紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫 A 3-1 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)
- 角川学芸出版 (2009年4月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044072049
感想・レビュー・書評
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内気で人付き合いが苦手だけど、プライドは高い。そんなリアルな紫式部の姿や、爺バカ丸出しな道長の姿が見てとれて、大変面白い一冊。
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平安時代の宮廷生活を活写する回想録。華麗な生活に溶け込めない紫式部の心境描写や、同僚女房やライバル清少納言への冷静な評価などから、当時の後宮が手に取るように読みとれる。道長一門の栄華と彰子のありさまが讃仰の念をもって描かれ、後宮改良策など、作者が明確に意見を述べる部分もある。話し言葉のような流麗な現代語訳、幅広い話題の寸評やコラムによる『源氏物語』成立の背景を知るためにも最適の入門書。
卒論の参考にさっと。
けっこうおもしろい。紫式部も人間だね。 -
978-4-04-407204-9 260p 2009・4・25 初版
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紫式部の宮廷生活での日記。登場人物の周囲の物事とか上手く解説されていて読んでいて楽しい。紫式部の人物像や成長、宮廷の雰囲気を感じ取れました。
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女房の普段の生活、中宮彰子、道長、同僚の悪口・・・色んな話が盛りだくさんで、おもしろかったです。
また、話の間に挟まれる解説も、女房事情や、平安の生活など詳しく書かれていて、とてもよかったです。 -
(2011.02.18読了)(2010.11.17購入)
2008年が「源氏物語」が書かれてから千年目にあたるということで、ブームに乗って「源氏物語」関連本をいくつか読みました。
紫式部の著書としては、『源氏物語』と「紫式部日記」と「紫式部集」があるということです。「紫式部日記」もいつかは読んでみたいと思っていたので、手ごろな本が見つかったところで読んでしまうことにしました。
内容は、他の著作物に紹介されていたものが多いので、新鮮味に欠ける面もありますが、生身の紫式部を知るうえでは、貴重な本だと思います。
「日記」となっていますが、われわれがイメージする日記とは違うようです。山本淳子さんは、「回想録」と呼んでいます。1008年7月ごろの記述からはじまっています。
本の構成は、原文を小さく区切って、現代語訳、原文、解説、という形で、繰り返されます。現代語訳を読んで原文を見るのですが、原文の言葉は、今使われている言葉と同じようなものでも、意味合いがずいぶん違うことがわかるので、とても原文だけでは、意味を読みとれないことがわかります。さらに解説で、書いてあることの意味合いを詳しく教えてくれるので、宮廷及び、藤原道長のことがよくわかります。
ところどころに(中略)とありますので、原文のすべてが収められているわけではないことがわかります。「ビギナーズ・クラシックス」シリーズですので、やむを得ないでしょう。
●「紫式部日記」(3頁)
素顔の紫式部が綴った宮仕え回想録です。内容の中心は、主人彰子の初めての出産、そして男子誕生という晴れの出来事。紫式部は得意の観察眼を働かせて、人々を生き生きと描き出します。そこに見えてくるのは、娘のお産に政治家としての栄達をかけた藤原道長の張り切りよう、繊細な性格の持ち主で、重圧にじっと耐えながらもやがて凛とした女性として開花して行く彰子の姿、それを見守りながら、自分も女房として成長してゆく紫式部自身の姿。いつしか彼女は「女房はどうあるべきか」と熱く語り出します。
●藤原良房(57頁)
良房は、866年、「摂政」に任命され、幼い天皇に代わって死ぬまで国政を執り続けた。
ここに、天皇家に生まれた人間でなくても、摂政となれば天皇の代理として天皇と同じ権力を握ることができるようになった。
これ以後、貴族たちはこぞって、摂政を目指すようになった。
その方法として、自分の娘を天皇に入内させ、皇子を産ませ、その皇子を即位させ、その摂政になろうとしたのです。
●ゲームの賞品は「紙」(62頁)
公卿がたは座を立って渡り廊下の上に移られる。道長様を筆頭に双六をなさるのだ。賞品は紙。(当時の紙の貴重さを知らせてくれます)
●孫のおしっこに濡れるのはうれしい(71頁)
「ああ、この親王様のおしっこに濡れるとは、嬉しいことよの。この濡れた着物をあぶる、これこそ念願かなった心地じゃ」
●清少納言(193頁)
清少納言と紫式部とは直接面識があったかどうかはわかりません。紫式部が彰子に勤め出したのは、定子が亡くなり清少納言が宮中を去ってから5,6年後のことだからです。
☆関連図書(既読)
「藤原道長」北山茂夫著、岩波新書、1970.09.21
「紫式部」山本藤枝著、火の鳥伝記文庫、1987.03.21
「小説紫式部 香子の恋」三枝和子著、福武文庫、1994.12.05
「紫式部の娘 賢子」田中阿里子著、徳間文庫、1992.05.15
(2011年2月21日・記) -
ある日道長が、女郎花(おみなえし)の枝をとり、さあ一首どうだ、と迫ります。朝顔だった紫式部は恥ずかしがり、さっと奥の硯へと逃げこみます。そしてすらすらすら。。
女郎花さかりし色を見るからに露の分きける身こそ知らるれ
露の分きける、がポイントです。女郎花はこんなに美しいのに、私は露のめぐみをうけられず、美しくありません…と詠んでいます。謙虚さをあらわしているというよりも、このときの紫式部の自信のなさの反映でしょう。道長の返歌はなかなかです。
白露は分きても置かじ女郎花心からにや色の染むらむ
白露にわけへだてなどあるものか。女郎花は美しくあろうとして美しいのだ。心がけこそが大切なのではないか、と紫式部を励ましています。積極的な歌です。前向きな人生を歩みたい人への、エールだとうけとめてもよいでしょう。
ナビゲーターである淳子は、あたたかい筆致で読者を誘います。紫式部への愛情をたっぷりと注ぎながら、日記をたくみに解きほぐしていきます。ところどころ、変なカタカナが顔をだしますが、まあいいとしましょう。 -
平安時代の女流作家の作品がどうしてここまで有名で残っているのだろうか。