では、沼正三もポーリーヌ・レアージュもO.K.だ。シンボルカラーとともに、「あたし」とエンディングは可愛く、せつなく、そしてなんだか哀切な物語だ。
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判る。非常に共感出来る。
そして切ない。 -
セックスするときに相手のことを真実に愛していたらそれが本当の恋人。
自分の快楽しか考えていない人は身体目的の人間です。早く別れましょう。 -
知り合いのお姉さんに借りた。
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これ官能なのかなぁ〜。正直そっち部分よりもメンタル的な部分の方に興味がわいた。どの編も昔の男を引き摺っててその辺りには共感出来ず。多少思い出したり比較はしてもそこまで思い入れないでしょ、過去の男に。
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