- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047036703
作品紹介・あらすじ
戦国大名の領国は大きくわけて直轄支配地と「国衆」が排他的・独立的に支配する国衆領とでモザイクのように構成され、国衆領ではその自治権が容認され、戦国大名といえども原則としてその支配領域に干渉することはなかった。当然、戦国大名の軍事力(軍隊)も両者の混成編成という姿が実情であった――。
近年の戦国史研究において大きな興隆をみせる「国衆」とは何か。戦国武田氏を中心に、各地の国衆の成立・展開・消滅の歴史を追い、鎌倉期の地頭領主、室町期の国人領主、さらには「家中」や「先方衆」との差異も検証しつつ、国衆の視点から戦国大名の領国支配と軍事編成の特徴を総括・通覧する。
感想・レビュー・書評
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求めていた以上にマニアックな内容で、なかなか大変だった。
ただ、子どもの頃から抱いていた戦国時代や戦国大名のイメージは、国衆の存在によって変わる、と思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦国大名武田氏を素材に、その領国支配と軍事編成について、国衆を軸として紹介する内容。国衆の形成過程、その領域、従属と編成など広く詳述されていて、読み終わる頃には戦国時代の大名権力について解像度が上がること間違いない。
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戦国時代といえば大名同士の国盗りのイメージが強いが、では庶民はどのように戦に参加し、暮らしていたのかを知りたくて読んだ本。いざ読んでみると、大名の下の「国衆」という中間的階層のあらましが事績とともに詳しく描かれ、当時の様相を立体的に知ることができた。素晴らしい一冊だった。
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東2法経図・6F開架:210.47A/H69s//K
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戦国大名の領国は、軍事侵攻で制圧した直轄支配地域と、彼らに従属した「国衆」(先方衆とも)が排他的に支配する「領」(「国」)とでモザイク状に構成されていた。この戦国期固有の領主はいかに誕生し、大勢力の狭間で翻弄されながらも、その傑出した実力で戦国大名の権力構造にどのような影響を及ぼしていたのか。武田氏を主軸に、史料渉猟から国衆の成立・展開・消滅の歴史を追い、戦国大名の領国支配と軍事編成の本質を総括・通覧する。(2018年刊)
・はじめに
・第一章 戦国期の国衆と先方衆
・第二章 室町期国人領主の成立と展開
・第三章 国人領主から国衆へ
・第四章 戦国大名領国下の国衆「領」(「国」)
・第五章 国衆の武田氏従属
・第六章 先方衆としての国衆と武田氏
・終 章 武田氏滅亡と国衆
・あとがき
はじめにによると、本書は「戦国大名武田氏を素材として、その領国支配と軍事編成の特徴を、国衆を軸に紹介することを目的」とし、「戦国大名武田氏の領国支配と軍事編成の特徴を通覧すること」を目指したとある。
まずは、国衆、先方衆とは何か、先行研究を踏まえ、概念の定義がされている。
つぎに、室町期の国人領主制について解説され、室町期の国人領主が、国衆へと変化する様子が書かれている。
著者らしく、手堅くがっちりと、まとめられており、大変勉強になるが、これまでの著書と比べ、取っつきにくく、人によっては好みの分かれるところであろう。(例えば、武田氏滅亡は、その出来事自体が、ドラマチックであり、ぐいぐいと引き込まれるが、本書は、戦国史研究や国衆論に、関心が無いと、読み進めるのがつらい。そういう意味では、読む人を選ぶ本である。)
また、武田氏従属の国衆についても、重厚な記述がされている。自分は、長野県人なので、地名にも、ピンとくるくるが、土地勘が無いと、読むのがと辛い気がする。
個人的には、知的な好奇心を刺激され、面白く感じたが、タイトルは、「戦国大名武田氏と国衆」でよかったのではないかと思う。
選書らしい1冊でありお勧めである。