タイニー・タイニー・ハッピー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944545

感想・レビュー・書評

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  • 飛鳥井千紗のタイニー・タイニー・ハッピーを読みました。

    郊外のショッピングモール「タイニー・タイニー・ハッピー」通称タニハピを舞台にした連作短編集でした。
    登場人物たちが順番に語り手になって他の登場人物を描写していくので、この人はこんな事を考えてるんだ、こんな悩みを持ってるんだ、という発見があります。

    タニハピの商品部の北川、その妻で眼鏡屋の店員実咲、実咲の同僚森崎、北川の同期川野、川野の同僚小山さん、実咲の友人で飲食店店員香織、香織の恋人カズ、森崎の恋人笑子、川野の妹智佳、といった登場人物たちが小さな小さな幸せの物語を語っていきます。

    英単語2つ言葉のタイトルが、それぞれの短編にしっくりくるタイトルになっているのも気に入りました。

  • ベッドタウンのショッピングセンター、「タイニータイニーハッピー」を舞台に、いろんな人の色んな「小さな幸せ」のお話。
    どのお話もほっこり温かくて、優しくて、ちょっぴり弱くて切なくて、ほんわかとした気持ちになる作品でした。

    長く一緒にいるからこそすれ違ってしまうふたりや、同じ価値観で歩いていけないふたり。片思いや、遠距離や、別れなど、寂しい気持ちも全部包み込んで、全部「小さな小さな幸せ」になっていく、優しい日常のお話。

    とっても好きなお話でした。

  • どうしてこうなっちゃうのかなあ。みたいな男女間の微妙なズレとか、自分の傷のように痛々しく思えるくらい。よくも悪くも「男女間って、こんなものだよな。」というお互いの妥協と妥協のような関係性が、リアルに描かれている作品だなと。すぐ身の回りにありふれているような、そんな物語に引き込まれます。

  • 初読みの作家さん。
    お仕事小説な面を期待したけれど、あらすじ通り恋愛もの。でも、唯川恵や山本文緒よりも優しくてふわふわした印象。それが良かったのだけれど。
    ジュンジュンがなー、もうちょっと北ちゃんにアタックしてたらおもしろかったのになー。残念。
    2015.10.08

  • どうも三角関係とか浮気問題とかが出てきてしまうのがあれなところだが。
    主人公がコロコロ変わっても登場人物が全てリンクしているのが読んでて楽しいし、読み返したくなる。
    脳内で映像化しやすかった。
    ショッピングセンター好きとしては親近感わくテーマでよかった。

  • どこかでつながっている8人がそれぞれ主人公になった話が繋がってる一冊。それぞれの感じ方、言動、行動があって、尊重したり嫌悪感を抱いたり…。ほのぼのできる話なのに、自分の今までを振り返ってしまうような影響力を持った本でした。特に最後の話ではじーんと心あったまるので、幸せな気持ちになれます!

  • 細かいところまでしっかり書いてあった。やさしい小説で、好印象。厚さがあるのもよい。

  • 大型ショッピングセンター「タイニータイニーハッピー」で働く夫婦、カップル、友達のいろんな姿を描いたストーリー。
    描き方として、ちょっと嫌だなと思ってしまうところもあったけれど、人の心のいろんな面がよく見えた。チョコレート〜に似たところもあったような…今後も注目していきたい作家。

  • 東京郊外の大型ショッピングセンター「タイニー・タイニー・ハッピー」。略して「タニハピ」と呼ばれるこの場所で、恋愛や仕事、人間関係に悩み葛藤する男女の姿を描いた8つの物語。

    この連作で面白いのは、8つの物語の主人公がそれぞれどこかでつながっているところである。例えば“ドッグイヤー”という物語の主人公・北川徹は「タニハピ」を経営する商社の本社から、急遽ヘルプで「タニハピ」へやって来た。徹の妻・実咲は「タニハピ」のメガネ店の店員で、“ワイルドフラワー”の主人公だ。実咲の友人・結城香織は“ガトーショコラ”の主人公で、「タニハピ」内のイタリアンレストランのウェイトレスをしている。服屋の店員の相原は香織と付き合っており、彼が主人公の“プッシーキャット”で二人は同棲を始めている。同じ人物が他の話で何度も登場するため時々混乱することもあったが、「次の話の主人公は誰だろう」とわくわくしながら読み進めることができた。
    またある登場人物が他の人物のことをどう思っているのか、またその逆はどうかといった読み方もできて面白かった。

    この物語が「タニハピ」を舞台にして、8人の主人公たちがどこかで関係を結んでいるように、私たちが暮らす世界は意外に小さい。毎日は大抵家と会社の往復。人間関係も仕事、趣味のつながり、学生時代の友人程度だろう。私たちは小さな世界の中で笑ったり泣いたり怒ったり、毎日をあくせくと生きている。ささやかな日々の中で私たちは喜びを感じ、幸せを見出している。他人から見れば、小さな世界の、小さな幸せ。でも本人にとってはその世界がすべてであり、自分を満たしてくれる大きな幸せなのだ。「タイニー・タイニー・ハッピー」=「小さな小さな幸せ」だけれども、実はたくさんの人々の大きな幸せがたくさん詰まった場所だったのだ。この物語を読んで、日々の小さな幸せは私だけの大きな幸せなのだから、ひとつひとつの幸せを大切にしようと思った。

  • 郊外型大型ショッピング・センター「タイニー・タイニー・ハッピー」通称タニハピに関連のある男女8名が織りなす恋愛連作物語。話の内容が微妙にかぶっていたりして、男女の目線がきれいに描き分けられている。

    タイトルに惹かれて読んだが、この本はお勧めです。
    各話のタイトルのつけ方も絶妙。
    きっとどれかの話は好きになると思います。

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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