稲の日本史 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003920

作品紹介・あらすじ

縄文遺跡から見つかるイネの痕跡は、現代の水稲とは異なる稲作が、営まれていたことを物語る。弥生時代に水稲が渡来した後も一気に普及したわけではない。縄文稲作の多様性を、今日的な視点でとらえなおす。

感想・レビュー・書評

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  • 水路跡など栽培の痕跡が発見できない=稲の栽培していなかったではない、という考え方は目から鱗でした。
    移植栽培ではなく、乾田直播などは現在の稲作で見られますが、陸稲……しかも焼き畑で、ということは考えたこともありませんでした。
    確かに、現代のように重機どころか、鉄の鍬すらない時代に稲作を行う場合、そのような方法で稲をつくった可能性がありますよね。
    そうすると、稲作の跡は発見されない。
    弥生時代になって一気に水稲が普及したイメージがありましたが、縄文時代から焼き畑の陸稲稲作があり、そして弥生時代も水稲が広まったわけではなく、縄文時代の延長の時代が長かった。
    と、骨の炭素分析等からの解説はたいへん興味深かった。
    また、弥生のような昔から明治時代まで単収がほとんど変わらなかったという予測も驚きました。
    そんな昔から反110kg~260kgも収量があったことも、明治までその程度しかなかったことも意外でした。
    外国の焼き畑の陸稲栽培や、鉄器がない時代の木製鍬で耕すとどうなるか、など、実体験レポートは大変面白い。
    最後の現代の『綺麗な』水田は考え直してもよいのでは?という意見には同意見です。
    色彩選別機の性能も良いし、雑草が多いからといって品質はそこまで下がらないと思う。下がるのは収量でしょう。
    そして農薬を使わない、労力も使わない、ならば経費が下がるから、単収が下がっても収益はトントンになるのでは。
    米の消費が減り、これからも増える見込みがない。特に今年2021年産の米はかなり米余りで値崩れするのでは?と心配されている。
    『綺麗な』水田管理をせず、経費も収量も減らす稲作がこれからの日本に合っている気がする。

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著者プロフィール

1952年生まれ
京都大学大学院農学研究科修士課程修了
総合地球環境学研究所副所長・教授 農学博士
序章執筆
主 著 塩の文明誌(共著,NHKブックス,2009),イネの歴史(学術選書,2008),よみがえる緑のシルクロード(岩波ジュニア新書,2006),稲の日本史(角川選書,2002)など


「2010年 『麦の自然史 人と自然が育んだムギ農耕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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