新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046014702

感想・レビュー・書評

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  • ◼︎学んだ大切こと
    ★今すぐ活かせそうなこと

    ・思考の罠
    1.競争思考の罠  
      現在の市場環境の中での競合との差別化や、成功事
      業の優位性を守ることに腐心するあまり、新しい市
      場や需要を創造する視点を生み出しにくい。
    2.短期思考の罠  
      ロードマップに沿って考える癖がついているため、
      そこから外れた異質かつ不確実な知識・情報を排除
      し、短期的に都合のよい情報ばかりを集めてしまい
      がち。
    3.技術思考の罠
      技術進化や技術的な実現可能性という観点が強く、
      生活者のライフスタイルの中で製品がどう利用され
      るのかを具体的にイメージすることが苦手。
    4.内製思考の罠  
      内製思考が強いがゆえに外部の異質なアイデアをど
      う活用すればよいか分からず、結局は社内による既
      視感のあるアイデアばかりが残り、変化を生み出し
      にくい。
    5.顧客思考の罠  
      既存の顧客の意見を重視するあまり、新しい市場や
      需要を創造する視点を生み出しにくい。



    ・未来洞察の基本的かつもっとも重要なアウトプットは、「機会領域」の発見

    ◯未来洞察        不確実性/インパクトを重視
     未来イシュー設定
     スキャニング
     強制発想(未来洞察マトリクス)
    ◯機会領域特定・評価
     未来シナリオ等の策定        ⇅
     不確実性・インパクト評価
     顧客価値・企業価値評価
    ◯未来デザイン
     事業コンセプト構築
     顧客価値デザイン
     事業価値デザイン   戦略適合性/実現可能性を重視

    起こるか起こらないか分からない未来に対しては、待ちの姿勢よりも、「そのような未来を実現するために、自社はどうするか」といった向き合い方が重要

    その未来が社会や生活者にとって、また自社にとって価値のあるものであれば、誰かが未来を実現してくれるのを待つのではなく、未来を実現するために自社は何ができるか、を考えることも意味がある。「未来を待つのではなく、未来を創りだす」ことが重要。

    潜在的な問題を直感的に把握して解決・設計する

    説明責任を意識するあまり、未来洞察の初期プロセスにおいても戦略適合性や実現可能性を重視してしまい、不確実性やインパクトをなおざりにしては新たな機会領域は見出せません。

    3─5年先の短期の未来については、情報の範囲は自ずと限定されます。これは、業界の外側からの影響が強く出るには期間が短すぎるからです。また、いずれの情報もおおむね予測可能なものが多いでしょう。結果として、未来を考える際のインプット情報は、限定された範囲の予測可能な情報として特定されます。


    不確実な未来を捉える
     ・「変化の兆し」になるようなニュースを見逃していた(そもそも情報をキャッチできない)
     ・固定観念が邪魔をし、「変化の兆し」を軽視していた(情報を適切に評価できない)

    起こるかどうかは分からないが、もしも起こったらインパクトが大きい。  そういう社会変化に対して、「 what if(もしそうなったらどうなるか)」というオープンなスタンスで向き合うことが重要です。具体的には、自身の視点を 10─15年後、つまり、社会変化が起こった後の未来においた上で、「それはなぜ起こったのか、それは自社の事業や業界にどのような影響を与えたのか」という思考実験を行う。
    ・未来に対する認知バイアスを壊す。

    全員賛成のアイデアは疑う」という欧米企業の特質を表しているようにも受け取れます。一方、日本では企業のみならずさまざまな意思決定の場面で「(事前の根回しをした上での)全員賛成を美徳とする」風土が感じられることが少なくありませんが、このことが「起こるかどうか分からない非連続な変化」から目を背けやすくしているのかもしれませ


