鷲見ヶ原うぐいすの論証 (電撃文庫 く 6-10)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.53
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本棚登録 : 183
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048679466

作品紹介・あらすじ

うぐいすという少女は変わり者である。いつも図書室にこもっていて、教室に顔を出すことはない。だが、試験では常に満点というひねくれぶり。なぜか譲はそんな彼女と奇妙な付き合いが続いていた。変わり者には変わった依頼が来る。天才数学者、霧生賽馬は魔術師である-その真否を問い質してほしいというのだ。かくしてうぐいすと譲は霧生博士が待つ麒麟館へ。だが翌日、霧生は首なしの死体となっていた。限られた容疑者は全員が無実という奇妙な状況に陥り!?魔術師であるのか、殺人なのか、被害者はいるのか、犯人はいるのか、これはそれらすべてを「論証」する物語である。

感想・レビュー・書評

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  • 本を読み終えてからもう何年か経つので、内容について齟齬があるかもしれないけど、レビューを書いてみたいと思う。(本が現在遠くにあり手元で読めない)

    トリックや殺人の過程に関しては確かにミステリを読んでる方々なら「ん?」と思う部分もあったと思うけれど、「素質者」という能力を絡めて証拠を掴んでいくのは斬新で面白いと思う。他の方々の意見に賛成だ。

    ただ、自分は言いたい。
    うぐいすが、めっちゃ可愛いと。みんな可愛いとは言ってくれているけれど、僕はその可愛さは、彼女が僕のラノベ人生において5指に入るほどの可愛さを誇っていると思う。
    今までこんなヒロインを見たことがない。ある程度色々ライトノベルを読んできたが、主人公に好意を寄せるヒロインの中で、「好きな相手(ゆずさん)が自分(うぐいす自身)の好意に気付いていている」と思いながら接しているヒロインはうぐいすだけだったし、そのために例の「き、気付いていなかったの……?」という告白シーンは人生で悶えたランキングの上位に入るほど可愛かった。
    そんな純真な可愛さを持ちながら同時に巨乳で、しかもそれをダシにゆずさんをからかうことができる小悪魔性も秘めている。
    定番の台詞、「ゆずさんの、動物」
    この破壊力も半端ない。今までどこにこんな罵り方をするヒロインがいただろうか。いや、いない。これが世間から見逃されていると思うと、勿体なくて泣ける。
    そしてゆずさんが傷付いたときに泣くような優しさもちゃんと持っており、僕の中では語り続けても魅力にキリがないほど魅力的なヒロインだ。
    確かに、他の方が言う通り1巻でここまで関係性が進んでしまったのは続きの二人がくっつくまでの楽しみをなくしてしまうかもしれない。しかし、僕はだからこそいいと思う。普段理知的なうぐいすが、どのようにゆずさんといちゃいちゃするのか? どのように頬を染めるのか? または喧嘩をしてどういう風に仲直りするのか? もしくはどんなシーンで「ゆずさんの、動物」が出るのか?
    二人の関係性に興味が途切れない。
    もちろん作品の展開も二人の進展も気になるが、過去も気になる。
    作中で散々過去の事件において匂わせておきながらも現在も続刊が出ないなんて、勿体なさすぎる。二人の出会いとか素質者の過去とか、どうなってるんだ。
    僕は、この物語の続きが読みたい。とても読みたい。
    作者の久住四季さんは3月20日に新刊を発売されるが、是非、この「鷲見ヶ原うぐいすの論証」でも続刊を出してほしいと思う。
    改めて、この本の続きが出ることを祈り続ける。

    ちなみに、参考までに僕の大好きなラノベヒロイン5人(苦渋の選択でした……)は、

    ・鷲見ヶ原うぐいす『鷲見ヶ原うぐいすの論証』
    ・青山七海『さくら荘のペットな彼女』
    ・桜島麻衣『青春ブタ野郎シリーズ』
    ・天野遠子『文学少女シリーズ』
    ・ホロ『狼と香辛料』

    です。

  • 南京錠で閉まっているのにどうやって出たのだろう
    とか思わなくもないが
    ライトノベル的ミステリとしてまっとうなまとまり
    中身がないのでするする読める
    西尾維新作品的なライトノベルというのもひとつの分野か

  • 電撃文庫からの刺客!ライトノベルなミステリ。いろんな要素が贅沢に詰まった、楽しい一冊。

  • 難しい専門用語がでてくるが、分かりやすい説明があるので良い。
    室火野薫について本文中に眼鏡をかけていると表記がないが、挿し絵には描かれている。

  • 奇妙な能力を持った5人と、一応一般人1人による
    屋敷の人間合わせて8人が繰り広げる…ミステリー?
    某青色ネコ型ロボット漫画のように、題名の人物は
    主人公ではありません本、でした。

    悪魔が魔術がどうのこうのと出てくるわ
    証明学のような会話は出てくるわで
    そこだけがどうしようも…意味は分かるのですが
    すぐに忘れてしまうのは、結局頭が拒否してるから?w

