感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003678

感想・レビュー・書評

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  • 53冊目(4-13)
    2018年1月発刊
    いわゆる「専門家」ではない著者がこの時点でこういうことがわかっていたのであれば、どのような対策をしていたのだろう?

  • 緊急事態宣言下パンデミックものを、それも小説ではなく環境ジャーナリストのルポで。軍拡競争、赤の女王との追いかけっこ…人類と微生物との戦いの歴史を非常に分かり易く紐解いてくれる一冊。実は自分の人生も常にウイルスや細菌の脅威に晒され続けていたことを再認識しゾッとした。

  • コロナウイルスが猛威を奮う今、まさに読むべき本だと思い、手に取りました。内容は分かりやすく、人類と感染症との戦いはまさに終わりのない戦争だと改めて思い知らされました。是非多くの人に読んでほしい一冊です。

  • コロナがなければ読まなかったであろう本。
    感染症について広く、分かりやすく説明されており、スルスルと読み進められます。
    内容も知らなかったことばかりで、読み物としても面白いです!

  • 感染症と人類史を網羅して学ぶのには最適

  •  これまでに人類が体験した感染症は,どのようにして起きたのか。それぞれの感染症について,大変詳しく説明してくれています。
     いろいろな切り口で紹介しているので,同じ感染症が何度も出てきますが,その編集方法は,しつこいというよりもより分かりやすい文章につながっていると思います。

     本書を読むと,様々な感染症が,人類の歴史の上で,生まれるべくして生まれたのではないかとも思えてきます。人類が文明を発展させればさせるほど,これまで隠れていたウイルスが人類に猛威を振るう。これを自然界からのしっぺ返しと捉えるか,さらなる人類の進歩への一里塚と捉えるのか…難しいことですが,これからも新型のウイルスとの闘いはずっと続くことは確かだろうなと思わされます。

     新型ウイルスを眼の前にして「一喜一憂するな」とは言えませんが,でも,こういうときこそ,基本的な文献を読んで,沈思黙考することも大切だと思いました。

  • エボラ出血熱、デング熱、から、マラリア、ペスト、エイズ、インフルエンザ、そしてピロリ菌など、様々な感染症の感染源を解き明かし感染爆発の経緯を紐解きます。麻疹や風疹そして結核の感染では先進地域で日本が最も多いとは驚き、ワクチンの副作用の問題等もあるようですが、早期対応を望みます。終章の今後、感染症との激戦が予想されている地域としては、上下水道の不備や慢性的な大気汚染で感染の危険が高く13億4000万人を超える人口が経済力の向上にともなって国内外を盛んに動き回るようになった中国を筆頭に挙げています。また、アフリカの開発によって野生動物の生息地が狭められ、新たな宿主を人に求めて寄生場所を変えてくることも危惧すべきとしています。今の日本において個々でできることは、何はともあれ断密と手洗いですね。

  • IH2a

  • 石弘之(1940年~)氏は、朝日新聞編集委員を経て、東京大学教授、駐ザンビア大使等を歴任した、環境ジャーナリスト、環境問題研究者。 『地球環境報告』(Ⅰ、Ⅱ)(岩波新書)などの著書多数。
    本書は、2014年に単行本で出版、2018年に文庫化された。
    本書は、エボラ出血熱、デング熱、ピロリ菌、トキソプラズマ原虫、ヘルペスウイルス、インフルエンザ、エイズ、麻疹、風疹、成人T細胞白血病、結核などの感染症に関する歴史と現状をレポートしたものである。
    そして、冒頭では、「感染症が人類の脅威となってきたのは、農業や牧畜の発明によって定住化し過密な集落が発達し、人同士あるいは人と家畜が密接に暮らすようになってからだ。インフルエンザ、SARS、結核などの流行も、この過密社会を抜きには考えられない。急増する肉食需要に応えるために、鶏や豚や牛などの食肉の大量生産がはじまり、家畜の病気が人間に飛び移るチャンスが格段に増えた。ペットブームで飼い主も動物の病原体にさらされる。農地や居住地の造成のために熱帯林の開発が急ピッチで進み、人と野生動物の境界があいまいになった。このため、本来は人と接触がなかった感染力の強い新興感染症が次々に出現している。大量・高速移動を可能にした交通機関の発達で、病原体は時をおかずに遠距離を運ばれる。世界で年間10億人以上が国外にでかけ、日本にも1,000万人を超える観光客が訪れる。・・・感染症の世界的な流行は、これまで30~40年ぐらいの周期で発生してきた。だが、1968年の「香港かぜ」以来40年以上も大流行は起きていない。・・・「忘れたころにやってくる」のだ。」と述べ、
    終章では、「今後の人類と感染症の戦いを予想するうえで、もっとも激戦が予想されるのがお隣の中国と、人類発祥地で多くの感染症の生まれ故郷でもあるアフリカであろう。いずれも、公衆衛生上の深刻な問題を抱えている。とくに、中国はこれまでも、何度となく世界を巻き込んだパンデミックの震源地になってきた。過去3回発生したペストの世界的流行も、繰り返し世界を巻き込んできた新型のインフルエンザも、近年急速に進歩をとげた遺伝子の分析から中国が起源とみられる。13億4,000万人を超える人口が、経済力の向上にともなって国内外を盛んに動き回るようになってきた。・・・中国国内の防疫体制は遅れている。」と指摘し、
    まさに、(1968年の香港かぜから50年ほど経過した)このタイミングで、中国から全世界に広まった新型コロナウイルスによる感染症を予想しているのだ。
    “人類の歴史は感染症との戦いの歴史である”とは、これまでも広く言われてきていることであり、今後もおそらく、人類が感染症を完全に征服することはないのであろう。とすれば、我々にできることは、過去に学び、そのリスクを出来る限り低減することである。(不幸にも、新型コロナウイルス感染症が拡大しつつある)今こそ、読んでおきたい一冊と思う。
    (2020年3月了)

  • 現在世界中で流行している「新型コロナウイルス」のこともあり、感染症について勉強したく本書を購入。本書は感染症の世界史的な一冊で、新型コロナの少し前に流行したエボラ出血熱とデング熱からはじまり、ピロリ菌、トキソプラズマ原虫、HIV(エイズ)、ハシカ、風疹からインフルエンザ、何千万人も死亡した史上最悪のスペイン風邪まで、ありとあらゆる感染症をその原因とともに詳しく解説する。工業化・動物の乱獲・人口集中・交通機関の発達など感染症爆発の起因は「人間」にあることがあまりにも多い現実に色々と考えさせられた。

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著者プロフィール

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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