    ★未来洞察の基本フレーム
    FACT:事実 既知の事実
     ・自社動向
     ・業界/技術動向
     ・人口動態
    FAITH:仮説 知らないことを知っている領域
     ・関連分野の動向
     ・潜在的な社会ニーズ
     ・潜在的な生活者ニーズ
    FEAR:外部性/不確実性 知らないことすら知らない
              気づいていない領域
     ・異分野での技術・ビジネス動向
     ・海外でのライフスタイル変化
     ・マイナーな社会動向、価値観変化
    ➡️インサイドアウト発想⇔アウトサイドイン発想⬅️
    既存の視野からの仮説     想定外の社会変化仮説
    (未来イシュー)     
    左脳的/論理的        右脳的/直観的
    PEST分析やSWOT分析    スキャニング手法で洞察
    ヒストリー分析などから把握
    ①インサイドアウト発想(演繹推論)
     事実や仮説から「未来イシュー」を特定
     延長線上の未来を描く
     不確実性が低い情報を取り扱うとき
    ②アウトサイドイン発想(帰納推論)
     スキャニングにより「想定外社会変化仮説」を設定
     想定外の未来を描く
     不確実性が高い情報を扱うとき
    ③強制発想(アブダクション「仮説推論))
     ①と②を掛け合わせ新たな機会領域/未来シナリオを
      描き出す(未来洞察マトリクス)
     不確実性を考慮した未来の機会を強制的に見出す
    ④機会領域/未来シナリオを評価し、戦略示唆を得る
     (顧客視点、事業視点など)
     未来の機会を評価する


    ◼︎未来を考える当事者の置かれた環境やインプットされている情報は、よほど意識しないと偏ってしまい、固定観念や認知バイアスの温床になるという

    ★未来洞察
    ・未来を複数はっしてから今を見る
    ・アウトサイドイン発想
    ・不確定要素に着目する
    ・定性データからのシナリオを重視
    ・論理+直感型アプローチ
    ・解は複数
    ・洞察の過程での気づきが重要
    →不確実性の高い21世紀に適したスタイル

    未来予測


     未来予測にかかわる代表的なアプローチは、
     フォーキャスト(予測) ~バックキャスト(洞察)、 
     デシジョンメイキング ~オプションメイキング
     という 2軸で整理することができます。  
     デシジョンメイキングは、経営・事業の選択肢のうち
     どれを選択するかという意思決定であり、マネジメン
     トツールとしての未来予測(洞察)の効用を指す
     オプションメイキングとは、いま想定している選択肢
     に不満や不安がある場合に用いる

    未来洞察の目的と機会領域の表現形態
    1.シナリオ
    2.ロードマップ
    3.アイデアスケッチ

    ★アウトサイドイン発想
    ・自社の業界とは異なる業界の専門誌に目を通してみる
    ・分析的思考や論理性よりも直感を重視する。

    ◼︎アブダクション(強制発想)
    アイデアを強制的に発想するコツ
    ①それぞれの想定外社会変化仮説の世界観を共有する   
     ワークショップで強制発想を行う場合、スキャニング
     から導き出した想定外社会変化仮説の世界観をメンバ
     ー全員でブレのないように共有しておくことが重要
     ・どんな人がその変化の影響を受けるのか  
     ・その変化を最初に受け入れるのは誰か  
     ・その変化を牽引する業界や企業は何か
     →怠ると、アイデアが拡散しすぎて収束できず、個人
      の思いつきレベルのアイデアにとどまってしまう

    ②個人のブレーンストーミングとグループディスカッションでアイデアを重ねる  
     強制発想をするとき、いきなりグループディスカッシ
     ョンするよりも、まずは個人でブレーンストーミング
     を行うほうがよい。
     →未来イシューと想定外社会変化仮説の解釈について
      の議論を延々と進めてしまう
     また、アイデアはすぐに湧いてくるものではないの
     で、個人で集中して深く考える時間があったほうがう
     まくいく場合が多い。

    ③未来イシューと想定外社会変化仮説の掛け合わせを意識して記録する  
     ワークショップでは、ポストイットにアイデアを記入
     していく
     個々のアイデアがどの未来イシューとどの社会変化仮
     説の掛け合わせから発想されたかを分かるようにして
     おく

    ④キーワードではなく、センテンスでまとめる  
     ブレーンストーミングでは、質よりも量
     うまくまとめようと意識しすぎるよりも、断片的でか
     まわないので発想したことを記録していく
     キーワードにとどめるのではなく、主語・述語をはっ
     きりさせたセンテンスで記述しておく

