古琉球 海洋アジアの輝ける王国 (角川選書 616)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035799

作品紹介・あらすじ

序論 古琉球から世界史へ
第一章 王国誕生前夜
第二章 冊封体制下の国家形成
第三章 冊封関係と海域交流
第四章 和/琉/漢の文化複合
第五章 王国は滅びたのか

感想・レビュー・書評

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  • 【世界をつなぐ海の王国】
    「古琉球史はなんてったっておもしろい」で始まるこの本は前近代の琉球について、各国に残るありとあらゆる史料と人種論・言語などから分析したもので、日本とは異なる独自の文化があったことがよくわかる。琉球人の起源(確かなことはわかっていないが)、その後中国文化が流入。王国が誕生して東南アジアと明とをつなぐ「中継貿易」で栄える。世界に開かれた繁栄の時代を経て島津氏の琉球征服。1冊に収まっているのが嘘のような圧巻の内容だ。

    沖縄の歴史というと近代以降の琉球併合や第二次世界大戦前後についてばかりだが、古琉球の時代を知り日本史とも並行してみてみたい。たとえば遣唐使のころ奄美からの貢納物の付札が大宰府に残ってると知るだけで、ここ福岡と琉球が近づいたような気がする。こうした「琉球史科学」は最近、盛り上がりを見せているそうで、分析が進めばもっと見え方が変わりそうだ。(本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会/つちふまず)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/732530

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/732530

  • 2020年2月読了。

  • 海洋アジアに足跡を残す、古琉球の成り立ちから終焉までを、
    多彩な史料を読み、検証して、明らかにする。
    序論  古琉球から世界史へ
    第一章 王国誕生前夜
    第二章 冊封体制下の国家形成
    第三章 冊封関係と海域交流
    第四章 和/琉/漢の文化複合
    第五章 王国は滅びたのか
    文書、碑文、書簡等の画像豊富。各種地図有り。家譜有り。
    引用文献・参考文献有り。
    かつては、ヨーロッパの古地図にも記されていた、琉球。
    ヤマト(日本)のみならず、中国や朝鮮とも関わりを持ち、
    シャムやマラッカ等の東南アジアとも取引をする貿易の中継基地
    として、発展しました。
    その歴史、かな文字や漢字、異なる宗教をも取り入れる柔軟さ。
    神女や女性外交官が活躍した世。そして島津氏との関係。
    様々な説や史料を紹介、かつ、考察をし、検証して、
    ヤマトとは異なる「古琉球」の全体像を明らかにしています。
    それにしても内容の濃いこと・・・年表や索引が無いので、
    理解するのは、なかなか困難。再読は必須かも。

  • 世界のネットワークに繋がってた、琉球。大航海時代のヨーロッパから見ると、鎖国を敷いた日本より、琉球国の方が、大きな存在だった。それを現してか、ヨーロッパで作成された世界地図の中で、日本よりも琉球の方がかなり大きく描かれていた。

    様々な地域と繋がり、交易をすることで生き延びる戦略は、弱者の闘い方として参考になる。小さなベンチャー企業が生き延びるには、ネットワークを張り巡らさなければいけない。

    開かれた繋がりという点では、琉球はインターネット的なのかもしれない。さらに、交易を促進するために内部に華人を取り込むなど、多様性やフラットな関係という考え方もある。非常に先進的な考え方を持っていた。

    今の時代、インターネットがこれだけ普及してきているが、オープン、フラットといった考え方はまだ十分に浸透していない気がする。企業も人も閉鎖的、階層的な感覚が強い。歴史に学ぶところは多分にある。

  • 『古琉球 海洋アジアの輝ける王国』 中世研究に多くを加える - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
    https://ryukyushimpo.jp/news/entry-920887.html

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    世界に開かれていたのは日本ではなく「琉球」だった! 
    13~17世紀の古琉球の時代、ボーダーレス海域でどのような歴史と文化が展開されたのか。琉球に残されたかな文字の碑文や『歴代宝案』などの外交文書、中国・朝鮮ほか、近隣諸国に残る史料などから総合的に検証。冊封体制論からはみだした古琉球の独自の事象を浮き彫りにする。同時代の日本を含むアジア世界の歴史のありかたに境界史から光をあて、その全体像に新たな視角を拓く。
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321410000188/

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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