シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫 220-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 776
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044748043

作品紹介・あらすじ

えん罪により逮捕された少年ムオルは、人里離れた共同霊園に送られ墓穴を掘る毎日を送っていた。そんなある夜、自らを墓守りと名乗る少女メリアと出逢う。彼女に惹かれていくムオル。だが謎の子供カラスから、ムオルが掘っている墓穴は、人類の天敵・死なずの怪物"ザ・ダーク"を埋葬するものだと聞かされる!混乱するムオルは、さらにダークに殺されるメリアを目撃してしまい-!?第14回スニーカー大賞大賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 物語はライトノベルというには少々固い文体で綴られる。だが、それは作品を通して感じられる暗い雰囲気に合っている。
    舞台は墓地であり、基本的な登場人物はごくわずかである。
    昼と夜の場面に分けられており、昼はカラスと名乗る少年と、夜は墓守りである少女メリアとの交流が描かれる。主人公は卑屈ないわゆる典型的なラノベ的少年ではなく、冤罪に反発し、労働を強いられる環境から脱出しようとする、外に向かう自我を持つ積極的な少年である。
    作中には、囚人をオリッド、歩兵をモグラとルビ振りをする等の設定が見受けられ、舞台は動かないものの、取り巻く世界観を窺い知る用語には事欠かない。主人公が元々は従軍していたことから、文明的には近代に類似していると推察できる。
    ザ・ダークという謎の怪物の正体については言及が少ないものの、それがかえってリアリティを出している。個人的にはダークの存在と文明の発達度合いを絡めた話が興味深かった。マルサスの人口論的な観点を作中に持ち出すのは従来のファンタジーには見られないであろう。
    くどくど解説を入れるというのは非常に興醒めであるのでこのあたりにしておく。
    まとめ的に言うとこの作品は、真の意味で“シュガー”ダークである。

    決して内に籠もらない主人公ムオルの気構えは賞賛に値する。と同時に、従来のラノベ的主人公(平凡を自ら口にするような)に見事に打ち勝ったことはラノベの転換期の兆しではないか。

    さて、最後に伏線の張り方が素晴らしいということを述べておく。最終的に収束していき、少女メリアの苦悩を解放する展開は、唸らずにはいられなかった。
    これから読む方は、最初のページにあるカラーの折り込み絵を見ないで読み始めて欲しい。
    そして、最後まで読んだ後に見ていただきたい。
    感動が深まることに違いない。
    俺が言うのもおこがましいが、本作は大賞足り得る作品だった。

  • <Sugar Dark>
      
    デザイン/中デザイン事務所

  • 冤罪により逮捕されたムオルは、共同墓地に送られ墓穴を掘る労働を課せられる。そこで出会った墓守と名乗る少女メリア。ムオルは脱走のためメリアに近付こうとする。

    極限状態に於けるボーイミーツガール。物語冒頭から重苦しい空気に満たされ、謎に満たされています。
    ムオルは自分が掘る墓穴が人類の天敵である死なずの怪物「ザ・ダーク」を葬るものであることを知り、メリアがザ・ダークを葬るのに我が身を犠牲にしていることを知る。
    はじめは脱走のためだった。しかしメリアに課せられた過酷な運命を知った時、ムオルはメリアのために行動する。

    主人公であるムオルの視点で語られる物語は、ムオルの心情を丁寧に描き、その変化を自然なものとします。いや変化というよりもはじめから芽生えていた思いに気付く過程かもしれません。
    舞台設定は特異なものです。怪物の設定にはやや無理があるようにも感じます。しかしその設定を巧く利用しながら、少年と少女の物語に昇華されているのです。
    この世界だからこそ成し得たふたりの関係。そこに感情の山場を持ってきた上でのラストシーンの素晴らしさ。堪能しました。

  • 少年向けライトノベルファンタジーとして小さいながら適度にまとまった一作
    『サクラダリセット』ほど作者に個性感じないが
    『戦う司書』の1巻よりは読みやすい
    今後に期待
    しかし表紙の「ガー」の位置が面白いな

  • ライトノベル

  • ハルヒ以来のスニーカー大賞、文章はうまいが内容があんまり突き抜けてない、面白いとは言いがたい

  • 冤罪により逮捕された主人公の連れ行かれた先は
    薄暗い共同墓地。

    墓地という場所のため、出てくる人物は
    主人公と、そこにいた老人と、何故かいる少女
    それに怪しげな少年。
    逃げられないように、と教育された犬がいますが
    どうやってここまで教育したのか。
    そちらの方が気になります。

    逃げようと考える主人公と、何もしらない少女。
    ただの気味が悪い老人かと思いきや…という
    なかなか悪知恵が働いています。

    薄暗い場所で、土を掘り、暗がりにて語る。
    静かに、というより、静かな淡々とした話。
    そのせいか、最後の光がまぶしかったです。

    しかし冤罪…。
    犯人、誰だったのでしょう?

  • ダークな雰囲気がとても好みでした。幸せは人それぞれなんだよな。丁寧にキャラクターの思考を積み重ねているので、最後の結末にもキャラクターが抵抗をさほど感じないという事を、読んでいて納得できた。
    今後があったらきっともっと色々と苦悶するのだろうし、カラスについてもいいキャラクターなので、続きがあるともっと深く楽しめるなあと思いました。

  • 読了

  • 独特のふいんきがあって面白かった。

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