青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048658911
作品紹介・あらすじ
初恋相手「翔子」と中学生「翔子」。
ついに明かされる「二人の翔子」の秘密とは――? シリーズ第6弾!
「ふたりはいつから同棲してるの?」
こたつを囲んで左には初恋相手の翔子、右には現在進行形でおつきあい中の麻衣。クリスマスまで1ヶ月をきったその日、やむなく始まった翔子との同居生活が麻衣にばれ、咲太は人生最大の窮地に立たされていた。
そんな中、中学生翔子が病状の悪化により入院していることが発覚する。
「おとなになることは、わたしにとっての夢でした」
そう語る翔子の運命は――。
麻衣と咲太の仲に入った亀裂の行方、そしてついに解き明かされる「大人翔子」と「中学生翔子」の秘密。空と海に囲まれた町で始まる僕らの恋の物語、緊迫のシリーズ第6弾がついに登場!
感想・レビュー・書評
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心が震えている。緊張と衝撃で。
こんなに苦しい話になるなんて。
前巻での”かえで”の喪失もほんとに苦しかった。
なのに、今度は究極の二択だよ。しかもラストが……
今巻はいよいよ翔子さんが全てを語る事になるのだけど、それは翔子さんだけでなく、咲太にも深く関わってくる展開。
翔子さんが未来からきたのは予想できていた。
いや、最初は分裂の方だったのかとダマされたけど。
でも、彼女が手術を受けることができたという話を聞いても、少しも安心できなかった。
だって伏線があったから。
その提供者は誰だろうと思った。
真っ先に思ったのは麻衣。
でも違った。
そうか、そう来たか。
そこからのいわば究極の二択は、咲太の揺れる想いがすごく痛くて、どっちもが実現してほしいと思っても、でもどちらかは諦めないといけない事実に心が悲鳴をあげる。
しかも麻衣のあんな感情剥き出しの叫びはシリーズ通じてホントに初めてだ。
だから一旦は生きたいと願い、けれど見せつけられた翔子ちゃんの現実。
だから咲太は、何もせず黙って過ごすことなんかできず、とにかくその場に急ぐのだ。
その彼の元に、その究極の二択は、けれど最後の最後で全く別の選択肢を示す。
衝撃の選択肢。
ここでもう一度思った。
そうか、そう来たか。
でもこれは、咲太が絶対に選ばない選択肢。
一つも望まない選択肢。
ならば、なにをすればいいのか、どの道を選べばいいのかわからなかった今巻とは違い、次巻、咲太のすべきことは決まっている。
大切な人を取り戻し、すべての問題を解決するために、ガムシャラに進むしかない。
どんな思春期症候群だって構わない。
物理法則なんてクソくらえだ。
そういう次巻が見たい。
きっと叶えてくれると信じて待つ。
鍵はもしかしたら、翔子ちゃんの将来予定表かもしれない。
だって、あれの納得いく説明がつかないから。
いろいろ苦しかった巻だけど、金沢での麻衣とのやり取りにはニヤニヤさせてもらったし、翔子さんとの掛け合いも楽しかった。
次巻が待ち遠しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
咲太の傷の真相を知った時は鳥肌が立った。青ブタシリーズの中でもダントツで面白い話だった。
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デートのダブルブッキングが発生した辺りの展開で思わず前作「さくら荘のペットな彼女」を思い出してしまったけど、咲太は空太と違ってどちらを選ぶかは迷わないんだな~と思いながら見ていたら予想外の展開に
なるほど、胸の傷の秘密についてはすっかり騙されたなぁ。これまでの思春期症候群の発症には自己嫌悪とか関係していたし、咲太の現象が発症したタイミングも違和感が無かったから全く疑っていなかったよ
これまでの諸問題に対しては泰然としていた咲太が最後の最後に慟哭してしまったのが、前巻の話だったけど今回は更に踏み込んで翔子と自身の命を天秤にかける事に。
デートの待ち合わせなら全く迷わずに決められる咲太にとっても重い問題。最初は自覚しないまま答えを決めてしまったのにその後の麻衣の涙で本当の心が顔を出してしまう展開はなんとも言えない。しかもその本心を打ち明けた相手が問題の中心にいる翔子になってしまったのはこれまでの咲太の自制心を思えばとても意外だった
そのまま咲太生存の方向で進むのかと思いきや、翔子の病室を見た事でいつもの調子で心を決めてしまう姿勢には、思わずそれでいいのかと問いたくなるけれど今回の問題について正しい答えなんて存在しないもんなぁ…
それでもラストのあの選択はどう考えても間違っている訳で。おそらく次巻で描かれるのは思春期症候群なんて関係ない純粋な生と死の問題だろうけど、それに対してどのような答えを出すのかな
そう言えばプリントに書かれていた将来スケジュール。あれって結局どうして出現したんだろう?もしかしてそこに一発逆転の鍵があるのかな? -
劇場版に対応する本作がやはりおもしろい。少しSFチックになったけど主人公の心情の揺れ動きが丁寧。次巻へ続くのはちょっと驚き。
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残酷な運命に翻弄される面々。
映画観てから読んだから脳内再生余裕で贅沢でした。 -
命の恩人である翔子が心臓を患っている。
病を乗り越えた未来からやって来た翔子の心臓には自分の心臓が入っている。
自分か、翔子か。どちらかの未来を選べというのが残酷過ぎる。
翔子の事情に気付いた理央の鋭さには驚かされる。普段は辛辣な言葉を咲太に浴びせているけど、本当は咲太を大切に思ってるところが良い。
咲太が自分を振ってくれることを信じてあの場所を待ち合わせにした翔子も良い人すぎる。それでも結果的に最悪の結末になってしまったが。
映画では、2冊で1つの作品ということなのか。 -
大きな翔子さん
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映画視聴済み。本書は映画の前半部分。やっぱりそこで終わるんだよね、と(先を知らなければ)絶望的な気持ちになる。翔子の思惑に気づいてからの咲太の行動、からのラストがどうにもやるせない。映画にはなかったいくつかの場面が微笑ましくて、少しだけ救われた。チャペル見学の言い訳とか、覚悟を決めたあとの上里や国見とのやり取りとか。