愚者のエンドロール (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271022

感想・レビュー・書評

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  • いつもは汗水一つかかないような涼しげな印象のホータローくん。今回は女帝、入須先輩にいつの間にか手駒にされ先輩の掌で踊らされてしまったような感じです。ホータローくんにとっては苦い経験だったでしょうが、彼が自分というものを知っていくために、これからもっと心散り散りになるくらいどんどん足掻いて欲しい・・・なんてことを、実は思ったりしているのです 笑。(ごめんなさい)
    そんな彼を意のままに操った入須先輩も、ホータローくんのお姉さんには、本当のところは・・・って思いを見透かされていました。更に、えるちゃんの目の付けどころは、ホータローくんが考えもしなかった、実はそこが重要!ってところだったし。なかなか手強い女子軍団です。今回の謎は、古典部のチームプレイで解決!という感じではなかったかなと思いました。一人一人の謎への思いを胸に留めてホータローくんが立ち上がったって感じ?かな。

  • 古典部シリーズ、第2弾。
    この作品自体、「人の死なないミステリ」ですよね。

    文化祭に出展する予定の、2年生の作品の試写会に招待される、古典部の面々。
    それは、脚本担当の事情で未完成だった。
    在るべき結末を予測して欲しい、と『女帝』に頼まれる奉太郎。

    前作の『氷菓』事件を解決したことで、奉太郎の推理能力が周囲に「評価」されつつあった。
    彼も、それを認めるにやぶさかではな…くなってきたのかな?

    「アバンタイトル」と「エンドロール」も含め、とんだ入子細工なつくり。
    女に御されるホータロー、お疲れ様です。

    しかし、なんというか、ここにも姉の影が?
    …私の思いすごしでしょうか?
    『氷菓』のような悲惨なお話ではないところが、安心して青春を楽しめました。

  • 「古典部」シリーズ第2弾。

    前巻の事件で、奉太郎が「氷菓」にまつわる謎を解き明かしたという噂を知った2年F組の入巣冬実(いりす・ふゆみ)が、古典部に依頼を持ち込んできます。それは、神山高校の文化祭で彼女のクラスが発表することになる映画の試写会に足を運んでほしいというものでした。

    その映画は密室殺人を扱ったものでした。しかし、脚本を担当していた女子生徒が倒れてしまったため、途中までしか撮影されていませんでした。そこで、その続きを奉太郎たちに推理してほしいというのが、冬実の依頼だったのです。奉太郎は、冬実の期待を十分に満足させるような推理を展開し、映画は見事な結末を得ることになります。

    しかし、そんな奉太郎の推理に、古典部のほかのメンバーたちは疑義を差し挟みます。ここに至ってようやく奉太郎も、彼に推理を依頼した冬実の真の狙いに気づくことになります。

    ミステリ史的な背景を踏まえた結末が、ライトノベルらしい軽妙な薀蓄にくるまれており、きれいなストーリーになっています。

  • 古典部シリーズ第二弾

  • カンヤ祭に向けた準備に盛り上がる学校の雰囲気が感じられました。
    そして、やはり奉太郎は謎に巻き込まれるのですね(笑)
    今回は本人が自分の資質について考えてみるあたりが少し新鮮でした。でも結局、あまりいい気持ちで落ち着くものではありませんでしたが・・・。
    奉太郎にはいろいろ成長の一件だったような気がします。

    そして、えるちゃん!まさかウイスキーボンボンで二日酔いとは・・・びっくりでした^^

  • 「氷菓」より続けて。文化祭の前夜祭的位置付けの物語になっていると思います(実際は夏休み中のお話ですが)。今回は、とある事情から未完成になってしまった、文化祭出展の自主制作映画の結末探し。ミステリとしては面白かったと思います。自分も奉太郎と同じ予想だったのでなおさらでした(推理はしてない、只の勘で・笑)。
    「結末探し」ということで、結末が決まれば勿論映画は「完成」するわけですが、その「完成」がどの程度の事を指すのかが重要でした。「オチがつけばいい」のか「作品の出来として完成度が高い」ならよいのか、それとも「作り上げた実感があればいい」のか。「完成」というのは人それぞれ。読み間違えれば自分も他人も欺く事になる、というお話です。
    今回は奉太郎が「彼なりの完成」を求めた上での敗北のように見えましたが、入須もまた「彼女なりの完成」で敗北を見ています。また奉太郎にとっては「自己の完成」の意味合いも含んでいたりして、「完成」を夢見るのは十代の通過儀礼のようなもので(笑)仕方ないことなのかもしれませんが、そんな彼らの「不完全さ」が読んでいて愛しくなったりしました。

  • from天才 続編

    ホータローに新たな感情芽生える?
    物語の中盤は一緒に推理を楽しめ、
    後半は、女帝の無表情さに憧れて・・・

    続編が楽しみです!

  • 『氷菓』に続き"古典部シリーズ"の2作目。
    途中で終わったミステリー映画の結末を推測するおはなし。
    ページ数も少ないので、とっても読みやすいと思います。
    続きが気になって、どんどんページをめくってしまうね。
    次も楽しみ。

  • 著者のデビュー作でもある前作が、正直、文章にはそこそこ不満を持ちつつ、それを差し置いて空気感やキャラクターを気に入ったので続編である本作を読んでみましたが、本作の言葉、文章はしっくりと入ってきました。

    この、言葉のテンポが合う感覚はなんだろう。単にこの作品が「読みやすい」ってだけの理由では恐らく無くて、感覚的に、文章のリズムがワシの読書ベースと結構しっかりはまった作品でした。

    そして、ミステリーとしてのこの角度からの切り口は、ワシが余り知らない故かもしれませんが面白い。「古典部シリーズ」が人の死なないミステリーなのは周知ですが、こういう劇中劇の扱い方もあるんだなぁ、と感心します。先輩ミステリー作家へのオマージュ的な小ネタも嫌いじゃ無い(綾辻行人氏へのそれとか)。

    ただ……と、逆接で言うことでも無いかもしれませんが、本作はより青春小説になってます。どちらかと言えば、青春小説の要素にミステリー的なものを織り交ぜたかのような、主題は高校生たちの成長物語なのかな、と感じます。無論、悪いことでは無いですが。

    ミステリー側のカタルシスはまぁなんとなく推理っぽいものは出来たのですが、青春小説側のそれは(残りのページ量から何か来るだろうとは思ってましたが)ちょっと面白みがありました。そここそ本作が青春小説たる部分ですが、さておき、この「トリックを用いないカタルシス」の作り方は仕掛けてみたいものです。(広義では叙述トリックかもしれませんが)

    と、全体的に不満の無い作品でしたが、とはいえ内容的にすごい感銘も受けなかったので、ワシのレビューで相対化すると★3ちょいくらい、そこに言葉のテンポが合ったので(極めて感覚的ですが)★4つ、といったところでしょうか。

  • ずっと放置していたのがやっと読み終わった。

    相変わらずテンポがよく読みやすい。
    人が死なない学園系ミステリーでミステリーらしい話をするというおもしろさ。

    毒入りチョコレート事件をモチーフにしているらしい。どこかで聞いた名前だと思ったら多分桜庭さんが好きな本だった気がする。
    ホームズもそうだがあとで読みたいと思った。
    海外ミステリーはほとんど手を出していないので。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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