サッポロ無職グラフィティ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2.77
  • (0)
  • (1)
  • (9)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 61
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048669474

作品紹介・あらすじ

まだまだ若年者雇用率が問題視される世の中、ご多分に漏れず僕も就活に苦戦していたのだが、ある日、知り合いから『何でも屋』をやらないかと誘われ、参加することになる。しかし、その日暮らし、ヒモ、ニート、孤独なアラサー、そして僕というメンバーで何が出来るというのか?不安になるも、地下鉄落書き事件の犯人探しをすることになってしまう。そんな時、犯人が僕の前に現れて共犯を持ちかけてきた。揺れ動きながら、就活に疲れていた僕はある決心をする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 帯が「この街に仕事はないのか!」で、タイトルが「サッポロ」。表紙はススキノ交差点。
    なので、札幌の某書店では新刊のとこに平積みされてました。その勢いのままに買った。

    んんー。もうちょっと執筆に時間をかければもうちょっと良くなったのかなという印象を受ける。

    あと、作家さんというよりも出版社に対してだけれど、ちょっと誤字脱字が……多いかな。
    初版で買うと誤字脱字が1つ2つあるというのはたまにあることだけれど(それでもさすがに歴史ある出版社はそういうことが少ない)、3つ4つ見つけたあたりで残念感が漂い、5つ6つ見つけたあたりで苛立ちを覚える。これは私の職業柄か。
    いや、でも誤字脱字は文章を読む上でかなりのノイズになる。そんな余計なところで読者に引っかかりを与えてはいけないと思う。
    ちなみに1つは作家さんのミスによる誤字かと思われ。
    作中に「創世川(そうせいがわ)」が出てくるが、正しくは「創成川」。地図までつけて地名を全て実名にしてるのに、漢字間違えたら意味が無い。

    肝心の内容はというと、ちょっと登場人物のキャラ立てが弱いかなと感じた。勢いで読ませる、街を駆け巡る系のドタバタ劇ならば、キャラクターはもう少しデフォルメされていたほうが頭に入りやすい。一人、「レズの女装男」はわかりやすいけれど、それもその強烈な設定の割には作中にそれが活かされていないように思う。わかりやすいというのは、彼女(彼?)だけが女言葉で話すからだ。何でも屋社長の「雑なあだ名呼び&雑な口調」だけが突出していて、それ以外は特徴が薄い。

    ストーリーそのものは面白く読んだけれど、札幌の地理がわかるからという地元点が加算されているかもしれない。
    ただ、あらすじは悪くないと思う。もうちょっと丁寧な肉付けがあればもっとよかった。肉付けが不十分なせいで、読者が騙されるべきポイントに、読んで不自然なニオイがする。「ははーん、ここに地雷が埋まってるな」と、2年目の工作兵でも見抜けそうなニオイが。もしくは、塑像を造った後に、微調整したパテの色がちょっと違うみたいな。

    あと、主人公、モラトリアム過ぎ。仕送りもらってる大学中退者が「就活とバイトの両立厳しいわー」とか言っちゃだめ(笑)。しかも15社くらいで。ネットエントリしてなくても、中途採用なら数十社受け続けるだろ、生活かかってるなら。

    そしてもうひとつ気になったんだけど……「内定」って言葉に囚われすぎじゃないかしら。もちろん、中途採用でも「内定」はあり得るけれど、基本的には「内定」って、新卒者向けの言葉のように感じる(新卒者においては「卒業後に働く」で、中途採用だと「始期が定まっていない」状態の通知のようです)。
    既卒者や転職者で中途採用狙いであれば、内定よりも採用通知をもらうパターンのほうが多いような。「内定が出ない」と繰り返されると、「え。採用されてから働くまでにまだモラトリアムしたいの?」と思っちゃう。そんな重箱の隅つつくの私だけか。

    ただ、「無職」を集めたのは面白かった。
    そして、札幌の詳細な街なかを舞台にした小説は少ないので、それも良かった。
    誤字脱字が無ければもっと良かった。

  • やっぱり北海道が舞台のお話は嬉しくなるし楽しい。
    ススキノおっかない街だけど、
    今はこんなに治安悪くなくて、
    現実味ないけどそこがまた良い。
    前に一歩踏み出す勇気をくれる。
    頑張ろうか、って思える。
    ただ少し内容が幼い。

  • 札幌を舞台にした群像劇。伏線の張り方や物語のひっくり返し方はなかなか巧妙で評価できるけれど、読み手をワクワクさせるような魅せ方とか題材の選び方ができていない気がする。

  • 札幌を舞台に、就活難民の主人公万里が、以前のバイト仲間に誘われ、何でもや稼業に。地下鉄落書き事件を追って町を縦横に駆け巡る。地元民からすると馴染みの場所が舞台で楽しめる。最後は希望を感じさせる終わり方。何もかもうまくいくほど甘くはないけど、殻を破れたような。人生の価値は棺を閉じたときにきまる、社会は生きながらに入る棺だ、の言葉とともに、モデルになった映画はなんだろうか。見たことはないが、イージーライダーだろうか。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

電撃大賞の投稿作品『バベルスターズ』で電撃文庫よりデビュー。既刊に『バベルスターズ』『RED -終末のアウトサイダー-』などがある

「2017年 『東京ダンジョンスフィア 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奈坂秋吾の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×