「時間」の作法 角川SSC新書 (角川SSC新書 118)

著者 :
  • 角川マーケティング(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315419

感想・レビュー・書評

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  • 自己啓発っぽいけど林さんの考えが前面に出てるからエッセイ枠で。

    再読。
    読んでると気分がせこせこしてくるから、林さんがおそらくそういう人なんだろう。時間を1秒たりとも無駄にしたくない、っていう。
    ほぼ野菜のスープを鍋いっぱいに作って毎日それを食べる、というズボラな食生活の元となったのはこの本だった。
    パスタにキャベツをもりもり入れるのも、この本を読んでおもしろそう、と感じたからだった。
    そのことを思い出して、本の影響力に驚いた。
    ホタテ缶やバルサミコ酢は入れてなかったけど、キャベツと塩と胡椒と油だけで美味しくなったから、良いレシピを仕入れられた。

  • 文学者というイメージと著者の風貌からコンピュータは無縁の,紙メモ術とかノート術とかそういった内容を勝手に想像していたが,著者は実は20年以上のパソコン使用歴があり早くからメモの電子化を実行していたというから驚きだった。

    本書には昨今話題のライフハック本として読むこともできるが,随所に散りばめられた時間短縮術はクラウドサービスを使うとか,ツールを使うとかいった技巧的なものではなくいたってシンプルであり,自分にはそれほど魅力的ではなかった。むしろ著者の「時間がもったいない」という視点がユニークであり面白い。例えば病気は最大の時間損失だとしている。これは著者が物書きを生業としていることから病気・入院イコール無収入となり,生活がかかっているかということもあるが,物書きでなくても大きな時間損失となることは他の職業の人についても言えることである。そして最大の時間損失をしないために,マスクを二重にするとか,飛行機は絶対乗らない,最悪のらなくてはならないときには毛布を頭からかぶって風邪の感染を防ぐとか,徹底的な対策を実行する。

    「時間がもったいない」という思いが強ければ強いほど,普通我々が気づかないところにも時間の無駄を見出し,時間を節約できる。時間節約術にばかり目を向けるのではなく,原点に立ち返り何が時間の浪費につながっているか,今一度考え直したい。

  • 第1章 「忘れる」ことに備えるー“A4万能メモ”と“壁ファイル術”/第2章 いかに迷わず「書く」かー“メールは距離感”と“手紙は横書き”/第3章 誤った「読み方」をしないー“書縁”と“読書術”/第4章 無駄なく「話す」ことースムーズな“会話”と“スピーチ”/第5章 「英会話」を最短で覚えるー“海外に出よ”そして“質問せよ”/第6章 何事にも「凝らない」ことー“美しくなくていい”という精神/第7章 「一日」の中で時間節約を重ねるー“時間の見える化”と“家事の短縮”/第8章 「人生」という枠で時間を見るー“遠回りが近道”と“急がば回るな”/第9章 身も心も「丈夫」であることー“超・風邪予防術”と“菜食主義”

  • 作者個人の考えが強め

  • 人生における時間に対する考え方をいまいちど再認識する本。
    ただ、著者独自の観点が強い部分もあるとおもう。

  • 知的生産において、材料となるのは情報です。しかし、情報だけあればそれで十分かというとそうでもありません。それ以外に何が必要かというと、「時間」です。

    情報を集める時間、考える時間、アイデアが発酵するまでの時間、実際に手を動かして何かを生み出す時間、そういったもろもろの時間がないと作業を前に進めていくことはできません。

    これは知的生産に限ったものではありませんが、共同作業・分担作業ではなく自分の頭を使って進めざるを得ない知的生産においては、「自分の時間の使い方」というのは制限要因になりえます。

    本書は作家であり書誌学者でもある林望さんの「時間の使い方」を紹介した本です。内容的にはタイムマネジメントの手法ではなく、有用に時間を使うための知的生産術として読むことができそうです。

  • 時間を短縮かつ、有効に使う方法など。
    結構為になりそう。

  •  思いっきり期待外れの内容であった。

     そもそも、タイトルがひどい羊頭狗肉だ。
     このタイトルでは誰もが時間管理術の本だと思って手に取るだろうに、時間管理がテーマになっているのは全9章中の2つの章だけ。で、ほかの章には何が書かれているかといえば、メモ術、読書術、文章作法、英会話を学ぶコツ、上手なスピーチのコツ、風邪を引かないための心構え(!)など……。
     要は広い意味での「リンボウ流仕事術」の本でしかない。にもかかわらずこんなタイトルをつけるのはいかがなものか。