    ⑤生活習慣や価値観への影響を具体的にイメージする    
     ターゲットのイメージがあいまいだと説明的or新しさ
     が感じられない茫洋としたものになってしまいがち
     生活習慣や価値観への影響を具体的にイメージする
     特定の個人や企業の影響がイメージできているとグッ
     とリアリティが増したりシャープになる

    強制発想で生まれた断片的なアイデアを俯瞰すると、アイデアごとの類似性や因果関係、主従関係などのコンテクストを数多く見出すことができるでしょう。  このようなコンテクストに注目することで、個々のアイデアをストーリー性を持った複数の未来像にまとめていくことができます。個々のアイデアレベルでは突飛に見えたものでも、ストーリー性を持った未来像にすると蓋然性が高まる

     ・コンテクスト
     ・ストーリー性
     ・ 5 W 1 H
     の要素を盛り込むことを意識するとよいでしょう。

    評価方法
     ・それぞれの機会領域が業界や自社にとってどの程度
      インパクトがあるのか
     ・それぞれの機会領域の実現の不確実性はどの程度か 
     という2つの軸で評価する   
     インパクトと不確実性の軸で優先順位をつける
     それらの機会領域の攻略を念頭に置いた評価をする
     業界や自社にとっての価値視点、顧客にとっての価値
     視点も加味
     ▽企業価値視点
      機会への取り組み意欲:
      自社の意思、未来洞察実施メンバーの意思としてそ
      の機会に取り組んでみたいと強く思うか
      実現可能性:
      その機会は技術的、制度的などの面から実現可能
      か。自社の既存のバリューチェーンで対応可能か
     ▽顧客価値視点
      機会の革新性:
      その機会の実現によって顧客の生活や行動が大きく      
      変化するか
      機会の受容性・市場性:
      その機会は顧客にどの程度受け入れられる土壌があ
      りそうか


    社内の会議室の中で検討するだけでなく、注目した機会の先行ケースになりそうな現場を見に行ったり(フィールドワーク)、アイデアをラフな形にして試してみたり(プロトタイピング)しながら進めていくとよいでしょう。


    ◼︎これからの企業は、「今日のことを考える人材」と「明日のことを考える人材」を意識的に役割分担させる必要がありそうです。本来ならば「明日のことを考える」役割であるはずの企画系部署の多くが、現状では「今日のことを考える部署」になってしまっていることに注意すべき。

    当初、長期的に取り組むべきテーマが出てくることを期待していたのですが、評価の結果、本業のほうに寄り過ぎた、現状のビジネスモデルを補完するような比較的短中期のテーマが残ったという印象を持っています。  これらのテーマは当然ビジネスとして取り組んでいかなくてはならないのですが、 10年後にこういうビジネスをしたい、そのために今から何に取り組むべきかという問いには十分に答えられませんでした。  これは、未来イシューの設定の仕方として「自社の 10年後の課題」を設定したことが一因だと考えています。自社の 10年後の課題を想定した段階で、現状のビジネスモデルにどうしても捉われてしまったのではないでしょうか。



    最終的に見出したい機会領域が備えているべき機会領域
    ①革新性:これまでに見たことがない、ありそうで実はなかった機会であること  
    ②市場性:今すぐでなくとも、やがて需要側の共感や支持が得られそうであること  
    ③実現可能性:供給側があらゆる資源を活用して実現できること

    想定外の社会変化仮説例
    ①超監視国家の誕生  ~あらゆる振る舞いが監視・評価される時代へ  
    ②パラレル人生  ~バーチャル不老不死の実現  
    ③拡張人間とロボットが共存する社会  
    ④脱 A I   ~スマートな野性活用プロダクトの誕生  
    ⑤「ゆっくり徘徊」奨励タウン  ~人はスロー、モノはファスト  
    ⑥メイド・バイ・アマチュア  ~ 70億総供給者社会  

著者プロフィール

未来洞察アプローチを活用し、企業の新事業創造、中長期経営・事業戦略策定支援を実施している。個別企業に対するコンサルティングに加え、複数企業参加型でのオムニバスプロジェクトも実施。大学・研究機関との共同プロジェクトも多数実施。ウェブサイトにて、未来洞察コラムを定期配信中。http://www.jri.co.jp/special

「2016年 『新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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