権力に翻弄されないための48の法則 上

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047913349

感想・レビュー・書評

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  • 1.主人より目立ってはならない
     自分のアイデアが主人のアイデアよりも建設的であれば、そのアイデアを主人の発案として、できるだけ周囲に広めてやるがいい。自分の助言は、あくまでも主人の助言の後追いにすぎないのだと強調するがいい。(中略)

     いずれの場合にせよ、自分の強さを隠すことが最終的にパワーを獲得することにつながるのなら、それは弱さではない。他人を自分よりも目立たせているかぎり、相手の不安感の犠牲者になるかわりに、自分が相手をコントロールする立場にいられる。

    引用する分量の関係上、ここではできるだけコンパクト、かつ、大事な部分を持ってきているのですが、本書の大部分を占めるのは、歴史上の著名人の逸話です。

    最初の方から拾っていってもルイ14世、千利休、毛沢東、オットー・フォン・ビスマルク、諸葛孔明等々、豪華メンバーが大集結!

    もうちょっとマイナーどころの人物であっても、なるほどすごい、と思わせられるエピソードがあったり、著名人でも意外な一面があったりと、非常に勉強になりました。

    例えばエジソンの裏の顔というか、人の業績を横取りするジャイアンぶりには軽いめまいが。

    子どもの教育の関係上、我が家では「発明王」ということにしておきますが、上記でリンクを貼ったニコラ・テスラに対する態度等、「偉人」と呼ばれる人のやることとは思えませぬ。

    ただ、「勝てば官軍」ではないですが、結果的に名前が残っているのはエジソンの方ですし、本書の法則に逆らった結果、命を失ったり、失脚した著名人は沢山いるのだな、と。


    ◆かと言って、自らが他人を騙したり、手柄を横取りするのはどうかと思いますが、逆に自分がそういう目にあう可能性は常にあるわけで。

    詐欺師の本を読むことが、詐欺に対する防御力を高めるように、本書を読んでおくと、騙されたりハメられたりするリスクが軽減されると思います。

    また、会社における「出世レース」や「生き残り方」に関しても、本書は参考になりそう。

    「他人を自分に依存させておく」なんて言うと仰々しいですが、「他人」が上司やお得意先ならば、要は「代替不可能になる」ということであり、結局「リストラされない」、ということかと。

    近い将来、不本意ながらも(?)本書の内容を実践していくシーンが出てくるかもしれません。


    ◆ちなみに本書の構成は、各章とも、タイトルの「法則」の後、「提言」として法則の要旨をまとめたものが続き、「法則にそむいた場合」「法則に従った場合」として歴史上の逸話が紹介され、その直後にそれぞれの「解説」が。

    さらにそれらを踏まえて、具体的なアクションや、実践への提言等を述べた「パワーを手にする秘訣」、比喩で表現した「イメージ」、その章のテーマに該当する過去の名言である「金言」、法則から外れるケースである「例外」と続きます。

    時間のない方なら、事例が中心の「法則にそむいたor従った場合」を飛ばして、「パワーを手にする秘訣」を中心に読めば、てっとり早くエッセンスを吸収できると思われ。

    私は律儀に最初から一字一句飛ばさずに読んでいたら、他の本と併読とは言え、読み終えるのに丸々4日以上かかりましたがw


    ◆なお、本書はあくまで上巻であり、48の法則の残り半分は下巻に収録されています。

    目次を見る限り、この上巻同様、エグいながらも本質的な「法則」が収録されてるよう。

    残念ながら、文庫本はさらに高いので、まずは手頃な値段帯が豊富な上巻の方から順当に攻略すべきではないか、と。

    もっとも「ぜひとも注目を集めよ」なんて、モロに炎上マーケッティングみたいですし、私個人としては、その内容を100%肯定しているわけではないことを、予めお伝えしておきますが。


    ある意味「劇薬」なので、取り扱いには十分ご注意を!


    権力(パワー)に翻弄されないための48の法則〈上〉
    主人より目立ってはならない
    友を信じすぎず、敵をうまく使え
    本当の目的は隠しておけ
    必要以上に多くを語るな
    名声は大いに頼りになる―生命をかけて名声を守れ
    ぜひとも人の注目を集めよ
    他人を自分のために働かせよ、ただし手柄は決して渡すな
    他人に足を運ばせよ―必要ならば餌を使え
    言葉ではなく行動によって勝て
    感染を避けよ―不幸な人間や不運な人間とはつきあうな〔ほか〕

    ■2.本当の目的は隠しておけ
     忘れてはいけない。異常に警戒心の強い人間は、最もだましやすい相手となりうる。どこかで相手を信用させられたなら、もう煙幕は張られている。相手は別のところが見えなくなるから、そこに忍び寄って、壊滅的な一撃を加えればいい。親切そうなそぶりや正直そうなそぶり、あるいは相手の優位をほのめかすそぶりは、相手の注意をそらすための完壁な装置となる。


