- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044054014
作品紹介・あらすじ
有名無名年齢性別既婚未婚等一切不問の短歌の会「猫又」。主宰・沢田の元に集まった、主婦、女優、プロレスラーたちの自由奔放な短歌に、気鋭の歌人・穂村と東が愛ある「評」で応える! 初心者必読の入門書。
感想・レビュー・書評
-
穂村弘、東直子の両歌人が、素人歌人の短歌を真剣に批評する本書。
短歌同人・猫又の多種多様なバックグラウンドを持つみなさんの歌の面白さよ。
みなさんの伸びやかな感性に触れて、短歌作りたい欲がむくむくと出てきてしまう。
歌人のおふたりが素人にも容赦なく辛い評をつける点も良し。
勉強になります。
読み進めていくうちに、気に入った歌詠み人が出てきて、その方のお名前が出るたび、プチファン化して興奮したり。
歌って個性がめちゃめちゃ出るんですね。
穂村さん、東さん、猫又主宰の沢田さんのお三人の和気あいあいとした雰囲気も楽しい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
同人のノリに始めはついていけないような冷ややかな空気があるのだが、だんだんに同人たちが短歌を本質的に求めるようになり、読み手は同人たちを知っていく。どちらも歩み寄りつつ同じ方向を向いて終わる感じが良い。
穂村弘と東直子の感覚の違いなども見ていて面白い。
穂村弘が理詰めで表現を探していることがわかる。
日常の記憶を留めるために変更させたくない部分を残しつつどのように短歌に昇華させうるか。言葉として感動を閉じ込めなくば、その記憶さえ残らないのではという切実さが新鮮だった。 -
一般公募した短歌を、3人の歌人がテーマ別に批評していく一冊。対談形式で書かれているから読みやすい。詩や短歌の面白さがわからなかったが、多少なりとも触れてみることで、制限があることではじめて得られる視点があると気づけた。
<第二の教訓は、限定や限界の必要ということです。いいえ、別に難しい話ではありません。相撲の技術は、狭い土俵というものが あるから生まれたのだということです。もし直径100mというような土俵であったら、相撲は、到底、あの美しい緊張の瞬間を生み出すことは出来ないでしょう。大自然を写すためにキャンパスを無限に大きくして行ったら、迫力のある絵を描けるでしょうか。そう考えると、何を書いてもよい、どんな言葉を使っても構わないという言論の完全な自由というのは、実は、少し始末の悪いものなのです。>
<なにも、戦争中の厳格な言論統制のほうがよいなどと言っているのではありません。しかし、どこかに土俵のようなもの、額縁のようなものがあった方が、本当に重要な事柄が鮮明に浮かび上がり、文章に緊張が生まれるのだと思います。今日では、面倒な話ですが、そういう限定や額縁を自分で作り出して、これを自分に課するよりほかはないでしょう。>
『私の文章作法』(潮新書75 潮出版社)清水 幾太郎著 第六章より引用 -
短歌の持つ面白さ、奥深さ、シンプルだけど、やっぱり難しい。そんなことを感じた。だけど、評価はどうであれ、短歌を通していろいろな人の日常に思いを馳せれるのは素敵だな~。これだから、短歌は、という気持ち。
ひらがなと漢字のバランスの話。ひらがなはゆっくり読めるとか。
共感と驚異、歌にくびれを作って寸胴にならないようにっていうのは、難しいけど、意識していきたい。
東直子さんの
>あなたの言葉を、あなたの好きな人に出会わせてあげて下さい。そして、あなたの中に眠っている言葉に、あなた自身も、出会って下さい
という言葉が素敵で、そして、励まされた。 -
すっと自分に入ってくる歌、自分にあう歌を読むと気持ちがいい。短歌をはじめてみたくなるのが半分、自分には詩情が欠けてるなあと落ちこむのが半分。
-
おもしろいけど…『短歌という爆弾 今すぐ歌人になりたいあなたのために』で十分かな。
-
FAX短歌会「猫又」に投稿された作品をもとに、短歌のつくり方を論じた入門書。「動詞は三つまで」「ルビは使うな」「さえ、すら、もはダメ」など参考になった。最後に、短歌には「驚異」が必要だということを肝に銘じよう。
-
みんなうまい。31文字で物語が立ち上がっていく。なかでも少し怖い短歌が好き。
-
まず、『猫又』のはじまりに、面白さを感じました。
いわゆる「短歌が好きな人の短歌」ではなく、
素人の「こんなのもありなのだ!」という短歌の中にも面白味がある、
それを評することが、こんなにも面白いのだ!
という感覚を味わうことができました。
もちろん、具体的な短歌のテクニックも、学べます。
短歌をそれほど好きでない人でも、言葉に関心がある方なら、楽しめるのではないでしょうか。 -
有名無名を問わず短歌が好きな人々で結成された短歌結社『猫又』
猫又で生まれた歌を、穂村弘、東直子という気鋭の歌人が愛情豊かに感想を述べていきます。
作法としては当然こうすべき、という指摘はありますが、
感情に対して寧ろこうあるべき、という押しつけがないので、色んな解釈を楽しむことができ、理解しやすいです。
ああ、歌人ってこういう風に歌を理解していくのね、という天才の頭のなかを覗き込む感じ。
なんでも最初は理屈ではなく楽しめる。
だんだん自分で枷を作って苦しくなるものですが、ここで短歌を歌っている人たちは、その最初の気持ちのまま突き進んでいるようで楽しい。
(実際には生みの苦労にのたうちまわっているとは思いますが;)