日本に鈴木はなぜ多い: 日本最多の姓に秘められた逸話 (角川oneテーマ21 C 17)
- KADOKAWA (2001年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047040359
感想・レビュー・書評
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先週次女と一緒にいった高校の文化祭の古本の模擬店で購入した本なのですが、私の名字が「鈴木」ということもあり、この本を読んでみました。以前に勤務していた会社が和歌山方面に工場があり、新入社員の研修時代に休日を利用して「鈴木家の生家」に行ったことも記憶に蘇ってきました。
また私は小学校時代に関東から関西へ引っ越したことがあるのですが、関西では鈴木の名字が関東に比べてかなり少ないことも不思議に思っていましたが、この本にその理由も解説されてあり興味深く読ませてもらいました。
以下は気になったポイントです。
・藤白の鈴木家といえば、元祖鈴木家の代名詞である、紀州熊野が鈴木一族のルーツとされる地である(p19)
・鈴木は東(関東、東北、中部)に極端に偏重して多い(p19)
・鈴木姓が東日本に偏って多いのは、歴史的・政治的・民族的な事柄が作用している(p20)
・日本には15~27万の苗字があると言われているが、同字異称(例として河野:こうの、かわのや異字同称も加えたもの(p22)
・日本の苗字は9割以上は、地名にちなんでいるが、鈴木はこの範疇に入らない(p29)
・鈴木は、鎌倉・室町時代に誕生した苗字、「すずき」とは「わらや稲束を積み上げたもの=穂積」という意味、穂積とは姓で、古代においてはかなり位の高い称号、穂積こそ鈴木につながる重要なキーマン(p30)
・鈴木氏は、穂積の儀式を農村で主宰することで、民衆に天皇のタマ(魂)を分け与える役目、稲の豊穣を約束する最高の祭司であった(p34)
・和歌山県と三重県にまたがる熊野地方では、穂積を「ススキ」と呼んだ、穂積とススキは同義であり、穂積氏は鈴木氏のことを意味する(p36)
・海南市藤白に鈴木家(全国200万人)を氏神とする藤白神社が建立されている、この鈴木家には122代にさかのぼる系図がある(p51)
・他の山岳信仰の多くが女人禁制としたが、熊野は女性を拒まなかった、また下級階級、いやしい階級、ハンセン病を始めとした難病に苦しむ人も受け入れた(p58)
・鈴木姓が多い秘密の答えは、熊野三山への信仰が大いに関係している、熊野信仰により全国各地に熊野神社(例:西新宿にある十二社熊野神社)がつくられた(p82)
・鈴木氏は、稲に稲魂を降臨させる多いなる職責があった、穂積の儀式を司る家系(p87)
・鈴木氏は、農漁民など地域コミュニティの住民から信奉あつく、苗字を得る機会になると、みなこぞって「鈴木姓」を譲り受けたのであろう(p88)
・日本のように王権が太陽神と結ばれているところでは、王位をその子供が継承するという、エジプト・インド・インカ等の文明、琉球王室である(p113)
・古代の合議制(アマテラスの時代)とは、議論を戦わせてよりよい結論にもっていくというのではなく、合議に参加したメンバーが傷つかないように、あるいは既得権を守れるようにする日本独特の儀式(p117)
・鈴木は、熊野信仰による救いと、稲作農耕の祭りを司り、米の豊穣を約束するという天皇の代理人としての任務をになった、最先端の農耕技術の指導も行ったさいには、和魂なるものも伝播した(p121)
2012年7月1日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示