    ■3.名声は大いに頼りになる――生命をかけて名声を守れ
     名声をつくりあげるときは、ただ1つのたしかな資質にもとづいた、単純なものにするがよい。このただ1つの資質――有能さでもいいし、口説きのうまさでもいい――は、一種の名刺となって、持主の存在を知らしめ、人はそれを信じこむ。正直で有名になれば、どんな欺瞞でも使えるようになる。カザノヴァは稀代の色事師という評判を利用して、さらにやすやすと女たちを征服していった。カザノヴァの力を噂に聞いていた女たちは、大いに好奇心をかきたてられ、彼がこれほど情事に成功している秘訣をぜひ自分の目でたしかめたくなったのである。


    ■4.ぜひとも人の注目を集めよ
     頂点に登りつめようとするときは、まず世間の目をひくことに全力を傾けるべきである。そして、何よも重要なのは、注目の「質」などどうでもいいということだ。自分のショーがどれほど酷評されようと、自分のでっちあげにたいする攻撃がどれほど個人的な中傷になろうと、バーナムは決して文句を言わなかった。それどころか、新聞で批評家に槍玉にあげられると、バーナムはかならずその批評家をショーの開幕日に招待して、最高の席を提供するのであった。ときには匿名で、自分の仕事を自ら攻撃することさえあった。それもひとえに新聞から自分の名前が消えないようにするためだ。バーナムにしてみれば、肯定的なものであれ否定的なものであれ、注目は自分の成功を生むための大切な材料だった。


    ■5.他人を自分のために働かせよ、ただし手柄は決して渡すな
    自分のために他人を働かせ、その手柄を自分のものにする技を身につけよ。そして、自分を神のような強さと力をもった人物に見せるのだ。すべての仕事を自分でやることが重要だと考えているなら、決して高みには到達しえない。バルボアやテスラと同じ運命をたどることになるだろう。自分のもたない技術と創造性をもった人間を見つけることだ。彼らを雇うのもいい。彼らの名前のいちぱん上に、自分の名前を据えればよいのだ。あるいは、どうにかして彼らの仕事を横取りし、自分のものにするのもよい。そうすれぱ、彼らの創造力は自分の創造力となり、世間から天才として認められる。


    ■6.他人を自分に依存させておくすべを覚えよ
     最後に1つ警告しておく。主人が自分を頼っているからといって、主人が自分を好きだと思ってはいけない。それどころか、主人はこちらに怒りや恐怖を感じているかもしれない。だがマキアヴェッリが言ったように、愛されるよりは恐れられるほうがよい。恐怖ならコントロールできる。しかし、愛はだめだ。愛や友情のように微妙で移ろいやすい感情に頼れば、自分の立場が不安定になるだけである。一緒にいるときの楽しさからよりも、失ったときの恐怖から頼らせるほうが確実である。


    ■7.意図的な正直さや寛大さで敵の武装を解け
    最も信用のならない敵からのものであっても、贈り物を拒否する人はめったにいない。したがって、ものを贈ることは、しばしば他人を武装解除させるためのまたとない方法となる。贈り物は人間の子供の部分を引きだして、警戒を緩めさせる。人はえてして他人の行動に皮肉な見方をするものだが、贈り物にマキアヴェッリ的な要素を見ることはほとんどない。したがって、贈り物はしばしば究極の目的を隠してくれる。相手をだます目的を隠すのに、贈り物は完壁な小道具なのである。

  • 規模は違うが、自分も同意出来る法則も多かった。

    主人より目立ってはならない。
    友を信じすぎず、敵をうまく使え
    本当の目的は隠しておけ
    必要以上に多くを語るな
    名声は多いに頼りになる 命をかけて名声を守れ
    ぜひとも、人の注目を集めよう
    他人を自分のために働かせよ。ただし手柄は決して渡すな。
    他人に足を運ばせよ 必要ならば、餌を使え。
    言葉ではなく、行動によって勝て
    感染を避けよ 不幸な人間や不運に人間とは付き合うな
    他人を自分に依存させる術を覚えよ
    意図的な正直さや寛大さで、敵の武装を解け
    他人に助けを求める時は、相手の利益に訴えよ 情けや感謝の念に頼ってはならぬ
    友を誘ってスパイを働け
    敵は完全に叩き潰せ
    姿を見せないようにして、周囲の敬意と称賛を高めよ。予測不能な雰囲気を醸し出して、相手を常に怯えさせておけ
    保身のために、砦を築くな 孤立は危険である
    相手の性格を見極めよ 不適当な人物を攻撃するな
    誰にも深く肩入れするな
    騙されやすい人間を装って、人を騙せ かもよりも、自分が愚かに見せよ
    降伏戦術を使って、弱さを力に変えよ
    自分の力を集結せよ
    完璧な廷臣を演じよ

  • タイトルは少し意を外しているように思った。
    単純に「力の法則」だと思った。
    まず前半の24の力の法則。
    まさに過去の歴史における力(権力)の法則。
    どれも納得のいくものだけど、
    ただ、出てくる実例は、大きな権力に関するもの。
    我々大多数の小さな個人にも、
    その法則は適用されるのだろうか。
    歳を取るにつれ、組織の中で上がっていくにつれ、
    この法則に関わることになってくるのだろう。

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著者プロフィール

1929年ニューヨーク生まれ。一貫して事件記者の道を歩み、米組織犯罪の取材、報道の第一人者。1955年より勤めたNewsday誌へ2度のピューリツァー賞ゴールド・メダルをもたらす。2008年逝去。

「2013年 『アメリカン・ハッスル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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