クジラの彼 (角川文庫 あ 48-4)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年6月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043898046
作品紹介・あらすじ
『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。
感想・レビュー・書評
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自衛官の恋愛を描いた短編集。
標題作の"クジラの彼"はよかった。
自衛官(潜水艦乗りだけ?)と付き合うと、いつ出航し、いつ帰ってくるかすら教えてもらえない機密事項らしい。何ヵ月も会えなくても、メールすら入らないエリアにいたらメールすら数ヵ月ぶりということもあるらしい。
やきもきはしても他の人に揺らぐことなく、相手を信じて待てる人でなければ、自衛官とは付き合えないんだなと、改めて自衛官やその家族をリスペクトしたくなった。
また、軍用機のトイレはコンパートメントになっていない(カーテンで仕切られているだけ)とか、基地の中でトイレの通路を人が普通の通路として通り抜ける(これは物語のなかだけの設定かも?)とか、自衛隊の独特な世界を知って参考にはなったが、同時に、そういう常識的には受け入れがたいことをおかしいと思わない(慣れにより思わなくなってしまう)感覚が、内部でセクハラ、パワハラを横行させるような自衛隊の体質を生むことに繋がっているのでは、と思わずにはいられない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『〝クジラ〟強調月間始めました!』2
第2回は、有川浩さんの『クジラの彼』です。
2007年の作品で、陸海空自衛官に関わる6つの恋愛短編集です。「制服ラブコメシリーズ」第一弾で、番外編として「自衛隊三部作」の『海の底』から2編、『空の中』から1編入っているとのこと…。
「いやぁ、やっぱり有川さんは昔から有川さんですねぇ(?)」「キュンですぅ。萌えますぅ」「ハイ、妄想いただきましたぁ」と、多くの声が聞こえてきそうです。
潜水艦をクジラと喩えた「クジラの彼」だけでも十分に楽しめましたが、6篇全ての設定が絶妙で、良質な独立した短編です。
文字通り、恋愛の中にコメディー要素があり、胸キュンと愉快さが有川さんらしいのですが、単なる甘ったるいラブコメではなく、自衛官の仕事の厳しさ、そこで働く方々の覚悟・矜持(カッコいいんだなぁ、これが)なども取り込み、物語に深みを与えてくれています。
明日への希望と浪漫を与えてくれる、万人へおすすめできる一冊です。-
こんばんは、おびのりです。
いつも、いいね、ありがとうございます。
私も、最近のクジラブーム気になっていました。先を越された感じです。先日、...こんばんは、おびのりです。
いつも、いいね、ありがとうございます。
私も、最近のクジラブーム気になっていました。先を越された感じです。先日、一頭読みましたし。
いつも、素敵なレビューを書かれていて、本がお好きなんだなと。
また、本棚参考にさせて頂きます。2022/10/27 -
おびのりさん こんばんは!
コメントありがとうございます。
独断のクジラ強化月間も、徹底追究する気はなく、ゆる〜い感じで進めたいと思ってい...おびのりさん こんばんは!
コメントありがとうございます。
独断のクジラ強化月間も、徹底追究する気はなく、ゆる〜い感じで進めたいと思っています。
なにせ、くじらと言っても、学術書や絵本、作家さんのお名前に入っていたりと、キリがない状況になるのが目に見えているので…。
ああ、また別の読みたい本が溜まります。
自分で自分の首を絞めているようですが、自ら楽しんでできたら、と思っています。
今後ともよろしくお願いします。
2022/10/27
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表題作「クジラの彼」を含む全6篇の短篇
私達の知りえない自衛隊の仕事や恋愛の話がわかりやすく描かれている
自衛隊という厳しい職業でありながら女性というギャップ、男勝りな性格だけど恋愛に関しては一途で女性らしい面を持ち合わせていたり
そんな甘い恋愛物語 -
久しぶりの有川浩作品。かなり甘い甘いラブコメ。
でも自衛官が主人公なので抵抗なく読めました。
実写ドラマ化すると誰がいいかなって想像しながら読んでしまいます。なぜなら、かなりイケてる登場人物が多過ぎるから。 -
自衛隊の恋模様を描いた本作。出てくる登場人物がみな強くある中、ホロッと弱さを見せる感じが何とも言えない感情にさせる。女性目線でのラブコメだったが、恋愛要素だけの切り口でなかったからか最後まで楽しく読めた。
本作がスピンオフだったなんて知らず。後出しになるけど、前作も読んで見ようかな。 -
表題にもある潜水艦乗りとの恋愛を描いた「クジラの彼」をはじめとする恋愛短編小説です。
おじさんが読んでもこんな恋愛いいなぁと思う素敵なお話が満載です。オススメ! -
有川浩ならではの自衛隊もののラブコメ短編集。
プロ意識と切ない思いがせめぎ合う展開~甘い満足感にひたれます。
「クジラの彼」
「海の底」の番外編。冬原の彼女の視点で、潜水艦乗りの恋人になるとめったにメールすら来ないという付き合い。
時には辛くなるけど‥?
「ロールアウト」
航空設計士の女性が自衛隊機を見ての困惑と努力。
経費節減のためトイレの場所をどう作るか?そんな悩みから出合うこともあるのです。
「国防レンアイ」
陸上自衛隊の女性隊員はなかなか恋愛に恵まれない。
自衛隊仲間とは転勤で終わり、民間の男性には偏見を持たれ‥
いや身近に良い男がいるんですよ。
「有能な彼女」
「海の底』の番外編。夏木の場合は?
「脱柵エレジー」
自衛隊では隊員が脱走することを脱柵と呼ぶんですね。恋人にせがまれて、自らも経験した人物が、新人を指導する立場に。
「ファイターパイロットの君」
「空の中」の番外編。
パイロットの女性が結婚したが、その生活は‥?
取材を生かして専門的な問題をさまざま取り入れた展開。
男前な彼女達とがっつり組むお似合いの男達。
持って行き方が上手いです☆ -
【注意】この1冊は、自衛隊シリーズ3冊を読んだ後にお読み下さい。
お互い、相手を大事に思うが故に擦れ違い揺れ動く心。
でも、それを有川浩さんの絶妙な描写で、見事にハッピーエンドに導く。そんなラブストーリーが6編。
それにしても、なかなかどぎつい表現が随所にあるよねぇ。
『(自衛隊では)ぶっちゃけ穴さえ開いてりゃ女神である』
とか。でも、話の流れで、極めて自然なんだよね。 -
一回、図書館で借りで読んでみました。
その時は、単行本でしたが…。
そして、表紙がとても綺麗なことが印象的で文庫本を買いました。
クジラの彼も凄く好きですが、ロールアウト!が好きですね。
内容が、トイレについての話だったので初めは驚きましたが読み返すにつれて「なるほど・・・」と考えさせられる点がいくつかありました。
クジラの彼は、≪海の底≫の続きで、有能な彼女も海の底の夏木さんと望ちゃんの後の話です。
そして、ファイターパイロットの君。この為に、買ったようなものです。
親となった、≪空の中≫の高巳さんと光稀のその後ですね。
先に、≪空の中≫ ≪海の底≫を読むことをお勧めします。
単行本と文庫本の表紙が少し違って素敵だなあ・・・、と思いました。