思考をあらわす「基礎日本語辞典」 (角川ソフィア文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003722

作品紹介・あらすじ

「しかし」「あるいは」などの接続詞から、「~なら」「~ない」などの助動詞まで、文意に大きな影響を与える言葉を厳選。思考のロジックをあらわす言葉の使い方、使い分けを鮮やかに解説する!
まえがきにかえて/サンキュータツオ

感想・レビュー・書評

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  • 言葉を丁寧に分析する行為はとても尊いし、その成果をこうやって読めて幸せだ。

  • 日本語の学習には最適

  • ・森田良行「思考をあらわす『基礎日本語辞典』」(角川文庫)は 「基礎日本語辞典」から思考に関する言葉を選び出した書である。この辞典を持つてゐるかと思つて捜してみたのだがみつからない。すると持つてゐないらしい。この種の辞書はできるかぎり買ふやうにしてゐるのだが、さすがにこれは買はなかつたらしい。辞書といふよりは読み物といふべき内容に、私もこれはちよつとと考へたのであらうか。さう、この辞典は普通の辞書として使ふにはいささか問題がある。正に、そこまで書かなくても良いものをといふ内容がある。だからこそ、辞書としてよりも読み物として読むべきもの、ただし拾ひ読みが適当かもしれない。そんな書である。本書は最初に「おもう」を置いて、以下、五十音 順に「あるいは」「いずれ」等が来る。全部で47語であらうか。その関連語もついてくるから実際にはこれより少し多い。しかし、たつた47語である。これで「思考をあらわす」日本語が語れるのかと思ふ。たぶん語れるのである。基本的なのはこれくらゐなのである、たぶん。
    ・「おもう」は以下のやうに説明されてゐる。「判断・決心・推量・願望・想像・回想・恋慕などの対象として、人・物・事柄などを取り上げ、それについて心を働かせる。」(14頁)そして文型から二つに分かれる。ごく大雑把に言ふと、「と」で受けるか「を」で受けるかである。その受ける内容が先の「判断……」になる。これで1頁ちよつと、何頁にもわたる語がある中で、これはむしろ短いと言へる。「おもふ」といふ語に難しい点はないのであらう。関連して 「かんがえる」「感ずる」が出てゐる。「『思う』は『考える』と違って、1刹那的判断ないしは、2感性の没入で、それだけに対象把握は単一的であって、物事を分析的に眺めとらえる知的行為ではない。」(15頁)といふ。「彼女のことを思う/考える」の場合、「思う」は「情の働きに過ぎないが」、「考える」 は「彼女についてあれこれと知性をめぐらし頭脳の働きを展開させる行為。」となる。確かにかうなのであらうと「おもう」。確かにさうだ、さうだと私の情が 働いてさう言つたのである。これだけのことを考へようとする場合、例文なしではやつていけない。だから本書に例文は豊富である。どの辞書でも例文はついてゐるが、これほどではないであらう。例文あつての本書である。その例文によつて記述内容を確認するのである。何しろ本書は説明が細かい。「おもう」は単純と言へる。そんな語もあることはあるのだが、さうでない語の方が多さうである。たまたま開いた頁に「~けれど」があつた。逆接の接続助詞と普通は言つてゐ る語である。本書にかかるとかうなる。逆接、対比、並列・累加……とあはせて6つの意味がある。逆接は問題ない。対比の例文は、もしかすると逆接でもいけさうな気がする。単純に考へれば逆接か、しかし対比とも言へる。そんな例文だと思ふ。並列・累加の例文は、確かにさうかもしれないが、それでも一部逆接として通りさうなのがある。5の婉曲はよく使はれる。「中途で言いさして表現を婉曲にする。」(45頁)「けれど」で切つて口を濁すといふ感じであらうか。 「頼まれればいやとは言えませんけれども……」(46頁)これなどは分かり易い例だが、難しくなると例文がなければ分からない。正直なところ、こんなことをするかのといふのがある。こんなふうに分けるのだといふわけである。だからこその基礎日本語かもしれない。言葉に悩んだ時に読むと更に悩みが増えるかもしれないが、普段の暇な時に拾ひ読みして言葉の<感性>を磨くには良い書かもしれない。私も磨かうかと思ふ。

  • 2014年に刊行された二冊に続く、「基礎」「思考」。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。日本語学者。文学博士。早稲田大学名誉教授。在職中は早稲田大学日本語研究教育センター所長などを兼任し、特に、外国人の留学生および日本人学生への日本語の教育・研究・指導に従事。『日本語質問箱』(角川ソフィア文庫)『基礎日本語辞典』(角川学芸出版)『日本語の類義表現辞典』(東京堂出版)ほか著書多数。

「2019年 『日本語をみがく小辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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