    結局『最初』に騙された、という感じでしょうか?
    極々普通に始まる事はなかったですが、極々普通に幕は閉じました。
    そういう落ち!? というよりは、そういう落ちなのか…という所へ。
    面白くなくはなかったのですが、納得もできたのですが
    もう説明される定義の論証だけで、いっぱいいっぱいです。

  • 相変わらずの二段階どんでん返しにやられたーと思った。騙されてて気持ちいいのはさすが。論理的な話の進め方もいい感じ。残念なのはシリーズ(にするつもりがあるのかどうか知らんけど)一作目で、メイン2人の関係性が進み過ぎてしまったこと。最後の最後の消化不良というか意味のわからなさ、かな。最後の意味のわからなさについては、いつも思うけど、フ非現実的要素減らしたほうがいいんじゃないかと思うけど…魔術とか悪魔とかないほうがすっきりしてわかりやすいと思う。次回作出ないかな…

  • 出てくるトリックは、そこらで見たことがあるようなテンプレトリックです。
    しかし、そこはさすがライトノベル。
    それぞれ個性的な性格、特殊能力を持ったキャラクターたちが出てきて、なかなか面白い。
    出てくる特殊能力も、現実にありそうな能力(1名を除いて)であくまでもストーリーを盛り上げるうえでのスパイスとして出てくる感じで特殊能力使って解決!っという超展開でないのは好印象でした。
    ただ続編が1年以上出てないようで続きが出ないかもしれないのが残念

    作品として近いと感じた他作品は「月見月理解の探偵殺人Ⅱ」

  •  ミステリと、論理学と、ほんの少しのファンタジー
     ロジカルな試行錯誤の積み重ねによる推理は既存のミステリとは一味違うもので
     少々冗長ではあるものの読み応えがありました
     そしてあまり前面に出てこそこないものの
     この物語の根底テーマである魔術の設定も秀逸
     ミステリに出てきてはいけない能力を持っている人がいたりと
     それだけでも楽しめるものでした

     回収されていない伏線が山のように転がっている所をみるに
     このシリーズは今後も続くようですね
     主人公が昔やらかした事
     うぐいすが高校にやって来て主人公と親しくなるまで
     生徒会長と主人公が顔見知りになった顛末
     著者の過去作品『トリックスターズ』と通じるものがあり
     非常に楽しみです

  • “「ところでね、ゆずさん」
    「なんだよ」
    「こんな無茶ばっかりする神様を、はたしていつまでも『神様』と呼んでいてもいいものかな?」
    「あ――」
    ……なるほど。そういうことか。
    たしかに。
    人間に応える神。不平等な神。
    そんなものはもう神ではないのだ。神でないとすれば――
    「悪魔か」
    「そう。神は人間に応えない。人間に応えるのは悪魔だけ。私はそう思う」
    ――人間に応えるのは悪魔だけ。

    科学の徒である鷲見ヶ原うぐいす。
    直感素質<プレモ二である麻生丹譲。
    <直感像記憶<フォトグラフィックメモリ>の素質者であり警視庁刑事部警部補でもある室火野薫。
    <判別直感<ポリグラフ>の素質者であり探偵をやっている千代辺雛子。
    『天頂の結社』に身を置く姫鳴椿。
    魔術師と呼ばれる数学の天才的博士、霧生賽馬。
    その娘の霧生那由。
    そして、悪魔。

    悪魔だとか素質だとかでてくるけど、内容はしっかりとしていた。
    犯人は誰で誰が死んで。そしてその理由はいかに。
    すべての鍵は悪魔が持っていて、悪魔は仮想ではなくたしかに現実だった。
    うぐいす可愛いようぐいす。

    “「だからねゆずさん。犯人を見つけようとするのなら、私たちは明確な物的証拠を探すべきだと思う」
    「物的証拠?そりゃそんなもんが出てくればそれこそ楽だろうけどさ。それが出てこないからこうして苦労してるんじゃないかよ」
    「そんなことないよ。私の考えが間違ってなければ、犯人は今も決定的な物証を持ってるはずだもの」
    「なんだって?」
    僕は目を剥いた。那由も眉をひそめる。
    「物証ってなんだよそれ――あ、もしかして凶器か?」
    「ううん」違うよ、とうぐいす。「それも見つけたいけど、私が言ってるのはもっと別の、隠しようもないもの」
    「なんだよそれ」
    そしてうぐいすが告げたのは、凶器よりもさらに物騒極まりないものだった。
    「――博士の首だよ」”

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著者プロフィール

島根県生まれ。電撃文庫より『トリックスターズ』でデビュー。『星読島に星は流れた』は『2016本格ミステリ・ベスト10』にランクインするなど高い評価を得る。現在注目される若手ミステリ作家のひとり。他の作品に『推理作家(僕)が探偵と暮らすわけ』『怪盗の後継者』など。

「2021年 『異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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