     それでも仕事術の本として役に立てば腹も立たないが、その点でもかなりのダメ本であった。とにかく、あたりまえのことしか書かれていない。

     たとえば、読書術についての章にはこんな一節がある。

    《インターネットの利点は何かというと、一つのニュースに関連する情報を、数カ月前からさかのぼって読めることです。新聞やテレビで過去の情報を知りたくても、その日、その時間のことしかわかりません。
    (中略)
     それに、テレビの場合は芸能ニュースのように私にはまったく興味のないニュースでも見続けていないと次のニュースに進めませんが、インターネットであれば自分で見出しを見ながらニュースを選べるので、仕事をやりながらちょいちょいと読むことができる。
     この、自分の都合で時間のかけ方を調整できるというネットニュースの性格は、時間を無駄なく使う上でとても重宝なものです。》

     2011年に刊行された本の一節とはとても思えない。いまどき、これを読んで「へーえ、インターネットってそんなに便利なのかぁ」と感心するような読者がいるだろうか。

     時間管理をテーマにした章が2つあると書いたが、それらの章がまた輪をかけてしょーもない内容なのだ。たとえば、こんな一節がある。

    《何かの仕事をしているとしたら、「今は二時四十五分だから、四時までに終わらせよう」とか、あるいは原稿を書いているときであれば、「この章はだいたい五時くらいになって目鼻がつくだろう」とか、そういう時間の戦略を立てていく。
     それが終わったら、次は「晩飯を作ろう」、またその次は「ご飯を何時までに食べ終えよう」と、自分の頭の中で先へ先へとタイムマネジメントを重ねていきます。》

     「仕事を四時までに終わらせよう」とか「ご飯を何時までに食べ終えよう」なんてこと、「時間の戦略」「タイムマネジメント」というほど大層なことかよ(笑)。ごく日常的な思考の断片じゃん。

     じつは私は林望の著作は初めて読んだのだが、ほかの本でもこんな調子なのかね? エッセイストクラブ賞を受賞したりしているのだから、エッセイはもっとまともなのだと思うけど。

     前にも一度書いたことがあるが、時間管理術の本で私のイチオシは、メリル・E・ダグラスの『決定版 時間を生かす』(知的生き方文庫)である。古い本だが、本書などよりもはるかに有益で、示唆に富む名著だ。

  • リンボウ流の知的生産術。

    いかにして「無駄な時間を省くのか」、あるいは「有用な時間を生産」するのか、が主要な視点。

    A4用紙を使った「万能メモ」と、壁に何でも貼り付けていく「壁ファイル術」。

    文章の書き方の心得。

    読書の方法論。話し方。英会話の勉強法。「凝らない」という考え方。

    時間の見える化へのアプローチと、無駄をなくす方法。

    「人生」という枠組み、と健康であることの意味。

    といった内容。

    これを読んでいて思ったのだが、だいたいこういう達人はすぐに「法」とか「術」という名前を付ける。

    印象的で、内容を即座に伝えるネーミングは、その物事の本質を掴んでいないとつけることができない。つまり、自分なりの方法論をいつも考えている人ほど、そういうネーミングは浮かんできやすいのではないか、とそんな考えが浮かんだ。

    「物を書くのはプレゼンテーション」という部分は共感。ただ、その見せ方はにはいろいろあるし、絶対的に正しい方法論など存在しない。

    なぜならば、何をプレゼンしているのかというと、書く人そのものの本質である。結局の所、提示する情報とその裏側にある発信者を伝えるというのが、物を書くことだ。

    もちろん、自分が前に前に出てくる文章もあれば、よく目を懲らさないと見えてこない文章もある。

    まあ、そんなことを考えた。

  • 以前から、思ったことをすぐ忘れている。思ったことすら忘れることにすら気づいていなかったこと、にやっと気づいた。思った瞬間に脳波みたいなものを使って、自動的にメモをとれる未来はいつ来るのだろうか。それほど、忘れることへの対策を立ててきた。忘れることの効能は言うまでもないのだが。
    現代人の生活は、古代人と比べると、スピードが早く刺激が多いような気がする。それに、脳が対応していないのかもしれないなんて。
    著者の時間の作法の根本は、生きている時間をどうしたいかだ。生きているにはなにか残したい、何かしら成果を残したい、残さなければならない、残すべきだ。という価値観の基においては生き急ぐように1分1秒一瞬を大切にして、無駄なく効率の良さを追求する。具体的な方法を写真を交えて解説してくれるのはありがたい。
    時間は常に止まることなく、すべてにおいて同じ速度で進んでいる。体感的には、それぞれの感覚で違い、私の中でも時間は速度を変える。私たちの感覚は、そういう性質としてしか時間を捉えられないから、それぞれの時間の作法を持つことは、生きやすくするのにつながる。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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